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このたび、乙女ゲームの黒幕と結婚しました、モブの魔法薬学教師です。  作者: 柳葉うら
第十七章 黒幕さん、恋の応援をしましょう!
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04.生徒からの相談

 オリア魔法学園に到着し、朝礼を終えた私は、エリシャとバージルに視線を走らせる。

 ちょうど、バージルが立ち上がって、エリシャに歩み寄るところだった。


「エリシャ、今日の放課後は、一緒に箒で飛ぶ練習をしよう。前に、旋回が苦手だと言っていただろう? 克服できるよう、飛び方を見てやるよ」

「えっ、いいのですか?」

「俺が魔法競技大会で箒競争に出るから、その練習のついでだ」

「ありがとうございます……!」

「べ、別に礼を言われるほどのことじゃねーよ」


 今日の放課後の練習の約束を取り付けられて、バージルは嬉しそうだ。

 パッと見はツンとした表情だけど、よく見ると口元がニヨニヨとしており、喜びが滲み出ているところが可愛らしい。


 魔法競技大会が近づいているため、生徒たちは放課後になると、魔法の練習をしている。


 魔法競技大会とは、クラス対抗戦で生徒たちが魔法の技術を競い合う行事で、前世で言う体育大会のようなものだ。

 ただ、魔法を使う大会のため、体育大会とは違って会場の準備が大掛かりなものになる。

 開催場所は学園内にある競技場で、教師陣が当日に向けて会場作りをしているのだ。


 開催当日になると、競技場には魔法で大きな滝が作られたり、魔術で作られた移動地点が配置されたり、と魔法世界ならではの仕掛けが満載のテーマパークみたいになる。

 そのような中で、生徒たちは各競技で優勝を目指して競い合うのだ。

 

(ゲームでは、二年生の魔法競技大会のときに、どの攻略対象のルートに入るかによって、見れるスチルが違っていたわね)


 箒の扱いが得意なバージルのスチルは、箒競争で優勝した瞬間にエリシャに見せた笑顔だった。


(この世界でも、バージルは箒競争に参加しそうね)


 エリシャに教えるほどなのだから、この世界でもバージルは箒の扱いが得意なのだろう。たしかに、前期では体育の成績が抜きんでて良かった。


 オリア魔法学園の体育では箒の扱いを学び、希望する者は選択授業の体育で剣術を学ぶことができる。

 その剣術の授業でもバージルは成績が良いため、体育教師のフォートレル先生が、卒業後に騎士団に入ってほしいと零していた。


(魔法競技大会は、バージルが存分に活躍できるイベントだから、告白するにはちょうどいいかもしれないわね!)


 問題は、どのようにしてバージルの恋を応援するかだ。

 まずはバージルに現状を聞いてみたいのだけれど……私に話してくれることはなさそうだ。


(それに、自分の恋愛について担任の先生から踏み込んだ話をされるのは、嫌よね……)


 デリケートな話題であるうえに、思春期の子どもの心にズカズカと入り込むべきではない。


(ノエルにだったら、前もアドバイスを貰っていたようだし……それとなく二人が成す機会を作ったら、相談してくれるかしら?)


 悩んでいると、生徒たちが立ち上がり、教室から出ていく。

 一限目は魔獣学の授業で、今日は獣舎で授業をするから、移動しているのだ。


 見送っていると、ゼスラがこちらに向かってやって来た。

 珍しく、イセニックが隣におらず、一人だ。


 しかし、少し離れた出入り口に立つイセニックが、もの言いたげな顔でゼスラを凝視している。

 恐らく、ゼスラから、先に移動するよう言われているのだろう。


「ファビウス先生、授業前に話しかけて申し訳ないのだが、少し時間を貰えるだろうか?」

「ええ、どうしたの?」

 

 ゼスラは思いつめた顔をしている。

 もしかすると、王子ならではな大きな悩みを抱えているのかもしれない。

 

 私が力になれるか不安だが、できる限り力になりたい。


「実は、――青春研究会の会長として、とある人物の恋を応援したいのだ。今日の放課後、エルヴェシウス先生と一緒に、魔法薬学準備室へ相談しに行ってもいいだろうか?」

「……はい?」


 私は拍子抜けした声を上げてしまった。

 国家規模の悩みかと思えば、意外と学園規模の悩みだった。


「ああ、青春研究会は、最近立ち上げたばかりの部活で、部員は私とイセニックの二人だけだ。顧問はエルヴェシウス先生で、週に二度、エルヴェシウス先生も含めて三人で青春について議論している」


 ちなみに、ゼスラ曰く、ゼスラとジュリアンの議論が白熱し過ぎて、イセニックはその中に加われないでいるようだ。


 おそらくイセニックは、ゼスラの護衛だから入部したのであって、あまり興味が無いのかもしれない。

 そう思ったのだが、ゼスラのためにもイセニックのためにも、そのことを伝えるわけにはいかず、私は言葉を呑みこんだ。


「ええ、私でよければ、話しを聞かせてちょうだい」

「感謝する! それでは、放課後によろしく頼む」


 ゼスラは先ほどまでの思いつめた表情から一転して、明るい表情になった。

 踵を返して教室を出ていくゼスラを、私は笑顔で見送る。


「ふふっ、誰かの恋を応援してあげたいだなんて、ゼスラは本当に優しいわね」


 とはいえ、自身には恋のこの字もなさそうな様子だ。

 浮いた話を聞いたことも無い。


「恋に恋する、拗らせた攻略対象になったりは、しないわよね……?」


 私はちょっと、心配してしまうのだった。

 

電子書籍版の黒幕さん完全版2の予約がスタートしたのでお知らせです!

=書籍情報=

ASIN : B0GFSJHL17

レーベル:ミーティアノベルス

配信日:2月5日(木)


今回もヨシヲサヤ先生に、とっても素晴らしい表紙イラストを描いていただきましたので、ぜひご覧いただけますと嬉しいです!!

また、特別書き下ろし短編を収録いただいておりますので、後ほど活動報告に情報を掲載しますね!

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電子書籍版の完全版1が2026年2月5日配信決定です!
-ミーティアノベルス様告知サイトへの移動はこちらの文字をクリック- 挿絵(By みてみん)
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