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ベジタブルー  作者: シグルド
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第4章 盗賊団と旧友(後編)

その頃キクラン達は・・・。


キニーラ「あの・・・。」


ナメタン「どうした?


今頃になってアジトの場所が嘘でしたって言うんじゃないだろうな?」


キニーラ「いえ、アジトの場所は本当です。


ただ・・・。」


キクラン「ただ?」


キニーラ「アジトの入り口は、大岩で塞いであるのです。」


キクラン「ふむふむ」


湖に沿って10分程歩いていると、大岩に塞がれた洞窟があった。


キクラン「ここがアジトか?」


キニーラ「はい、ここです。」


シイタン「しかし、話のとおり大岩で塞がれてますね。」


キクラン「ナメタン、何とかなるか?」


ナメタン「これぐらいの岩なら大丈夫ですよ」


キニーラ「10人で動かす大岩ですよ!?」


ナメタンは大岩の下にヌルヌルした液体を垂らし、シイタンと


キクランが大岩を押す。


すると、大岩はヌルヌルの液体で滑り、洞窟が口を開く。


キニーラ「・・・。」


キクラン「けっこう深い洞窟のようだな。」


キクラン達は洞窟の奥まで歩いていく。


すると、突然大きく開けた空間に出る。


キクラン「ここがアジトのようだな」


キニーラ「はい。」


シイタン「財宝がこんなに沢山」


ナメタン「この岩の奥から声がするぞ!?」


キニーラ「この前、攫ってきた娘達がいます・・・。」


キクラン「そうか・・・。」


キクランとナメタンで岩をどかす。


すると、中に5人の若い娘が囚われていた。


若い娘1「ありがとうございます。


ところで、あなたがたは?」


キクラン「私達は王女様達と丘の湖に遊びに来たのです。」


ナメタン「ところが、盗賊団と出くわしまして・・・。」


若い娘5「キャロット様、いえ王女様はご無事ですか!?」


キクラン「はい、盗賊団を捕まえて、そこで手下からアジトを聞き出して来たのです。」


若い娘3「キャー!盗賊団がいるわ!」


若い娘2「本当だわ!」


シイタン「皆さん、落ち着いてください。


手下は縄で縛っています。」


シイタンは手下をグルリと回し縄で縛っている事を見せる。


若い娘3「本当だわ、良かった。」


若い娘4「サニー、驚かさないでよ。」


サニー「ごめんなさい・・・。」


若い娘5「ご無事で良かったです。


私達はベジタリアン王国の西の村「レタース村」から攫われてきました。」


キクラン「そうでしたか。怖かったでしょう。」


若い娘1「はい・・・。盗賊団は私達の村に突然現れました。」


キクラン「そうでしたか・・・。


あの、すみませんが、捕まえた盗賊団と共に、城に来てもらえますか?」


若い娘達は5人で話し合い・・・。


若い娘5「わかりました。


ところで、王女様には会えますか?」


キクラン「はい、これから合流して城に戻るので。」


ナメタン「先ほど、王女様をキャロット様とお呼びになってましたが、お知り合いですか?」


若い娘5「ええ、昔、父が部隊長だったので、家族で城に住んでいまして、キャロット様とはよく遊びました。」


キクラン「そうでしたか。王女様もお喜びになると思います。」


キクラン達は5人の若い娘と財宝を持ち、エノキン達と合流する。


キャロット王女「レターナ!


レターナじゃない!


あなたどうしてこんなところにいるの!?」


レターナ「村に突然現れた盗賊に攫われたの」


キャロット王女「無事でよかったわ」


ワカメーン王子「王女様、そちらの方は?」


キャロット王女「昔、城で一緒に遊んでたレターナさんよ。


突然居なくなって、とても寂しかったわ。」


レターナ「ごめんなさい・・・。


父が怪我をして、部隊長を辞めたために城で暮らせなくなり、レタース村に移り住んだの。」


キャロット王女「そうだったの・・・。


でも、元気そうでよかったわ。


これから村へ帰るの?」


キクラン「王女様、盗賊団の件がありますので、一度、レターナさん達と城に向かいます。」


キャロット王女「えっ!?レターナも城に行くの?」


キクラン「はい、人質だったので、来てもらいます。」


アミガッサとナメタンに盗賊団を任せ、若い娘4人は、エノキンとシイタンに任せた。


キクランは王女様達の前方を歩く。


王女様は嬉しそうにレターナと城に帰った。


アスパラ兵A「みなさん、おかえりなさい。


この後ろの沢山の人達は?」


キクラン「先に王女様達を中へ。


後、10人程兵士を集めてください。」


アスパラ兵A「わ、わかりました。」


アスパラ兵Aは兵士を集めて来た。


アスパラ兵A「キクラン様、集めてきました。


一体どうされたのですか?」


キクラン「ありがとうございます。


実は、王女様達と向かった先で、盗賊団と出くわしまして・・・。」


アスパラ兵A「盗賊団ですか!?」


アスパラ兵達はざわつく。


キクラン「アミガッサとナメタンとシイタンが応戦して、捕まえてきたのです。」


アスパラ兵A「はあ・・・。」


キクラン「それで、後ろにいる20人が、その盗賊団です。」


アミガッサとナメタンは兵士達に引き渡す。


キクラン「盗賊団の親玉がニンニークです。」


アスパラ兵A「わかりました。」


アスパラ兵達は盗賊達を連れて行く。


アスパラ兵A「キクラン様達はこれからどうされるのですか?」


キクラン「私は、人質だった若い娘4人と取り返した財宝を持って、王様に報告に行きます。」


アスパラ兵A「わかりました。


王様は今、王の間で他国の王様とおられます。」


キクラン「わかりました。」


キクランは王の間へ行く。


王の間には、コンブーン王とゼンマイール皇帝もいた。


ゼンマイール皇帝「おお、新たな王が来たでわないか。」


キクラン「???」


コンブーン王「マッシュ国の王になるのだろ?」


キクラン「話し合いは終わったのですね。」


ダイコーン王「うむ、シメジンとはまだ会ってないのか?」


キクラン「はい、先ほど戻り、直接こちらに来たものですから。」


ダイコーン「それで、どうしたのじゃ?」


キクラン「実は王様、お伝えしたいことがあります。」


ダイコーン王「なんじゃ?」


キクラン「王女様達と外出をした先で、ニンニク盗賊団と言う盗賊に襲われまして・・・。」


ダイコーン王「なんじゃと!?」


チン・ゲンサイ「ニンニク盗賊団といえば、町で噂になっている盗賊団ですぞ。」


コンブーン王「我が国にも噂は届いとるぞ。」


ゼンマイール皇帝「村々を襲い若い娘達を攫っていくと聞いた事がある。」


ダイコーン王「キャロットは無事なのか?」


キクラン「はい、王女様も王子様もご無事です。


町で貼り紙を見て、その時点で応援を呼びましたので、速やかに対処しました。」


コンブーン王「で、その盗賊団はどうしたのだ?」


キクラン「アミガッサとナメタンより、兵士に引き渡しました。」


ダイコーン王「その後ろの娘達は?


一人はレターナではないか。」


キクラン「盗賊団に囚われていた娘達です。


アジトに向かい、盗賊団の財宝と共に帰りました。」


キクランは、財宝を前に置き、横に娘達を誘う。


レターナがキクランの横に来る。


レターナ「王様、覚えててくれたのですね。」


ダイコーン王「ああ、レッタスの家族は覚えておるよ。


あの頃はキャロットがとても楽しく遊んでいたからな。」


レターナ「私も楽しかったです。


今ではとても懐かしく思います。」


ダイコーン王「レッタスが部隊長を辞めて、家族ごと城から出てからは、キャロットが寂しがっていてな。」


レターナ「さっき、キャロット様より聞きました。」


ダイコーン王「父、レッタスは元気か?」


レターナ「はい、怪我も治り、今では村一番の元気者です。」


ダイコーン王「そうかそうか。


レターナよ、キャロットともっと話してくるがよい。


他の娘達も丁重にもてなすのじゃ。」


レターナ「ありがとうございます。」


兵士は、4人の若い娘を連れて行く。


レターナは一人、王女様の部屋へ向かう。


ダイコーン王「キクランよ、良くやってくれた。


褒美をとらせよう。」


キクラン「褒美はいりません。


本来なら戻るべき所を戻らず、危険な場所へ行ったのですから・・・。」


コンブーン王「だが、結果は盗賊団を返り討ちにし、しかも、人質まで助けたのだぞ。


危険なところへ行ったという分を差し引いても十分な功績だぞ。


褒美ぐらい貰ってもいいと思うぞ。」


キクラン「それでは、盗賊団のアジトとその周辺をマッシュ国の領土としてほしいです。」


ダイコーン王「うむ、あの辺りか、まあ良いだろう。」


コンブーン王「でも、どうしてそこを領土にしたいのだ?」


キクラン「アジト内部は、キノコ栽培にうってつけなのです。


それに、周辺には森林と湖と環境的にも良い場所なので。」


ダイコーン王「しかし、マッシュ国の建国場所からは、かなり離れておるが?」


キクラン「はい、領土と言っても、もともとはベジタリアン王国の領土なので、特に何かをする訳ではないので・・・。」


ゼンマイール皇帝「しかし、領地の管理はどうする?」


キクラン「領地の管理はキノコ栽培の者に任せようと思います。」


ダイコーン王「わかった、あの土地はお主に譲ろう。」


キクラン「ありがとうございます。


王女様達には、思い出の場所らしいので、王家のみの立ち入りを可能にしたいと思います。」


ダイコーン王「わかった、キャロットには話しておこう。」


キクラン「ところで、捕えた盗賊団はどうなるのですか?」


ダイコーン王「盗賊どもか・・・。」


ゼンマイール皇帝「儂のところなら、一生牢屋で暮らすがな。」


コンブーン王「私のところは、遠洋で漁だな。」


キクラン「盗賊団達を、マッシュ国の建国のために、労働させてもいいでしょうか?」


コンブーン王「船の上なら逃げ場はないが、陸の上なら脱走するやもしれんぞ?」


キクラン「はい、その可能性を無くしてからです。」


ダイコーン王「どう無くすのじゃ?」


キクラン「まずは城の建設をしたいので、お堀を作ってからではどうでしょう?


堀は水が無い状態でですが。」


ゼンマイール皇帝「堀を越えようとするかもしれんぞ?」


キクラン「私達もいるので、なんとかなると。」


ダイコーン王「わかった、堀が完成したら連れて行くがよい。」


キクラン「ありがとうございます。」


キクランは王の間を後にし、シメジン達の所へもどった。


その頃、王女様の部屋では。


レターナ「キャロット様、改めてお久しぶりです。」


キャロット王女「そんな挨拶はいいから、村での事聞かせて。」


レターナ「レタース村は、とってものどかで、村の人達も明るく、みんなとっても働き者ですよ。


お城にも、野菜を持って行ったりしてるのよ?」


キャロット王女「そうだったの!?


全然知らなかったわ。」


レターナ「たまに、私もお城に来てたのよ。


いつも、兵士に渡すだけだったけど。」


キャロット王女「えっ!それなら、中に入れば良いのに。」


レターナ「今の兵士さんは、私がここに住んでた事知らないから。


それに、あの時、突然居なくなった事もあったし、言い辛かったの。」


キャロット王女「そう・・・。」


コンコン・・・。


突然、扉をノックする音がして


ラディッシュ女王「キャロット入るわよ?」


キャロット王女「お母様、どうされたのですか?」


ラディッシュ女王「さっき、ナメタンさんから聞いたけど、同族に襲われたんですって?」


キャロット王女「はい、でもコノキの皆さんが助けてくれました。」


ラディッシュ女王「そう・・・。


あら?レターナじゃない!?


お城に戻ったの?」


レターナ「ラディッシュ様、お久しぶりです。


実は、盗賊に捕まっていたんです。」


ラディッシュ女王「まあ、そうだったの!?」


レターナ「でも、キクランさん達に助けられたお陰で、キャロット様やラディッシュ様にも会えてとてもうれしいです。」


王女様と女王様とレターナ達は夜遅くまで語り明かした。


次の日・・・。


人質だった娘達やレターナは、兵士に連れられ、レタース村へ帰って行った後、王の間で、前日の会議の結果をダイコーン王より伝えられ、マッシュ国の国王がキクランであることも伝えられた。


◇第4章 おしまい◇

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