第19話 知ってた
「むぅ・・・」
エレーが仲間になって数日
その間ずーっと何か考えているシー
エレーは不思議な目で、オリスは分かっているような目で、ヨヒリは心配そうな目で
リオはどうでもいいというな目でシーを見ていた
「何を考えているの?」
「ヒャァ?!!」
よっぽど考えていたのだろう、私が話しかけただけでそんなに驚いて・・
でも・・でも・・・
なにも・・木に登らなくたっていいじゃない!
「いつも何を考えているの?」
エレーが聞く
「ちょっとね」
そういって誤魔化す日が続いた
ある日、オリスがシーに向かってこう言った
「そろそろ教えてもいいんじゃないか?」と
「それもそうだね・・」
何のことだろう・・・?
「実はね、ボクとオリスは知ってた、最初から あいつはアウロじゃないって」
「え・・?」
驚きのあまり、そんな声しか出なかった
「なんで教えてくれなかったの?」
ヨヒリが戸惑いながら言う
「あいつは恐ろしいヤツ、あの時の力じゃ、ボク達はもうここにはいないよ」
「言ってもしバレても結果は同じ、ならアイツが本性を現すまで待とうと決めたんだ」
「・・確かにゼリテ・・あいつの目を見たとき、恐ろしいと感じてしまった」
「あと、アウロ=ルーナはエルフでも獣人じゃないという所を除けば、姿は同じ」
そうなんだ・・・
「でも、アウロはあんなに大人しくないよ、お転婆な子」
「いやいや、なんでシーそこまで知ってるの?昔の人でしょ?」
シーはあれ?と言うような顔を見せる
「しらないっけ、獣人やシアンは長寿だよ多分後1000年くらい生きるかもしんない」
「もうお前といて400年くらいか?」
「え!もうそんなに経ってた!?」
「「ええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」」
ヨヒリと私の声が森中に響き、鳥が慌てて飛び去っていく音がした
そんな私達をよそに、リオはある質問をする
「ではゼリテは何故エルフと獣人のハーフという幻影をしたんだ?」
「そこは高度な幻影でも限界があったのだろう」
珍しくシーが物知りな雰囲気を出して説明をする
「いくら高度な幻影でも、二つの種族を完璧に出来ない、出来ても数分程度、つまり片方ならばゼリテの実力だったらできる、二つの種族は出来なくて、片方なら出来る」
「あの時、ゼリテの耳は・・まさか!」
「そう、ゼリテは獣人だ」
「それだけじゃないさ」
シーは話を続ける
私とヨヒリは理解が遅いのかまだ二つの種族は完璧に出来ない・・・とか言っている
エレーは興味津々・・というよりも冷静に話を聞いている
「ゼリテはボクの友達 ゼリテは元々闇魔法が得意だったから」
「しかし・・あちら側になっているなんてな」
「いつも冷たいけど優しかったのに・・何でっ・・なん・・でっ」
シーがポロポロと涙を流している
「辛かったんだね、泣いてもいいんだよ・・」
私はこんな言葉をかけてあげる事しか、できなかった
「うっ・・うう・・うわぁぁぁぁぁ」
大きな声をあげて泣くシー
ゼリテ・・彼女に何かあったのだろう・・・