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タケオ

作者: 宮 虎吾朗

 タケオ


 通学路をあるいているのはタケオです。

 タケオは小学4年生ですが、ランドセルがミニチュアに見えるほど身体がでかいです。

 黄色い帽子もかぶれないので、頭の上にそれをチョコンと乗せて、白いゴムで無理やりに固定しています。

  

 タケオは歩くのが とても速いです。例えるなら走っているのと変わらないぐらい歩くのが速いのです。

 気がつくと、いつも女子中学生の3人組に追いつきます。


 タケオは人一倍、いや人二倍か人3三倍ぐらい恥ずかしがりやです。 いつもその集団に追いつくと、本当なら抜かして先にいきたいのですが、それができません。「すいません」とか「どいてください」とか 或いは黙ったまま隙き間を強引にでもすりぬけるといったことができません。


 そんなことを毎日のように繰り返しています。

 月曜日から金曜日まで、土日以外は そんなかんじです。

 

 今日も いつものように3人組に追いついてしまいました。

 そして いつものよう先を急ぎたいのを我慢してペースを合わせていました。


 そういえば昨日の夜は おねしょ をして母に怒られました。 

 タケオは小学4年生で身体がとてもデカいですが、おねしょが なかなか治らずにいます。

 いくら怒られても、おねしょなんて してしまうときは してしまう。 タケオはそう思っています。

 

 そういえば昨日は傘も忘れて怒られたな。

 タケオは女子中学生3人組の少し後ろをペースを合わせて歩きながら思い出していました。

 朝、雨が降っていて、帰るときに晴れていると、タケオはたいがい傘を忘れます、たいがいというか 百パーセント忘れます。そして百パーセント怒られます。


 そんなことを思い出しながら歩いていたら、目の前の犬のウンチに気が付かずに踏みそうになりました、いや、踏みそうになりましたというよりは、普通に踏んでしまっていました。


 タケオはズックの裏に付いた犬のウンチが、ちょっとやそっとじゃとれないことを知っています。


 タケオは「あ〜〜〜!」と叫んでしまえば少しは気持ちも楽なんだろうなと思いながらも黙ったまま、しばらく歩いていたんですが…


 「すいません!どいてください!」 タケオはそう言って女子中学生3人組を生まれて初めて抜かしました。

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