表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミネルヴァの雄~冒険者を辞めた俺は何をするべきだろうか?~  作者: ごこち 一
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/1014

32.キオ達の帰路

誤字修正 読みやすいように全体修正 内容変更なし 誤字報告感謝

「マルク先輩。進むの速いですよ」


 マルクの横からワコが飛び出してきた。

 キオ達は、さらに安堵した。


「ワコ。先輩を連れて来てくれたんだな」

「助かったっす」

「無事でよかった」


 三人がワコの無事を喜び、その顔に笑みを浮かべた。


「お前ら、気を抜くなよ。外のは片付けたけど、まだ来るぞ」

「そうなんっすよ。何故(なぜ)かモンスターがわらわら来るっす」

「だろうな」


 そう言ったマルクの目が、ザギーを睨みつけていた事を、キオは不思議に思う。


「先輩、ザギーさんと知り合いっすか?」

「知らないさ。ほら、そいつ連れてさっさと行くぞ」

「うっす。指示お願いするっす」

「アホか。お前がリーダーだろ。しっかりしろ」


(あの時も、同じこと怒られたの忘れてたっす)


 キオは、自分の顔を二度()(ぱた)き、気合を入れる。


「よし! ワコは、敵の接近を警戒するっす。ゼノは、引き続きザギーさんを。グルドンは前めで、ゼノとザギーさんの護衛を優先っす。ムウは、大変っすけど全員の援護をお願いっすよ」

「おっしゃー! さっさと町に帰るぜ」

「ああ、もうひと踏ん張りだ」

「あっ。私、魔石拾わないといけないから」


 キオの言葉に、パーティー全員が活気立つ。

 キオは、マルクが微笑むのを見逃さなかった。




 キオは、先程までの戦闘を思い出す。

 キオ自身とグルドンが、コボルト五体と睨めっこしている間に、他全てのモンスターが魔石となっていた。

 マルク先輩の仕業である。

 ゼノがザギーを護衛するのは想定通りだが、ワコは、ただ魔石を拾うだけだし、ムウに至っては、仕事をせずにザギーの後ろを歩いていた。

 二人でコボルトを倒している間に、マルク先輩は、周囲を掃除してくる始末である。自分たちの牛歩は何だったのかと思うほどに、楽々と、モンスターの群れを突破出来た。


「やっぱり、先輩が来ると緊張感がなくなるっす」

「へぇ……来ない方がよかったか?」

「キオ! 何言ってんのよ!」


 ワコの拳が、キオの頭に叩き込まれ――「あがっ」――キオの奇声が、草原に響いた。

 現在、キオ達を照らすのは、マルクの生み出した光であった。自分たちの上空で、周囲を照らし続けている球体は、マルクが動く度に追従する。

 モンスターに襲われる今であれば、この光は、闇夜のデメリットにならない。

 敵を発見しやすくなるだけ、メリットの方が多いと、キオは思う。

 もう町へは、走れば数分でたどり着く距離まで戻ってきていた。

 ワコに叩かれながらも、キオは周囲への警戒を怠らない。

 そんな中、マルクが言葉を発する。


「ザギーさん、だったっけ? あなたは、これからどうするつもりなんです?」

「ハハハ。もうモンスターはこりごりだからね。しばらくは、ピュテルの町でゆっくりすることにするよ」

「町はいいとこっすよ。ゆっく――」


 キオは反応できなかった。ザギーを襲う一撃に。

 顔面を鷲掴みにされ、ザギーが宙に浮く。

 ザギーの叫びと、うめき声が草原に響き渡る。


「殺されたくなければ抵抗するな」

「せ、先輩! 何してるんすか! やめるっす」


 キオの目の前で、ザギーの顔を潰さんばかりの勢いのマルクを見て、キオは制止の言葉をかけた。

 キオには、意味がわからない。

 キオの制止の言葉に耳を貸さないマルクが、ザギーへと言葉を続ける。


「両腕までなら死なないように出来るからな、動くなよ」

「先輩!」


 キオは、(なお)も声をかける。

 ゼノリースとグルドンは、動くことも出来ない。

 ワコは、ザギーを睨みつけていた。

 ムウも静かにザギーを見ている。

 ワコとムウの反応に、キオは戸惑う。

 キオの戸惑いをよそに、マルクがザギーの懐を(あらた)め始めた。

 そしてマルクは、一つの黒い石を、ザギーの懐から取り出した。


「やめろ! それは俺の――」

「宝とでも言いたいのか……クズが」


 マルクが、ザギーを雑に放り投げる。情けない声で地面に倒れるザギー。


「先輩? それは」

「ダークマター」


 ただ一言、答えたのはムウであった。

 その言葉に、ゼノリースの顔が歪み、ザギーへ憎悪の視線を向けた。

 キオにも少し事情が飲み込めてきた。


「先輩、それ、ヤバいもの……なんっすね」

「ああ、モンスターがお前らに(たか)ってきた原因だよ。≪(かぜ)(やいば)≫」


 マルクが放った魔法が、逃げようとしていたザギーの足元を切り裂く。

 地面が(えぐ)れ、ザギーは悲鳴を上げ転がる。


「次は首を落とす。グルドンも見張っていてくれ」

「わかりました」


 グルドンの快諾の声に、リーダーとしての自分をキオは思い出す。

 が、どうしていいか分からない。

 混乱するキオの前で、マルクは深く息を吐くと、各々に指示を出し始めた。


「キオ。お前は、冒険者ギルドに行ってギルドマスターを連れてきてくれ。ゼノは教会を頼む。ムウは、フクロウの……パック先生を捕まえてきてくれ。俺の名前と『ダークマターを確保した』って言えばすぐだから。ワコとグルドンは、このクズの……というより俺の監視を頼む。辺りのモンスターは任せろ」


 ゼノとムウがいち早く動く。キオも、二人を追って町へ走る。

 事情は分かっても、キオには事態が全く読めなかった。

 今はただ、マルクの頼みを聞くしかない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ