ユーカと創世神話
むかしむかし、せかいには、なにもありませんでした。
そらも、うみも、だいちもなく、まっくらなせかいには、ひかりもありません。
やがて、ながいじかんがすぎて、まっくらなせかいがぐるぐるとまわりはじめました。
ぐるぐるとまわる、うずのちゅうしんにうまれたのが、いちばんめのかみさまでした。
いちばんめのかみさまは、まっくらなせかいをつまらないとおもいました。
そこで、せかいをおおきくかきまぜて、ひかりをつくりました。
つぎに、じぶんとおなじものをつくりました。
ぜんぶおなじだと、つまらないので、せをちいさくしたり、むねをふくらませたりしました。
それが、にばんめのかみさまになりました。
ふたりになったかみさまは、ふたりだけでもさみしいとおもいました。まっくらなせかいは、それはもう、はてがないほどひろかったのです。
ふたりは、いっしょにせかいをかきまぜて、いろいろなものをつくりました。
たいようや、つきやほしをつくり、そらをつくりました。
だいちをつくり、だいちには、やまや、たにや、もり、さばく、うみやへいげんをつくりました。
そして、かざったものをみるために、あさとよるをつくり、あさはたいようを。よるはつきとほしがみえるように、だいちをまわしました。
だいちは、たいようとつきをめじるしにして、ぐるぐるまわるうちに、ボールのようにまるくなりました。
かみさまは、だいちがまるくなるころ、おおくのいきものをつくり、だいちへはなしました。
さかなや、どうぶつ、むしたちはこのとき、だいちにうまれたものです。
いきものがだいちにふえると、にぎやかになりましたが、かみさまはやっぱりさみしいとおもいました。
なぜなら、ことばをはなせるのは、いちばんめとにばんめのかみさまだけでしたから。
そこでかみさまは、じぶんたちににたものを、またつくることにしました。
にんげん、となまえをつけたそれは、かみさまとくらべてすごくよわかったのですが、そのぶん、たくさんこどもをつくることができました。
どうじに、だいちをかんりするために、じぶんとにたかみさまもつくりました。
りくのかみさま、うみのかみさま、やまのかみさまなどです。
それぞれのかみさまも、かみさまのまねをしてにんげんをつくりました。エルフや、ドワーフや、じゅうじん、むしびとたちは、このときつくられました。
すっかりにぎやかになっただいちをみて、いちばんめと、にばんめのかみさまは、まんぞくそうにわらいました。
そして、さいごにかみさまのおつかいとして、しんじゅうをつくり、じぶんたちはそらへとすんで、いまも、だいちやいきものたちを、みまもっているそうです。
(世界をかき混ぜて作る…そこは日本神話と似てるよね)
絵本をめくりながら、心の中でそう呟く。
少女は、前世では篠井夕香を呼ばれ、今はユーカ・ライクレジットと呼ばれている。
輪廻では名前も引き継ぐものかと、当初は感心したが、名前を呼ばれてもすぐに返事が出来るため、今では気に入っている。
異世界に転生して2年の歳月が流れ、過去の記憶がはっきりと思い出せたのはごく最近のことだ。
いや、記憶そのものは赤ん坊の頃からあったが、それを認識し、順を追って思い出せるようになるには、二才児程度の知能が必要だったらしい。赤ん坊の頃から自我が芽生えていれば、おむつやら授乳やら、成人女性として耐えられない事が多いので、本当にラッキーだったと思う。
「ユーカお嬢様。おやつの時間ですよ」
聞き慣れた声に、本から顔を上げる。彼女はアーシェ。明るい灰色の瞳に、さらさらの金髪を邪魔にならないよう結い上げ、黒のドレスに白いエプロンをつけた姿はどう見てもメイドだし、事実彼女はメイドだった。まだ若そうなのに子供の世話を任せられるのだから、信頼も厚いのだろう。
「ん」
ユーカは一通り読んだ絵本を閉じて、アーシェの手を取る。歩くことは出来るけど、頭が重いのと、足の踏ん張りが弱いのですぐに転んでしまうからだ。
アーシェもそれは解っているらしく、ゆっくりとしたペースで歩き始めた。
平仮名ばかりで読みにくく、申し訳ありません。子供向けの絵本風に書いてみました。
台詞と描写の間も、一行開けた方がいいのか、無い方が読みやすいのか…他の方の作品を参考にしながら、修正して行こうと思います。