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二週目の人生  作者: 翠葉
1/3

プロローグ

2話目が二重投稿になったので、あげなおしました。

二重分だけ削除出来たかもしれませんが、マニュアルを読んでも見当たらず…以後注意いたします。

あと、作者名もつけました。混乱させてしまい申し訳ありません。

 輪廻転生

 人間は一度死んだ後、死後の世界に行き再び生まれ変わる。

 肉体は消滅しても、魂そのものは共通しているので、転生後も生前と似た人生を送る事が多い。



「お断りします」


 それまで黙って説明を聞いていた彼女が、開口一番発した言葉に、赤鬼の事務員は書類を書く手を止めた。

 ここは地獄。閻魔庁の受付…というと妙に現代風に聞こえるが、これは見る側の認識によるものだ。キリスト教圏であるなら、ここは天の国、もしくは地獄への入口であろう。イスラム教圏であるなら、信仰を貫いた者だけが行ける天国であるだろう。

 彼女…篠井夕香ささいゆうかはごく一般的な日本人であるので、仏教の影響を受けた認識。更に、文明が発達した現代社会に生きていたせいか、古来から伝わる地獄が想像出来ず、妙に現代風な閻魔庁が出来上がったという訳らしい。

 

「篠井夕香さん。地球の日本出身。性別女。享年36才。死亡原因は交通事故。間違いありませんね?」


 目の前に座るのは赤い肌に小さな角を頭に生やした事務員さんだった。年齢は解らないが、いかにも慣れてますという雰囲気から、この職に就いてしばらく経っていることが解る。

 対する夕香は、その言葉にしばらく考えてから頷いた。

 自分の意識は、いつも通り起きて仕事へと向かう途中、何故かこっちに向かって突っ込んでくるトラックが大写しになった所で途切れている。痛かったというか、驚いた。痛みの記憶が無いから、多分即死だったんじゃないかと思う。


「先ほどの言葉ですが」


 と、回想に耽っていた夕香だが、事務員さんの言葉に顔を上げる。


「あなたはまだ、解脱出来るほど徳を積んでいません。ですから、輪廻は強制的に行われます」

「別に悟りたいわけでも、永遠の寿命とか欲しいわけでも無いんですけど…」


 思わずため息をつきながら夕香は答える。生前は、その歪んだ性格からか友人もできず、恋人もおらず、勉強も運動もダメ。学生時代はイジメを受けていた。

 自分の望みは、終わらせる事だ。輪廻の仕組みが説明通りなら、生まれ変わっても同じような人生を歩むことになる。

 ここで、冒頭の台詞になるわけだ。どう考えてもいい事が無かった人生。繰り返したいと望む奴はマゾだ。虐められる事が日常で、微妙にマゾ寄りだった夕香でもそれはお断りだった。


「先ほども言いましたが、輪廻は強制です。そこにあなたの意思は関係ありません。

 ただ、地球に転生を希望される方は多いので、別の場所になるでしょうね」

「別?他の星とか、平行世界とか…ですか?」

「はい。輪廻そのものは拒否出来ませんが、次に生まれる世界であれば、ご希望のもの…或いは、それに近い世界へと送る事が出来ます。

 人に生まれるかどうかまでは、解りませんが」


 そう言えば仏教って、動物や虫だけじゃなくて、木や草、石にも魂があるって世界観だっけ…

 生まれが日本なせいか、万物に魂が宿るという宗教観に違和感は感じない。輪廻が拒否出来ないなら…とため息混じりに口を開いて。


「それじゃあ―――………」





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