先輩と俺とホテルと初デート⁉ (1)
このところ時間がなくて……(言い訳)
すみません、分けて出します。
【2】先輩と俺とホテルと初デート⁉
「ヘタレ、よく来ることができたわね、ヘタレ」
先輩、あんまりヘタレと連発しないでください……。
結構傷つくんですよ?
「ヘタレ、よく時間を守れたわね、ヘタレ」
まあ、一応先輩との約束だし……。
守らなかったら大変なことになるでしょ?
「ヘタレ、……………………、ヘタレ」
「先輩、さっきからヘタレって……あんまり連発しないでください。一応ここ、公共の場ですよ?」
そう、ここは駅。
今日は約束の日―――先輩との買い物の日だ。
真咲先輩と出かける、と妹に言うとやたら大変そうな顔をして、服までコーディネートされた。俺が鈍感すぎる、と妹からは言われるが、俺は妹が神経質すぎるといつも思っている。
(何でこんなに服にこだわらされたのだろう?)
今でも不思議でたまらない。
先輩、最後のってヘタレとしか言っていなかったでしょ、先輩。
「あんたってヘタレでしょ? ヘタレってGo〇gleで検索したら真っ先に、吉居沚って出るくらいに。ヘタレは吉居沚の全てを物語っていることすら知らないの? ヘタレ」
「先輩、いい加減やめていただけませんか? 流石に周囲の視線が気になります。」
それどころか、俺を見るなり、3桁の番号を回している人すらいる。
(それ、消防署に回しているんだよね?)
まあ、これは先輩が美人過ぎる、というのも周囲の目がこっちを向く原因だったりもするけれども。
「あら、それっていつものことじゃないの、ヘタレ?」
…………。
先輩、人に見られること慣れているんですか?
美人なのもたいへんなんだなーと思いつつ、やはり、
「そのヘタレ、やめてくれませんかね?」
そういうと、
「そうね、流石に初デートだし、このへんでやめときましょうか、ヘタレ」
最後のヘタレはなんだか、暖かく聞こえた。
そして………………初デート?
……………………デート?
これってデート⁉
それもそうか……男女が二人っきりで買い物ってデートか‼
そう考えると妙に緊張する。
俺って先輩には不釣り合いだよね?
そんなことを考えていると、
「まあ、沚くんは唯の荷物持ちになるのだけれど」
唯の…………
なんかショックを受けた……
「先輩、さっきまで『初デート』っていう先輩の発言で戸惑っていたんですけど‼ 俺、緊張していたんですけど‼」
そういうと、少し動揺を見せ、邪悪な笑みを浮かべる。
(先輩、何を思いついたんですか? 怖いです)
そう思考を巡らせていると、
「あら、初デートなのね、童貞」
まさかだった。
まあ、先輩ならあり得なくもないけれど……
先輩、だからここ公共の場ですよ?
「初デートおめでとう、童貞」
だからもうやめてください。
「童貞……………………………………童貞?」
わかんないならほんとやめてください。
マジで周囲の目が怖いです。
そして最後の、童貞としか言っていないです。
「まあ、このくらいにしておいてあげるわ、ヘタレ」
「先輩、さっきそれやめるって言っていませんでしたか?」
そういうと、先輩は、小悪魔的な笑みを浮かべ、
「そうだったかしら、童貞?」
「だからもうやめて~~~~~~!」
そういうと、先輩は少し後ろに目線を遣る。
そして、
「早く行きましょ、そろそろ出ちゃうわよ、電車」
そういわれながら、先輩は俺の手を引くのだった。