夏の恋人
掲載日:2016/10/16
夏が終わるまで。そう思って始めた関係だったけれど、いつの間にか居心地がよくなって。
あなたの横顔とか、寝顔とか、息遣いさえも愛おしいなんて。
朝日を浴びているあなたの寝顔は、美しかった。
そっと瞼にキスをしようとしたけれど、思いとどまるの。
あなたがまるでいつも通りに笑うから、
私もいつも通りのふりして笑った。
本当は気が付いているんでしょう?
しらじらしい演技ね、と心の奥で笑う。
夏休みの子どもたちがかけていく。
私だけがここに取り残されていく。たった一人きりで。
私は大人になってしまったんだと自覚する。
隣を歩くあなたが、もう誰だかわからない。
ここにいたい。まだ子供でいたいと願うけれど、
この夏に閉じ込められていたいと願うけれど。
このままじゃ、私もあなたもどこにも行けないから。
だから。
きっと泣くのは私のほうね。
それでもいいの。
さようなら。
さようなら。
お読みいただきましてありがとうございました。よろしければご意見・ご感想等お聞かせください。




