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人間だった私たちは  作者: きのした
1/1

日常の崩壊

初投稿です。

小説も初めて書きました。

下手かと思いますが良ければ呼んでください。

世界的な悲劇「実験途中ウイルス拡散事件」

それはよく映画や漫画などで描かれる、ゾンビウイルスとよく似たものだった。そのウイルスは原子力が人間の扱えるものでは無いと言われるように、人間には手に負え無くなっていたのだ。感染したものは自我を失い、生きている人間の血肉を喰らい、家族をも殺した。そして、感染したものの体液が体内に入ったものは同じような怪物になる。


そんな中、感染しない者がいた。




_3月 春


桜が咲く季節、太陽が眩しい。

こんな日はあまり外には出られない姉さんにはいいんだろうな。桜の木がある公園がある街が見える部屋にさせてもらったし、今はそれぐらいが一番落ち着けるだろうし。

高校生になった私は、記憶障害を起こした姉をお見舞いに来ていた。


入学式も行かずに。


私たち姉妹は「実験途中ウイルス拡散事件」のまさにその時、実験体にさせられていた。その事件を起こした張本人は頭のおかしい科学者7人が行ったのだそう(後から警察などに聞かされた)無差別に誘拐や売買された老若男女は、そのウイルスを体の中に抵抗も出来ず注入された。実験体として、そいつらの目的は未だわかっていない、7人のうち2人は見つかったらしいが、ウイルスに感染しており、見る影もなかった。その他5人はというと、今もどこかにいる可能性はあるのだそうだ。



私は……もちろんウイルスを注入させられた。

姉も、母も、母はというと私たちと違って感染して処分されてしまった。目の前で母にウイルスを注入している所を見た、感染は早いんだそう、5分くらいで全体に広がり、被験者は叫びながら身体中の筋肉が硬直した直後、涎を垂らし自我を失ったただの怪物とかす、母はその時泣きながら、叫んでいた。私たちには逃げてと、叫びながら。



「305号室はこの次だな。」

と独り言を言いながら私は姉の病室を探す。

また違うところの病院に来たから、あんまり慣れないな。


感染したら病状が発症してなくても、避けられ、迫害されている。もちろん、皆という訳では無いけれど、なんと言っても、感染しない人の1部は突然変異で超人的、またはそれ以上の能力を発言するのだ。


アニメで見るような、「発火能力」「氷河能力」などもある。能力自体は様々で、その人たちは普通に感染しなかった人のようなウイルスの抗体を持っている、と言うより、その人たちは突然変異や細胞内共生などで細胞とウイルスとが共生する環境になってしまったのでは無いかと言われている。



こんな難しい話、私も正直高校1年の私に聞かされてもわからない。話してくれたのは警察とよく分からない軍人の人達だった。


「あ、ここだ」

305号室、何回も姉とは会ってるけれど、最初も言った通り、姉は記憶障害にあっている。母を目の前で殺されて、正気でいられなくなったのだそう、いつも初めましてみたいな顔をされるんだ。


ガララ……ゆっくり病室のドアを開けた、窓が空いていた、春の暖かい風が、ベットを囲うように出来ているカーテンにあたり、ゆらゆら揺れている。病室に完備されているテレビのニュースの音が、病室に響いていた。


姉は窓を眺めている。長く黒い艶やかな髪をなびかせて。

こちらに気づいて、ゆっくり振り返った。


「あ、秋野さん?だよね?こんにちは」

まるで他人だ、何回もこんな挨拶をされているけど、慣れないものは慣れないんだなあ。


「秋野さんって、私たち姉妹なんだからどっちも秋野でしょ!お姉さんってば〜」

その態度がバレないように、私は若干笑いながら言った。

「あらら、そうだった!えっと〜、ごめんなさいね、お医者さんからは上手く物事を覚えることにも支障が出る、って言われちゃって…」

姉は申し訳なさそうに頬を触りながら言った。


〈速報です。ウイルスが無くなったと思われた今、突如町中などで感染するという事件が発せ…〉

ブツンと音を出し、テレビの電源が切れた。電源を切ったのは私だ…

「あは、最近、物騒だよね…」

思い出したくもないし、そんな現実受け入れたくもなかったからだった。姉は気まずそうに、頬に当てていた手を置き、私の目を見て言った。



「それで、その…名前、なんだっけ…」


一瞬の沈黙、私は…姉の顔なんて見れなくて。


「私の名前はね、冬華(とうか)って言うんだよ…」

と震えた声でぎこちなく言った。


「冬華ちゃんね、ちゃんとメモしなきゃ…!忘れちゃうんだよね!ごめんなさいね、ごめんなさい。あ、あのね!この病院で仲良い人からね…」

姉は気づいたのだろうな、私の声が震えてることに、手を動かしながらあたふたして、早口で色んなことを話し始めた。

私はそんな話をさえぎるように……


「私!今日入学式なの!せめて式には間に合うように行きたいから!!もう行くね!これ、果物、美味しいから食べて!」

「え、あ、ありがとう」

姉の胸に果物の入った袋を押し付けて、泣きそうな顔をバレないように覆いながら病室を出ていった。



__入学式数分前、教室


な、なんとか間に合った…朝の会の挨拶は全然間に合ってないけど。すごい場違い感、全然そんなことは無いんだろうけど。皆もうグループ作ってるのか…出遅れたなあ。当たり前なんだけど。


「秋野さん、大丈夫だった?お姉さんのお見舞いに行ったそうね、大変だけど、事情は聞いてるから、大丈夫よ。」


クラスで孤立していた私にはなしかけてくれたのは、優しいクラスの担任だった。

差別しないんだ、事情を知っているのに……

内心ほっとした、実験の被害者として、国からは色々支援してもらって入るけれど、差別されて色んな所を行ったり来たりているこちらとしては、とてもありがたいことだった。


「ありがとうございます。大丈夫でした、それより遅れてすいません、入学そうそう…」


「いいのよ、まあ仕方ないしね。そんなことに気にしないで!それより、秋野さん、本当に付けてるのね、その指輪。沢山いるっては聞いてたのになかなか見た事なかったからびっくりしただけなんだけどね。」

謝った私を笑いながら優しく許してくれた先生は、私の人差し指に付けている、変な形をして銀色の指輪を見て言った。


「これも仕方ないことなんです。私が人類の狂気なら」


この指輪は国からは支給されるもので、GPSが付いている。

私はウイルスに感染せず、能力を発揮した一部の人間だ。

その多くは、どう考えても危ない能力であることが多い、軍事兵器おも超える、化学では証明出来ないようなチカラを持っている者が、普通に暮らすなんて到底できない。国から、もしくは世界から監視されている。この指輪はそう簡単に外れることは無い、私もやってみたが、引っ張ってみても、ましてや中に糸を通して取るみたいなのこともしてみたが、糸すら通せなかった。


「まあでも、そんなこと、秋野さんはしないって信じてるから!大丈夫よ大丈夫!」


先生は私の背中を軽く2回叩いて笑顔で励ましてくれた。

よかった…ここでなら、私もやっていけそうだ。



「きゃあああああああああぁぁ!!!」


隣の教室だった、女子生徒の叫び声が聞こえる。

嫌な予感がよぎる。


「今朝のニュース…」

と先生は青ざめながらボソッと呟いた。

姉が朝テレビを付けていた番組のニュースを思い出す。

〈町中などで突然感染する。〉

嫌な予感はこれだった、ハッと我に返り、先生と一緒に隣のクラスに駆け込む。先生はとっさに大きな声で

「どうしたの!!」

と言ったが、その光景を見て、私も先生も次の言葉なんて出なかった。あ……あぁ……なんて情けない声を私は出しながら、その光景に唖然とする。


その教室には、感染途中の症状である、叫び声をあげながら筋肉を硬直させている女子生徒がいた。体はうねり、血管が浮き出て、口からは血が少し飛び出していた。


(やばい、やばいやばいやばい!!!)


焦る気持ちだけ先走っている。体は動かない。


バンっっ!!!


先生に思いっきり肩を両手で掴まれた。


「へっ…!!?!!!!!?」

「何やってるの秋野さん!!逃げなさい!私は生徒を誘導するから!いい?!わかった!?」


固まっている私を、言い聞かせるように動かしてくれたのだ。でも、先生だって、そんなことしていたら…言葉を選んでいるうちに先生は動き始めてしまった。


「早く!!まだ観戦途中だからその隙に!感染者は教室の後ろの方にいるわ!!前の方のドアからでれば大丈夫よ!ほら!そこ固まってないで動く!!早く!!」


教室の中の方にいた生徒は急いで先生の指示通りに教室から出る。阿鼻叫喚だ、パニックになり走り出すものもいた。そんな中に教室で恐怖で動けなくなっている者がいた。腰が抜けたのか動けないようだ。

先生は迷いもせずその生徒にかけより、起こそうとしていた。


感染者の動きが止まった。


5分たったんだ、ウイルスが行き渡る時間の。


ゾンビは人間とは思えないような、関節の限度など無視した動きで立ち上がり、すぐさまグリュン!と先生と生徒の方に顔を向けた。

まずい、先生が…生徒が…

先生は感染者がこちらに気づいたことに気づき、もうダメだと思ったのか、生徒を体で覆い、感染者に背を向けるようにして生徒を守った。


「私は……どうすれば、わ、私なら、私なら、感染しないから…でも……」

トラウマが蘇る、何も出来ず母を失ったあの時を。

また、あの時みたいに誰かが目の前で死んで欲しくない。これ以上、誰も苦しんでほしくない。


感染者が大声をあげて、2人に襲いかかろうとした。


「私は!誰かを救うそのためにこれ(チカラ)があるんだって信じてるから!!」


私はそう叫び、教室に駆け込むと、感染者の空いた口に腕を落ち込んだ。


感染者の歯が腕にくい込み血がにじみでてくる。

痛い、痛い痛い痛い…!!!

痛くてたまらなかったが、私はそのまま腕に力を入れて感染者を床に倒した、馬乗りになり、押さえつけるが、感染者の力が強い。


「秋野さん…!?あなた…だ、だめよ!!か、感染しないとはいえ、危険すぎるわ!!」

先生は震えた声で、生徒を抱き抱えながら言う。

「大丈夫です…先生は、噛まれちゃったらどうしようもないです。いっっ……ここは私がこうすることが…一番いいと思ったんです。だから、早く逃げてください!」

痛いながらも必死に先生を説得した。

先生は少ししぶい顔をしたが、すぐにその生徒を抱き抱えて教室を出た。


「はぁ…っ…よかった…」


ぱっと廊下に誰もいないことを確認して、噛まれている腕を片腕で感染者を押さえつけながら外した。大量の血が、私の腕の真ん中から肘までつたっていた。


「ふざけんなよ…せっかく周りだって理解のある人ができて、せっかく、せっかく!!!!」


私は怒りに感染者を抑えている方の腕に力を入れながら、片腕の傷口に力を入れる。


すると、血が浮き上がってくる。

血は一点に集まり、凝固する。

そしてそれは通常より少し長いナイフに変わった。



「今ここで死ぬなんて、あのやつらにだって復讐してないのに!あるわけないだろ!私の能力は………」



__自分の血を操る能力__


読んでいただいてありがとうございます。

不定期で続きます。

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