第5章 城の完成と戴冠式
3ヵ国会議から半年が過ぎ、3国の真ん中辺りでマッシュ城の建設が進む・・・。
堀が完成し、その中で働く元盗賊団達がいた。
ニンニーク「お前ら!しっかり働け、ニンニク盗賊団の底力を見せてやれ!」
キニーラ「親分も働いてくださいよ・・・。」
手下3「働いてるの私達だし・・・。」
ニンニーク「うるさい!俺は現場監督なんだよ!」
ペシッ!
その時、後ろから叩かれる。
ニンニーク「誰だ!?」
アミガッサ「現場監督だからってサボって良いとは言ってないぞ。」
ニンニーク「ダ、ダンナ、働きますから許して・・・。」
ペシッ!
アミガッサ「その呼び方はやめろ!」
ニンニーク「へ、へい・・・。」
ニンニークは、そそくさと持ち場に戻り働く。
しばらくして、堀に橋が架かる。
キャロット王女「皆さん、お昼ですよ~。」
王女様と兵士達がオニギリを運んでくる。
ナメタン「王女様、毎日ありがとうございます。」
キャロット王女「良いのですよ、私もコノキの皆さんの力になりたくて。」
ナメタン「十分力になってますよ。
みんな、王女様が来るのを楽しみに頑張っているのですから。」
アミガッサ「盗賊団も始めは、サボる者が多くて大変でしたが、最近はしっかり働いてくれてるのも、王女様のお陰なのですから。」
キャロット王女「そうなのですか?」
ナメタン「みんな、王女様の笑顔で疲れも吹き飛んでるんですから。」
キャロット王女「まあ、それならうれしい」
兵士達はお昼の準備を整える。
ニンニーク「お前ら!お昼だぞ。」
ニンニークの言葉で、皆がお昼を食べに集まって来る。
キャロット王女「どうぞ、お昼のオニギリですよ。」
手下14「王女様、ありがとうございます。」
王女様は順番にオニギリを渡していった。
それから1ヵ月が過ぎたころ・・・。
手下10「あっ!」
城の屋根で作業をしていた手下が、うっかりコテを落とす。
ドサッ!
手下7「わっ!」
真下で作業をしていた手下の横に落ちた。
アミガッサ「なんだ!?どうした?」
手下7「突然上からコテが・・・。」
アミガッサ「ん?」
アミガッサが上を見上げると、頭をかく手下10の姿があった。
アミガッサ「ニーラス、危ないだろ、気を付けろ!」
ニーラス「すいやせん・・・」
アミガッサ「ニッニク、怪我は無かったか?」
ニッニク「はい、横に落ちてきただけで、大丈夫です。」
アミガッサ「上で作業してる下は危険な事もある、気を付けろよ。」
ニッニク「はい。」
それから、さらに2か月が過ぎ・・・。
ポカポカとした春に城が完成した。
ダイコーン王「りっぱな城じゃ。」
キクラン「はい、みなさんのお陰でりっぱな城が出来上がりました。」
コンブーン王「これかからが大変だぞ?」
キクラン「わかっています。
家を作り、工場まで建設しないといけないですから。」
ゼンマイール「それだけじゃないぞ、国の法律や、外交などについても、決めていかなければならん。」
ダイコーン王「まだまだやることが山積みじゃな。」
キクラン「はい・・・。」
ダイコーン王「そんな暗い顔をするでない。
まずは、キクランの戴冠式じゃ。」
コンブーン王「国民の居ない戴冠式だが、我々や、兵士達もおる、盛大に執り行うぞ。」
ゼンマイール皇帝「今回は、コ儂らの国の兵士もコンブーンの国の兵士も多数来ておるからな。
キクラン「ありがとうございます。」
ダイコーン王「それでわ、準備を急いでしよう。」
兵士達は3日間かけて、戴冠式の準備を行った。
そして戴冠式の日・・・。
ダイコーン王「いよいよじゃな」
キクラン「はい・・・;」
コンブーン王「そんなに固くならんでもよいぞ」
ゼンマイール皇帝「王冠を被るだけなのだからな。」
キクラン「はぁ・・・。」
城内は、王族、大臣、3ヵ国の兵士が整列し、戴冠式がはじまる。
シメジン「それでは、マッシュ国キクラン様の戴冠式を挙行します。」
キクランは玉座の前に立ち、ダイコーン王より、王冠を乗せられる。
兵士「キクラン王ばんざーい」
兵士達は、一斉に声を挙げ、盛大な拍手が城内を包む。
キクラン王「みなさんありがとう。
平和な良い国をめざしていきます。」
また大きな拍手が沸き起こる。
キクラン王「それでは、私が王としての初仕事として、各担当職を申し上げます。
まず、大臣にはシメジン、財務長官にはマイタン、国防長官には、アミガッサ、国の国境管理にはエノキンとシイタンとエリンギース、兵士統括官にはナメタンが着任します。」
シメジン「移住は、まだ先ですが、兵士は移住する住民とは他に連れてきます。
あと、城の清掃や修繕には盗賊団であったニンニークとその手下を任命します。」
ゼンマイール皇帝「ちょっと待て、シメジンよ、元盗賊団を城で働かせるのか!?」
シメジン「はい、アミガッサやナメタンから、相談を受けキクラン王と話し合いの末、城で働かせようと決めたのです。
コンブーン王「アミガッサにナメタンよ、元は不良だった者だぞ、それでも良いのか?」
アミガッサ「はい、9ヵ月の城の間見てきまして、もう悪さはしないだろうと、シメジンに相談をしたのです。」
ナメタン「話し合いで、まだ城の外へ出すのは早いとの事で、城の中でなら自由に活動をさせ、清掃員として働かせようと決めました。」
ダイコーン王「キクラン王が決めたのなら、それでいいじゃろ。」
キャロット王女「兵士さんはどんな方がいらっしゃるのですか?」
キクラン王「兵士はアミタケ兵が来ますよ。」
ダイコーン王「あの時の兵士か。」
キクラン王「ご存知なのですか!?」
シメジン「実は、会議の時に王と通信をしてて、その時に。」
キクラン王「そうだったんですか。」
キャロット王女「早く会ってみたいです。」
ピー、ピ^、ピー、ピー
突然、マイタンの笠から音がなる。
兵士達がざわつく。
マイタン「ん?」
マイタンは笠から、音が鳴っている物を取り出す。
キクラン王「マイタン、どうした?」
マイタン「マツターン王からの通信のようです。」
キクラン王「繋いでくれ」
マイタンは、プロジェクターを取り出し、通信機と繋げた。
マツターン王「こちら、コノキ王国国王マツターン、マイタンいるか?」
マイタン「マツターン王、マイタンです。
どうかされましたか?」
マツターン王「おお、マイタン、やっと戦争が終わったのだ。」
マイタン「えっ!?」
兵士達「・・・。」
マイタン「あ、あの、今、戴冠式の最中でして・・・。」
マツターン王「戴冠式?誰のだ?」
マイタン「キクランのです。」
キクラン王「どうも・・・。」
マツターン王「おお、そうだったのか。
すまんすまん・・・。」
ダイコーン王「マツターン王、戦争が終わったとは?」
マツターン王「ダイコーン王、そうなのだ。
長かった戦争が、ようやく終わったのだ。」
シメジン「毒コノキ帝国が落ちたのですか?」
マツターン王「いや、お互いに被害を、これ以上出したくないとの意見が国民から続出した関係で、終戦協定を結び、終戦したのだ。」
キクラン王「では、住民の移住は無くなるのですか?」
マツターン王「戦争は1ヵ月前に終わって、移住の取り止めを表明したのだが、一部の住民が移住を志願するので、移住は行う事になっているのだ。」
キクラン王「では、私達は、こちらで、待てばよいのですね?」
マツターン王「まあ、そうなのだが・・・。」
キクラン王「ん?」
マツターン王「アミガッサには、一度コノキ星へ戻ってほしいのだ。」
アミガッサ「それは、どうしてですか?」
マツターン王「ベジー星へ、アミタケ兵を送るにあたり、マッシュ国の国防長官であるアミガッサには、兵士を選定する義務がある、そのため、一度、コノキ星へ戻ってほしいのだ。」
アミガッサ「はあ・・・。」
マツターン王「即決しろとは言わん、考えてくれんか?」
アミガッサ「わかりました。」
マツターン王「でわ、また。」
通信が切れた。
しばらく周りは静まり返ったままだった。
シメジン「これで戴冠式を終了します。」
先ほどの出来事で、拍手はまばらに終わった。
◇第5章 おしまい◇