表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/199

閑話:企み(※ノエル視点)

「いいね」や感想をくださってありがとうございます!

励みになります!


 ようやく訪れた週末の朝は穏やかで、膝の上で眠るレティの健やかな寝顔を眺めては幸せを噛み締めている。


 今週も新入生たちの指導に追われていたようで、眠そうに船を漕いでいるのをいいことに膝の上に誘導すれば、すんなりと頭を置いてくれた。


「ミカ、ブランケットを持ってきてくれ。レティが起きてしまわないよう静かに頼む」

「すでに用意していますよ。レティシア様が朝食を摂る間もずっと眠そうでしたので、こうなるだろうと予想していましたから」

「さすがだな」


 ミカから受け取ったブランケットをレティに掛ける。

 温かさを求めてもぞもぞと擦り寄ってくるのが可愛い。起きている間もこのように甘えてくれたらいいのにと恨めしくも思う。

 

 甘やかしたいのにことごとく躱されてしまい、行き場を失った望みは欲望へと姿を変えて募ってゆくばかりだ。


「レティ、お疲れ様。今週も大変だったね。明日もゆっくり休もう」

「むにゃ……」


 幸せそうに眠っているのを見ていると胸の中が温かいもので満たされる。

 愛おしくてたまらない、最愛の妻。


(アロイスたちが卒業すれば独り占めできると思っていたのだが、予定が狂ってしまったな)


 優しい色の髪に触れて指を滑らせる。


 かつて、レティが髪を下ろしていると誰も彼女がレティだと気づかない時期があった。

 それをレティは、シナリオとやらの抑止力だと言っていた。


 髪を結い、銀縁メガネをかけた、首元まで詰まったドレスを着た生真面目な女性教師。

 それが、レティに与えられた役割だからということらしい。


 だから私はアロイスたちが卒業したあの夜、魔法でレティの視力を治してメガネを外させた。

 私を悲惨な運命から救い出してくれたように、私もレティを運命から解放したかったのだ。


(だけど、レティはまだ運命に翻弄されている)


 続編の生徒たちを最悪の結末から守るべく奔走しているレティを見ていると、運命――シナリオにレティを奪われているような気がしてならない。


「シナリオとやらは私の妻を散々振り回しておいて、まだ気が済まないのかい?」


 私だけが運命から抜け出して、私を導いて助けてくれたレティは取り残されてしまっているかのようだ。


「レティ、必ずシナリオから解放するから、もう少し大人しくしていてくれるかな? レティにもしものことがあったら今度こそ、この世界を壊してしまうよ?」


 頼んだところでレティは聞いてくれないだろう。

 生徒たちのことになればどんな危険にも立ち向かってしまう人なのだ。


「あなたの幸せだけを考え、明日あなたに贈る花は何にしようかと悩む日々を送れたらいいのに」


 レティに影を落とす運命があるのなら断ち切ってしまおう。

 穏やかな日々を一緒に過ごすためなら、私ができることなら何でもする。


 彼女を縛るものは全て取り払い、この手の中で大切に守るから。

 だから私が不幸な黒幕にならないように、ずっと側に居て。


 この手が凶悪な魔法を放たないように、手を握り続けていて欲しい。

 この手が剣の代わりに花束を持てるように、毎日花を贈らせて。


「今度もまた、レティに最高の結末を贈るから安心してくれ」

 

 誓いを込めてレティの瞼に口づけた。

レティを独り占めするために暗躍するノエルを応援してあげてください…!

次章も新しいキャラクターが登場しますのでお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] >「あなたの幸せだけを考え、明日あなたに贈る花は何にしようかと悩む日々を送れたらいいのに」 なんかここ好きです。(*´艸`*) 現実恋愛だと引きますが、異世界恋愛でノエルが言うからこそ許さ…
[一言]  シナリオからの脱却(という名のレティシア独り占め)を謀るノエル。素晴らしいヤンデレ感です(≧∇≦)b
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ