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ミネルヴァの雄~冒険者を辞めた俺は何をするべきだろうか?~  作者: ごこち 一
第一章

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29.ただつまらないマルクの話

マルクがダラダラ話をしているだけの話です。

面倒でしたら読み飛ばして頂いても問題ありません。

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 何処(どこ)から話せばいいのでしょう? 

 生まれ? まぁ、この町では有名です……。

 父はセツナ。母はマリア。

 バンディウス家の一人っ子です。

 父と母は、Aランク冒険者の中でも有名人でしたから。

 ええ、そうです。

 母は『ピュテルの魔女』の方が、名が通ってましたね。

 ええ、俺の、この金髪と魔力は母譲りなんです。

 父に似た所ですか? この目ぐらいですね。まぁ、俺は気に入ってますけど。

 親が冒険者だったからって、別に変な生活していたわけじゃないですよ。両親が家にいないことは、多かったですけど。

 あぁ、その際は、道具屋のおばちゃんが面倒を見に来てくれました。

 ええ、びっくりするぐらい良い人ですよ。

 三歳ぐらいの時なんかも、父と母の冒険譚をよく聞かせてもらってました。

 自分の子供もいて大変だったのに。感謝しきれません。

 ん? 道具屋の子供ですか。俺の話から遠ざかりますよ?

 んー。まぁいいか。長女、長男、次女の三人です。

 特に仲がいいのは?

 ああ、長女のシャーリーです。

 現在は、家業の店の看板娘として、冒険者の中では人気な女の子です。

 初めて会った……会ったっていえるのかな? 彼女が赤ん坊の時ですから。今でも可愛らしいですけど、当時は、触れたら壊れるんじゃないかと、びくびくしていたのを憶えてます。

 ええ。その時から、俺が冒険者になるまではずっと一緒にいましたよ。

 俺が冒険者だった時は、俺が忙しいせいで、月に一度会うかどうかってぐらいでしたから。

 冒険者辞めてからは、毎日会ってますよ。今日もゴンさんに引っ張り出されなければ、一緒に朝食を食べれたのに……残念です。

 一緒にいると元気が出る子で、笑顔が眩しくて、偶に溶けそうになります。

 弟たちの面倒見も良いし、子供の頃から家業の手伝いまでこなして、凄い女の子ですよ。

 わたくしより? それは比べるものじゃないでしょう。

 話が進まないので、納得してください。俺の話に戻りますね。

 四つになった時から、剣と魔法の鍛錬をするようになったので、小さい時より親と一緒の時間はむしろ増えたので、当時は嬉しかったです。

 まぁ、初めの一年は、お遊びの延長線上みたいなものでしたけど。

 ん? 友人はシャーリー以外にいないのかって? 聞かないでください……。

 あぁ、ガランサと出会ったのは五つの時でした。

 ん? 男ですよ。二歳年上の。

 父と、俺と、ガランサの三人で、よく剣の修行をしていたものです。

 何かぎこちない? わかりましたよ。ガル兄です。はい。

 ガル兄の話ですか……エル様、俺の交友関係を掘っても何も出てきませんよ。

 ガル兄は、剣の腕も立つんですけど、今は工房ギルドでポーションを作っています。

 教会ではポーションって使いますか?

 使うのならば知っている人は多いと思います。昔から真面目な性格で、仕事にもそうなのでしょう。効き目の高い、良いポーションを作る職人として名が売れてますから。

 この町でポーション職人は、二人だけなのも理由ですけど。

 昔からガル兄には、世話になりっぱなしです。

 冒険者として疲れて倒れた時も、俺の口に、ポーションを流し込みに来てくれましたし。一緒に小言を聞かされ続けましたけど。

 ん? 嬉しそうだって?

 ええ、嬉しかったですから。

 ガル兄は、俺が冒険者をやるのを元から反対してましたし、小言ぐらい幾らでも聞きますよ。

 次ですか? 親との思い出なんて話すことじゃないですし……。

 変化と言えば六つの途中ぐらいですかね。

 子に魔法を習わせたいと母に頼みに来た貴族がいて、その娘さんが、母との魔法の勉強に参加したぐらいですかね。

 娘? ええ、今でも仲はいいですよ。

 俺が、そう思っているだけかもしれませんけど。アムって子です。

 今度はアムの話をですか? それほど詳しくもないですけど。

 アムは魔法学派所属の研究員で、今は十六です。

 ええ、シャーリーと同い年で、俺よりシャーリーの方が仲がいいかな。

 学派では魔法制御と、スクロールの作成を研究内容にしてますね。

 学び舎では『神童』って呼ばれてたみたいです。

 ん? 可愛いか? そりゃあ可愛いですよ。

 どちらかというと、美人とかカッコいいの方に片寄ってますけど。

 ん? 可愛いですよ。同じくらい男前なのが……少しだけ、ほんの少しだけ気に入らないだけです。

 エル様、そんな目で見ないでください……半分冗談ですから……。

 話を戻します。

 アムとは、子供の頃は、あんまり仲は良くなかったんですよ。まぁ魔法のライバルみたいなものでしたし、ちょっとは俺も対抗意識がありましたから。

 冒険者になってからは、たまに会っては近況報告する感じでしたよ。

 学派には、依頼で出入りしてましたから。

 あ、はい。学派というより、俺は学び舎にも行ってませんから。

 俺の魔法は、母から教えて貰ったものと、冒険者や他の人から盗み見――教えて貰ったものです。安全なものなら、後でお見せしますから。

 はい、後ほど。

 八つの時までは、そんな感じでゆったりでしたよ。

 ええ、知ってますよね。エル様は生まれていたのかな? 邪竜討伐です。

 四組のAランクパーティーが、邪竜を追い返したあの事件ですよ。

 父と母も参加していましたから。生き残りがいただけマシだったんでしょうね。

 そうでなければ邪竜が生きているのか死んでいるのかすら分からず、怯えて生きなければいけなかったですから。

 邪竜の話はいい? ですよね。むしろ俺より知ってそうですし。

 父と母は骨も残りませんでしたから、「お前の両親は英雄だ」なんて町の人は言ってましたけど……馬鹿みたいな話ですよね。

 ああ、それからですか。

 独りになっても別に変りませんでしたよ。アムに魔法を教えて、ガル兄に剣を教わって、シャーリーや兄弟と遊んで、いつも通りです。

 ん? 食事?

 あー。朝は適当、昼と夜は大衆食堂で済ませてましたから。美味しいですよ。

 え? 駄目ですって。

 酔っぱらった冒険者とか(たむろ)してますから、エル様駄目ですからね。

 はぁー、天井から漏れてる魔力をどうにかしてくださいよ……怖いんですけど。

 九歳の時に、冒険者ギルドの門をくぐりましたね。

 Eランクと言っても、一人で依頼受けるのは不安だったので、先輩冒険者パーティーの荷物運びや魔石拾いから始めました。幸いこの町は、遺跡での依頼が多かったので、そういう需要もありましたから。

 ん? その時の強さ? あぁ、普通のオーガぐらいなら倒せましたよ。一対一ならですけど。その頃は、俺も小さかったですから。

 半年ぐらいは続けてましたよ。

 そこから一人でやれそうな依頼をこなして、三か月でDに、Cランクへは時間が掛かって十一歳まで上がれませんでした。

 流石に一人でやるのは大変でしたから。

 まぁ、そこからがちょっとですね……。

 ああ、簡単に言うと、ギルドマスターに嫌がらせされてたんですよ。

 次を受ければBランクに上がれるってなると、依頼掲示板から依頼が消えるんですよ……俺への嫌がらせの為だけに、何やってるんですかね、全く。

 ご丁寧に、指名依頼も事前に断っていたみたいです。

 ランク上昇の集計期間いっぱいまでね。

 あぁ、受付の人が、こっそり教えてくれたんですよ。

 あれが無能なら、それでギルドが困るんでしょうけど、しっかりと他のCランク冒険者たちに不満が出ないように、仕事を割り振っていたっていうんですから。

 その情熱を、別の事に使って欲しかったですね。

 ハハハ、大丈夫ですよ。もう昔の話ですから。

 Cランクになってから、今までの話ですか?

 んー。語れる冒険譚みたいなのは無いですよ。

 毎日依頼をこなして、依頼が無くなったら助っ人依頼を受ける。助っ人依頼によっては一日四、五件こなせましたから。

 依頼をこなして、食事をして、依頼をこなして、食事をして、寝て、起きて依頼を受けて。

 え? もういい? まぁ面白いことは何にもないですからね。

 休みの日ですか?

 あぁ助っ人依頼すら無い日は、流石にゆっくりしてましたよ。

 シャーリー達に構ってもらったり、ガル兄と稽古するのが楽しかったですね。

 え? 休め? 大丈夫ですよ。それぐらいで倒れはしませんから。

 まぁそんな感じで冒険者を続けたあと、こんな感じの無職が出来上がったわけです。

 辞めた理由ですか?

 冒険者として、踏みつけられて、黙っていられなかったというのもありますけど……不満が溜まっていた。ただそれだけだと思います。

 正直、自分でもよく分かってないんですけどね。

 ん? 冒険者を辞めてからですか?

 ああ、教会にも関係していることですが、アムと一緒に、遺跡に散歩へ行った時の話なんですけど――

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