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一章 罰ゲーム

「王様ゲーム」それはランダムに決まった「王様」が出した命令(罰ゲーム)を、ランダムに決まった参加者が行う屈辱なレクリエーションである。


 ある日の昼休み、突然クラスメイトの西澤くんが

「修斗!なんか面白いゲームしよーぜ!」と誘ってきた。

 この時間は、いつもグラウンドのベンチであんぱんをかじりながら過ごしているが、今日は雨だから机の椅子に座って、ボーッと外を見ていた。

 俺は暇だったので「いいぜ!やろうか。」

 そう言って何のゲームをするのかわからないまま、西澤くんの席をみんなで囲った。

 そうして始まったゲーム、その名も「王様ゲーム」

 

 「王様だーれだ(参加したクラスメイトの声)」

 なんと!王様になったのは、クラスで一番性格が悪い東山くんだった。

俺は少しだけ東山くんに苦手意識があった。でも、今は命令が俺に当たらないように願うしかなかった。

 だけど、東山くんは、

「3番がクラスで1番地味な女子に偽りの告白をしろ!」

 東山くんは、続けて「わかってるよな!地味といえば、南、南夏実」

 その時、俺の手元には3番と書かれた紙があった。

 そして、思考回路が追いつかなかった俺は、少し間が空いた。「え、夏実に告白⁉︎」

 

 俺は偽りなんかじゃなく、本当に夏実のことが好き、大好き。

 実は俺と夏実は小さい頃からの幼馴染で、好きになったきっかけは

 5年前のある日、今日のような細かい雨が降りそそぐ日に当時小学5年生だった俺は、たまたま家に傘を忘れていた。その時、夏実は俺に折りたたみ傘を貸してくれた。この気持ちは今でも忘れない、忘れたくない。

 さらに、クラスでは誰にも知られてないが、家はとなり同士だし、家族ぐるみで仲がいい。

だから、そんないきなり告白できるものでもない。ものすごく俺は恥ずかしかった。

 同時に、東山くんが夏実のことを「クラスで一番地味」と言ったことがとても許せなかった。(実際そうだけど)

 そんな夏実に告白するという心の準備ができず、放課後は逃げるように家に帰った。

 道の途中、「もうここまでくれば…。」と、速度を落とした。

 すると、「シュウ!」突然後ろから俺を呼ぶ声がした。振り返って見れば、夏実だった。

 俺は昼休みのことがあってか、頭の中が「告白」の文字で埋め尽くされ、ものすごく気まずくなっていた。

 一瞬逃げようかとも思ったが、幼馴染がせっかく声をかけてきたのだから、何か俺に用があったに違いない。

 「ど、どうしたの??」俺は少し動揺気味に聞いた。  

 すると夏実は、「シュウが先に帰っちゃうから追いかけてたんです!」

 「あと、私のこと少し避けてないですか?」 

 その時はまだ言えなかった。「告白」の言葉と昼休みのことを

 だってすごく怖い。「告白」の言葉ひとつで今までの関係がすべて壊れてしまいそうだから。それを想像すると、どうしても一歩先に進めない。 

 でも、俺にだってこのままでは何も変わらないことくらいわかってる。

   

 そんなことを考えながら歩っているうちに、「また明日です!シュウ。」

もう家の前に着いていた。

 「ガチャッ!(ドアの開く音)」「ただいまー」

 すると、「ドタドタドタドタッ(何かが近づいてくる音)」

「お兄ちゃんおっかえり〜。」走ってきた妹の日向が抱きついてくる。

 やはり、いつものパターンだった。

 「日向!もういい年頃なんだから俺に抱きつくのはやめてくれ!」

 そう俺の妹、北川日向はブラコンである。

 日向の度が過ぎたブラコンには手を焼かされている。日向も俺と同じ夕陽学園の生徒。こいつは中等部の3年生で俺のひとつ下。


               つづく

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