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プロローグ

二作品目です。

読んでいただけたら幸いです。

 このような話を信じますか?


 ――ある日異世界に転生したという話を。


貴方はこれが羨ましいと思いますか?


――異能の力を得たという話を。


俺も、健全な、オタクの男子高校生だから、全力で憧れていました。そりゃあ、異世界があるなら行きたいし、異能の力で戦うのもかっこいいと思っていたさ。ジョ〇ョみたいにスタ〇ド使って敵倒すのも憧れてたし、ソード〇ート・オン〇インみたいに、ゲームの世界で、命がけで戦う姿を見てカッケーなんて思ってた。ノーゲー〇・ノーラ〇フみたいに、異世界で、ゲームで無双するのも一度はやってみたいなーなんて思っていたさ。


だが………いざ異世界に来て異能を手にしても………こんな残念だとは………………


その異能についての話はさておき、俺の自己紹介を。

俺の名前は――――――――


「「「そんなの後でいいから早く倒して‼」」」


 少女3人の声。

 少女の前には体長5メートルにも満たない程のドラゴン。

 ちなみに一番右にいる方から……………


「早くやっちゃってください。また死にたいんですか? 殺してあげますよ? それが嫌なら早く倒してください。もう限界です」

「しゃーねーか……ッ‼」

 そして俺の異能を発動させる。

運命(ランダム・)(トランプ)……ッ‼』

そして俺は、能力の開放でまたもや社会的に死んだ。



  ・・


「また今日も大変だったねぇ~」

そう声をかけたのは白銀の髪の少女。

顔つきは……非常に幼い…………。

「まったくですよー」

そう俺が返すと、

「でぇ、今日はぁ、どんな条件だったのぉ‼」

長い二つのまとめている髪を揺らせながら迫ってくる。

どうやら、とても知りたいらしい。

「きょ、今日のは………」

口ごもる。

「うんうん‼」

「マッパで…………」

「うんうん」

さらに彼女は興奮気味になる。

「エロ本……買ってくる………でした」

「おお~(笑)」

げらげら腹を抱えて笑っている。

「な、なんで拒否らなかったの(笑)」

 だって……結構危うい状態だったので……緊急事態だったので……そう答えると、更に笑いがひどくなる。

「いい加減、笑うのやめてもらえますかね……?」

だって……ここ、学校ですよ? と付け加えると、

「学校であんなこと言ってるやつにぃ、言われたくないのぉ」

? そっか、ここ学校か‼ 合点がいった。

「って、何言わせてるんですか、エリアル先生‼」

「え~~だって、周りの反応が面白かったぁ~のよぉ~~! あ、なぎ君はあたしのこと、エリって呼ぶの許可してるのにぃ、いつまで経っても呼んでくれない~」

「それは……」

うんうん、と先生は頷いている。

「先生と生徒の関係だからでしょ‼」

 少なくとも生徒と先生。

いくらエリアル先生が幼顔だとしても、それに変わりはない。

呼び捨てを超えて、ニックネームとか、普通に考えてダメでしょ?

そもそもニックネームでよんでる女子なんて数えるほどもいないのに…………。

「先生はぁ、生徒と先生の禁断の関係の予感がするのにぃ~」

ぎょろっとみんなが振り返る。

いや、それだけじゃない。

「先生、それって生徒が先生のニック――――――」

「そうそう、先生これからぁ、授業あるからぁ~後はよろしくぅ~」

 周りを見ると、女子は顔を赤らめている。

なんか……身の危険を感じているかのような雰囲気というか、逃避行動をとっている奴もいるし……

「寄ってくるな、(よし)居沚(いなぎさ)ッ‼」

 そういっている俺の親友のはずの奈雅井祐二(ながいゆうじ)

 というか、何で男子まで⁉

(あの教師、またこじらせたなッ‼)

「じゃあねぇ~~~」

 ハイテンションで職員室に走っていった。

「まあ、あれはあれで先生らしいよね~」

 そう声をかけてきたのは同級生のポニーテールの少女。

「ありがとう………」

 そうお礼を言うと、

「あんたのためにやったんじゃないんだからねッ‼」

 俺のためにやってないの?

 じゃあ、誰のために?

「それは……そうよ、あたし以外の女の子が怖がっているから…………仕方なく……………って何言わせんのよ! ばーか、ばーか‼」

もうわけわかんないじゃねーかよ。

テンパってるんだろうけど……ってテンパる状況か?

「もう、あんたなんか知らないから、もう手助けしないから‼ あんたの能力って1分間はロスするんでしょ? その間の援護、これからしないんだからッ‼ ベーだ‼」

そう、もう既にこのポニーテールの少女が言った通り、俺の能力発動には少なくとも一分は無防備にならなくてはいけない。

「いや、お前が知らなくても俺が知っている、河村萌(かわむらもえ)ッ‼」

 そう言いながら、キリッと指をさす。

 決まった~~‼

 何故かこの行為に達成感を感じた。

 そして、続けて、


「お前がオタクだと、な」


 きょとんとした目で萌がこっちを見てくる。

 あれ、もしかして蛇足だったりした?

「なななななななな…………………………なにいってんのよこのバカぁ‼」

 萌はそういって、

「おもてにでろこのくそやろう」と、萌が女子であることを忘れさせるような、そんな言動を訊くこととなってしまった………。


     ・・


「あれだけあたしがオタクだということ隠しておけって言ってたでしょ? あんたのそのメガネ曇ってんの?」

 まあ、俺コンタクトなんですがね。

 流石は幼馴染。

 昔のイメージが残っているのか~。

 って感心していると、

「今後はこんなこと、言わないことね。次やったら今度のコミケ、あたしの分全額負担なんだからッ‼」

 ん? まてよ。

 こいつ、いつもトラック準備してコミケ行ってたよな?

「まあ、どーせ」

 両手をパーにして、

「これに10の7乗かけたくらいよ(1000万)? 大したことないわ」

 そうこいつの家は……

「それはお前んとこの親父さんが大企業の社長だからだろ⁉」

 そんなの関係ないわよ? といい、大した金じゃないのに……みたいな顔つきでいらっしゃる……………。

「お父さんがすごいっていいなー」

 あれ? なんか顔が真っ赤になってますよ?

 なんかあわあわ言ってる……

「お、お義父さんって呼ぶのはや、早いって~~~~~~~~‼」

 あれ、なんかどっか行っちゃった………。

「なんで走っていっちゃったんだろう………」

 そうつぶやくと、

「あら、いつまで経っても女心わかんないのね」

 振り返ると、黒髪ロングの先輩が立っていた。

「まあ、そういうところ、可愛いのだけれどね」

「そうやってまた茶化すんですか、上井草真咲先輩」

 そういうと、

「あら、私のことは、そうねえ……マーちゃんでいいっていつも言ってるでしょ?」

 あれ? この流れ、前にもあったような…………?

 そして、一瞬考えたでしょ、先輩。

「先輩、見てたんですか?」

「知らないわ」

「何を?」

 そう訊くと、

「あなたとアリエル先生が楽しそうにおしゃべり(笑)をしていたことなんて、寸秒を見てないわ」

「見てたんですね? あとあの先生エリアル先生ですよ?」

 そう訊くと、

「あなたとアリエル先生が、楽しそうに、『私のことはエリちゃんでいいといつも言ってるでしょ』とか楽しそうに話していたところなんて私は知らないわ」

 詳しすぎる………

 そして、エリアルですよ、先輩。

「どのタイミングから見てたんですか?」

「ええ。あなたがマッパでエロ本買ってきたことを公衆の前で暴露している姿なんて格別の味としか言いようがない程に、表現しきれない程に面白かったわ」

 そう、彼女の特徴はこの毒舌…………

「それだけじゃないの。周囲の人に気づかない程アリエル先生井に集中していて……まあ、萌には気が付かなくてもいいのだけれど、私のことすら気が付かない程に…………‼ あの女、ただじゃおかないわ………………ッ‼」

 あのーエリアルだってば。

そして、エリエル先生、先生なんですけど?

 なんか、あの先生叩いて大丈夫なんですかね? 

「この埋め合わせは明日お願いね」

 ん?

「この埋め合わせは明日お願いね」

 はい?

「この埋め合わせは明日お願いね」

 …………?

「この埋め合わせは明日お願いね」

「わかりましたからッ‼」

 あれ……この先輩、何お願いするのだろう?

「明日、ホテル用意しているのでけれど……勿論くるわよね?」

 俺の聞き間違えか?

「明日、ホテル用意しているのでけれど……勿論くるわよね?」

 はい?

「ホテル用意しているのでけれど……勿論くるわよね?」

「何でホテルからなんですか‼」

 あれ、俺なんかおかしいこと言ったかも……⁉

「一割は冗談よ。明日は一緒に買い物に来てもらうわ」

「残り九割はどうなんですか!」

 そういうと、

「どうかしらね」

 うっかり見惚れてしまうような、可憐な先輩の笑顔。

 そして少し顔が赤くなっている気がする。

 ほんの一瞬、意識がすべて先輩に集中していたのか、ほんの一瞬だけ、言葉が途切れていた。

「やめてくださいよ。俺も……その心の…………準備みたいなものもあるんですから」

 そして、一瞬先輩が動揺したかのように見えたが、

「あら、準備していたらいいの?」

 さっきの笑顔とは違う……なんかこう…………見透かしているような……小悪魔的な笑顔を見せた。

「いや、俺たちまだ高校生ですよ?」

「高校生だから問題ないと思うのだけれど……?」

 あ、そうだった……

 ここ異世界だから、日本の常識は通用しないんだった……。

 この世界では、十二歳から結婚できるんだった…………。

「明日、駅前で13:00に待ち合わせね!」

 そうして本日二度目の先輩の全力の笑顔を拝んだのであった。


     ・・


「あーおかえりー」

 そう声をかけたのは、我が妹。

「こら()()、そんな恰好でいたらダメだろ?」

 そう、我が妹は風呂から出てすぐのようで、髪が濡れた状態。

 そして、その……一応、服は羽織っているものの、結構はだけた格好なのだ。

「おにーちゃんだからいいでしょ?」

 そう、なんか、テレビを見ながら答える。

「口の中にポテチを入れたまま話すのをやめなさい」

 なんか、おっさんみたいだろ、その姿?

 そんな風に考えながら言うと、、

「だ・か・ら、おにーちゃんしかいないし問題ないっしょ」

 そんな姿をしていても、元がいいのか、少し色っぽく見える。

 肩まで伸びた少し茶色がかった髪。

 どうしていつもこんな格好しているのに傷まないんだ?

 そんな疑問を浮かべながら見ていると、

「しょーじきそんなにじろじろ見られてたらいくらおにーちゃんでもちょいはずいんですけど? やめていただけませんかねーおにーちゃん」

 あー妹までにもキモいって言われた~。

 しょーじきショックだわ~~

「あたし、向こう行くから、じゃーね、おにーちゃん」

 こういう対応されると傷つくなー

 そう考えながら、自分も部屋に戻る。

 まあ、部屋でやることは基本的にゲームや漫画だ。

 異世界といえども殆ど日本と変わらない。

 やはり、俺がいた世界も正しい方向に発展していったからだろう。

 ただ、2つ大きな違いがある。

 一つは、異能の力があること。

 もう一つは…………

「おにーちゃん」

「どうした、香菜」

 珍しい。

 香菜が俺の部屋を訪ねて来るなんて。

「さっきは……その…………言い過ぎた」

 香菜もこういう可愛いとこあるんだなあ……。

 まあ、容姿は兄である俺から見ても完璧としか言えないんだけど。

「気にしてねーよ」

 そういうと、香菜の顔がぱあ、と明るくなる。

「まあ、一緒に異世界に来た仲だもんなねッ‼」

 そう、俺と香菜は一緒に異世界に来た。

「ああ、そうだな。折角の家族旅行だったのに……なんか、残念味はあったけどな」

 あれ、そう? みたいな顔をしたので、

「まあ、初めての富士山だったし……」

 と付け加えると、

「そういえばそうよね~」

 俺たちは家族で富士山に行った。

 その時、香菜のペンダントがなくなって、探していると、少し道から離れた崖にかかっているのを見つけた。

「そんで、一緒に落ちちゃって」

 そう、俺は妹のペンダントを取ろうとして崖から落ちた。

 それと同時に俺を支えていた妹も落ちたのだ。

「気が付いたら、こっちにきてたからなー」

 どうやってこの世界に来たのか、何故この世界に来たのか、まったくわからない。

 だが、一つ言えるのは…………

「ま、こっちのほうが楽しいんだけどね」

「そうだな」

 それに関しては俺も同意見。

 元の世界が楽しくなかったわけではないが、こっちのほうがルーズだし……

「異能の力、あるしね~」

「いいや、それは楽しくない」

 まあ、俺のが残念能力だからだろうけど……

「え~~おにーちゃんんも最初、『すげー』とか『カッケ―』とか言ってたでしょ?」

 まあ、それは一切否定しない。

 だがな、妹よ……

「俺はこんな残念能力は要らない」

 そういって、ドアを閉めてしまった。




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