先輩と俺とホテルと初デート⁉ (4)
「え~と……先輩?」
先輩は答えない。
「せ~んぱ~~い」
ありゃ?
「せ~~~~ん―――――」
すると、少しキツイ口調で、
「ま・さ・き‼」
……すみません。
「真咲――さん、何でこっちに向かっているんですか? もうすぐ終電出ちゃいますよ?」
そう、俺たちは犯罪を犯している人を捕まえた。
そして時間を浪費して、こんな時刻になっているのだ。
「あら? もう終電、もう出てしまっているわよ?」
ほんの五分くらい前に、と付け足して先輩が答える。
ん? 今の時間は二十二時半。で、終電は二十三時、。まだ三〇分はある計算のはず……
だが……ほら、と言いながら見せられた先輩の時計は……二十三時五分。
マジですか……。
時計は肌身離さず持っていたはず。
そして今朝はあっていた。
つまり……
「あら、私が異能で時計の針をずらしたの、気が付かなかったの?」
先輩は悪戯っぽく笑った。
先輩の異能は……物体に触れずに干渉する能力。
だから、こんな風に腕時計の針を、ガラス越しに気づかれず、ずらすことができたのだ。
「でも先輩、その能力って……一回使うのに…………」
相当体力を使うはずだ、と付け加えようとすると、
「こんなの全然平気よ?」
だが、俺には疲れているようにしか見えなかった。
「先輩、疲れているんでしょ、休まないと……!」
そういうと、先輩は、してやった、と言わんばかりの顔をして、
「そうそう、そういえば……ホテル、予約しているわよ?」
そう言うと同時に、ホテルが正面に現れたのであった。
さっきの疲れているふりって……ここに行くため?
そう疑問を感じながら、先輩に促らされながら入るのであった。
あ、誤解しないように、ここラブホじゃないよ? ここ重要。
「せん……じゃなくて真咲さん、勿論ベッドは……」
シングルですよね、と言おうとしたが、
「ええ、期待通り、ダブルよ」
マジすか……
俺なんかと不釣り合いなスタイルのいい先輩と……二人っきりで宿泊?
そう思っていると、
「なにやっているんじゃこのへんたい‼」
とめっちゃオタクっぽい声とともに萌が姿を現した。