猫
Ⅰ.猫
私は、猫よ
他よりちょっと毛並みが良くて、他よりちょっと器量が良いの
甘えたら、誰かが可愛がってくれるし
ゴハンだって貰えるの
でも、誰かのものには成りたくないわ
首輪を付けた猫が、私の前を横切るの
バカね、あんなに器量の悪い
もっと可愛い猫が居るのに
猫なで声で、バカみたい
ひげをきられて、追い出されたら
どんなに辛いか知らないで
私は、猫よ
他よりちょっと毛並みが良くて、他よりちょっと器量が良いの
他よりちょっと疑り深くて、他よりちょっと頭が良いの
人間なんて、信じない
ある日、迷いこんだの小さな庭のアパート
男が一人項垂れて、みっともないたらありゃしない
猫なで声ですりよって
ゴハンを少し貰ったわ
男と私は、たまに逢った
男は私の頭を撫でた
男は、時折笑ってくれた
ふんわりした、優しい笑顔
私を飼いたがる人は、いっぱい居るの
だって私は、器量が良いの
他よりちょっと器量が良いの
他よりちょっと毛並みも良いの
男と昼寝をしてみたり
男と散歩をしてみたり
男と一緒に遊んだり
男と過ごす日々が続くの
私、気付いちゃったのよ
あんたにだったら飼われたい
私の為に買い貯めた
缶詰を見てそう思う
首輪をかけて頂戴よ
早く、早く、首輪をかけて頂戴よ
私あんたと一緒に居たい
あんたと生きてみたいのよ
首輪をかけて頂戴よ
早く、早く、首輪をかけて頂戴よ
私みたいな器量良し
直ぐに何処かにいっちゃうわよ?
ぐずぐずしないで、さぁ早く
私の気が変わらないうちに
ぐずぐずしないで、さぁ早く
あんたのものにしなさいよ
私は、猫よ
他よりちょっと器量が良くて、他よりちょっと毛並みが良いの
あんたのものになりたい猫よ
さぁ、早く、首輪をかけて頂戴