表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/17

【序章◑◐消えた兄】

 その日は私の誕生日だった。祝いの席を終わらせた後、部屋に戻ると兄様がいた。

「にいさま?どうなされたのですか?」

 兄様は微笑んだ。そして、

「影[えい]。これは僕からのお祝いだよ。大切にするんだよ」

 と言って、持つ所に五芒星の彫ってある鍵を一つくれた。兄様はいつも誕生日になると可愛らしいお花をくれるが、その日は違った。花のようにいつかは無くなってしまう物てはなくて、いつまでも形の残る物をくれたんだ。私は、嬉しくて嬉しくてたまらなかった。

「にいさま、ありがとう!」

「どういたしまして」

 私が兄様に抱きつくと、兄様は私をぎゅっと抱きしめてくれた。それからすぐに兄様は部屋に戻って行った。

 私はこの時、未来で何かが起こるとも知らずにすぐに寝台に身を横たえると、ストンと眠りについてしまった。

 次の日になって私が起きると屋敷は騒がしかった。何事かと思って近くにいた使用人に話を聞いて初めて、兄様は屋敷から姿を消していた事を知った。あの鍵だけを残して……。

 これが私の一番古い記憶。埃を被らずに覚えていたこの記憶の日はそう、七歳になる誕生日の日。子供が神様の元から正式に離れる日。この日の事を私は決して忘れないだろう。あの鍵と共に……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ