第17話 アウロ
「え・・アウロってリヴァンの生まれなの!?」
天井を見るようにしてアウロは答える
「・・そうよ 私はリヴァンの生まれなの」
リオは納得したように言う
「だからか・・・迷いの森の出口にリヴァンを選んだのは」
「選ぶ?出口って一つじゃないの?」
「・・シー、知らないのか?」
オリスが驚いたような顔を見せる なかなかのレアだ。
「迷いの森の出口は幾千とあるんだ、その中からリヴァンを選んだアウロなら・・・」
「つじつまが合うわね」
今まで黙ってたヨヒリが言う
「でもよくあんな森から道が分かったねぇ」
「そうだね・・私達にとっては同じ道にしか見えなかったもん」
「俺は知っていたが?」
オリスは平然と言う
「「当然でしょ!」」
貴方は物知りなんだから・・・
「そろそろ行こうよー」
「・・それもそうだね、そろそろ行こっか」
「待て、その前に・・」
「・・・・」
リオがそう言ってアウロの方を見る
オリスはやはり・・というように険しい顔をする
リオがアウロの元へ行き、こう言った
「アウロ、お前の本当の名は何だ」
「・・・・」
リオが言うと、アウロは俯いて黙ってしまった
本当の名前って・・どういうことなの?
そしてアウロは何かを決意したように席を立つ
そして私達を見る
とても冷たい目で・・
「私の本当の名は ゼリテ・ミータ それだけ言えば十分であろう?」
そしてリオを見て
「お前、いつから気づいた?」
「・・先程な」
そしてアウロの身体がサラサラと砂のように消えていく
後に残ったのは
黒く長い髪に紫の目 鋭い目つきの別人だった
「こいつ・・二重に幻影できるのか・・・」
オリスが悔しげに言う
「ふん、私にかかれば容易い事」
「アウロ・・?」
ヨヒリは信じられないという顔でアウロに近づき、触ろうとした時、
「触るな」
「うっ・・!」
アウロはヨヒリに向け、魔法を放ったのだ
ヨヒリは壁に吹っ飛び、そのまま気を失ってしまった
「これで分かったかしら、私はエルフのアウロではない・・って事」
そしてヨヒリの精霊が宿っているネックレスを取った
「また近いうちに会いそうね “敵”として」
ゼリテはそう言うと姿を闇の中へと消してしまった
† † † † † † †
「う・・・」
あ、ヨヒリが目を覚ました
「大丈夫か?」
「・・えぇ、平気・・・それより・・アウロは?」
リオは横に首を振る
「何なんだよアイツ!今までボク達を最初っから騙してたのか!」
「最初から・・・」
シーの言葉に私は学園にいた頃を思い出してしまった
もうあの頃には戻れない・・・
仲間を傷つけた・・・ゼリテ・・許さない
この手で討ってみせる
「・・行こう皆」
「もちろん!」
「あぁ」
「うん!」
「・・・・」
目標は魔王城!
お久しぶりです。
まさかのアウロちゃん黒幕です。
ゼリテ・ミータというのはイタリア語の「本当」と「悪」という意味の言葉を
もじりました。
さぁ18話からやっと勇者らしくなりますよ!