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星に願いを  作者: にょろ
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最悪の目覚め

「ねぇ慎也、本当に怪我は完治したの?」


「流石に即座にとはいかなかったけど先生のおかげで後遺症もなく治ったよ、ってあれは……」


 たった一人の観客が立ち去った後、倒れ伏す二人のもとに練習場から出た二人が通りかかる。




「雲間くん!何があったんだ!?」


 リハビリを兼ねていた運動と凍華との軽い手合わせを終え寮へと帰る道中、練習場へと行くときには見なかったなにかを見つけ近づいた。

 それ(・・)がなにか気付いた瞬間には既に走り出していた。

 一部には血の泉、辺り一面の歩道は血でまだら模様となりそこへ二人の人間が倒れているうち一人は無傷だったがもう一人がひどい状況だった。

 両脚は骨が見えるほどに抉れ服だと思われる布切れはボロボロ、その下の皮膚までがヤスリで全身を削られていたかのように酷い傷で覆われていた。

 その重症人とは雲間くもあい 星夜せいやついさっき話したばかりの人物だった。


 とりあえず息はあるがどうする、この傷は下手に動かしたらそれだけで失血死すらあり得る、というより今息があることが奇跡だ。


「凍華!」


「分かってるわよ!」


 制服を破り両脚の傷口をきつく縛り血を止め凍華の能力で即座に雲間くんを凍結させその状態で保健室へと連れて行く、もう一人は……一応連れて行くか。

 かなり大雑把だけどこれならいくら瀕死であれ心剣を発現させた人間であれば死ぬこともないだろう。

 一体何が起きたんだ……。




「……知らない天井だ」


 まさかこの言葉を言う日が来るとは、喜んでいいのか悪いのか。

 雰囲気的には保健室っぽいけど無茶することないし確定できるほど知らないんだよな。


「倒れるたびに気の抜ける事を言うね、次からは雲間くんは倒れていても放置する感じでいいのかい?」


 俺が寝かされているベッドの横に座っている刈原のバカを見る瞳が突き刺さる。


「すまん、礼の方が先だったな」


「それは凍華に言ってあげて、僕は何もしてないから」


 刈原はそういって壁の方を指差すとそちらには壁を体に預けてだんまりを決め込んでいた霞風がいた。


「霞風、ありがとう助かった」


「受け取っておくわ、まあどこかの誰かさんが普段無茶し続けるおかげで応急処置用の技が出来たんだから慎也にも感謝しときなさい」


 おぉ感謝を受け取ってもらえたこれがツンデレってやつか、宛先は普通に刈原っぽいけど。


「で、あなた何があったのよ保健室の先生が顔をしかめるくらいの傷なんてなかなか見ないわよ」


 『初めて見た』とか『見たことない』じゃないのとさっきの発言でいかに普段刈原が無茶してるかが伺い知れる。


「いや本当によく治ってるな、疲れはかなり残ってるが痛みが微塵もない、この学園どんな良い回復能力持ち囲ってるんだよ」


「雲間くん、最初に茶化した僕が悪かったが真剣な話なんだ君の身体についた傷はどうやら的確に急所を外し痛めつけることだけを狙ったものだったらしい、何があったんだ」


「普通にランキング巡って私闘やってただけだ、まあこういう事故もあるだろ」


 視界の端に霞風が保健室のドア横へと移動する様子が映る。

 窓は刈原を挟む位置にあるし、なんか俺が逃げようとしてると思ってんのか。


「もう一度聞くよ『惨殺者』獅童と何があった、君はああいうタイプの人間と関わりに行く性格とは思えないが」


「売り言葉に買い言葉っていうだろ、素直にやっただけだよ」


 刈原の目が丸になる。


「もう少し……時間がかかると思ってたよ」


 こうなることは予想済みってか、こんな苦労させやがっていつかしばいてやろうか。


「疲労感が凄いんだよ、今日は授業サボって寝てるからお前らはさっさと行け」


 面倒だ、という表情を刈原へと向け手をしっしっ、と追い払うようにする。

 我ながら恩人にする行為じゃないな。


「そうだね、そろそろ行くとするよ君が僕の前に立ち塞がってくれることを待ってるよ」


 座っていた椅子から腰を上げ笑顔でそう言って霞風を連れて授業へと向かった。

 俺の仕草なんか気に求めもとめず優しを笑顔を振りまいて消えていったな、てかさ


「おまえ、毎度何を根拠に人に難題放り投げてんだよ」


 俺のつぶやきは誰もいなくなった保健室の壁へと吸い込まれて消えた。




 授業に向かうために廊下を歩いていると凍華が僕に話しかけてくる。


「ねえ、一つ聞き損ねてない?

来る途中に聴いた感じ、獅童の能力にあいつじゃ逆立ちしても勝てないと思うんだけど」


「彼が能力を隠していたのか、目覚めさせたのか、はたまた工夫の末に勝利を掴んだのか、どうせいつか知るんだ楽しみにとっておこう、だってそんなの聴いたら面白くないだろ?」


「そんなだから私が応急処置ばかり上手くなるんでしょう、本当に心配させないでよあなたらしいわね」


 僕に呆れながらも表情は少し笑っている。


「いつも感謝してる、さあ急ごう今日の1時間目の先生は怒ると怖いんだ」




 保健室で寝ていたはずの俺は現在自室で寝ている。

 傷は治ってるんだからさっさと帰れって言い分は確かに納得出来るんだがな、あの先生治療に体力使ったからとかも言ってたじゃねえか、寝さけとけよおかしいだろ。

 まあ良いか、あんまり人に見せたいもんでもないしな。

 俺はベッドで寝ている状態から起き上がりあぐらを組みベッドの上に見えるようになった己の心剣を出現させる。


「いや、姿を見せろとは言ったがな、お前そんな神々しい色してたんか」


 確かに常に触ってたけど姿を隠すような心剣なのにやたら装飾多いなあとか思ってたけどさぁ。

 てかこいつの能力ってなんなんだ、獅童とやってたときは必死過ぎてあんまり覚えてないが身体が軽かった気がする、身体強化なんだろうか。

 集中力強化的な、スポーツマンで言うところのゾーンに入って疲れとかが気にならなくなるってタイプもあり得るか、そっちなら使っても問題さそうだが


「とはいえ室内で使うのは流石に危ないし、訓練場に行くには疲れすぎてる……やっぱ寝るか」


 心剣のことはもう知らん、頑張れ明日以降の俺。


〜翌日〜


「よし、疲れも大体取れたし今日の公式戦もがんばりますか」


……今日の放課後から公式戦じゃねえか!巫山戯んな昨日の俺!寝てんじゃねえ!!

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