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16‐1運命の更新

また長く期間が空いてしまいました…。

作者はリア充爆発しろと言う側なので聖夜も書き続けますよw

アラン王子が屋敷にやって来たので少しでも運命が変わっていないか、そんな淡い希望をのせて俺は天界へと向かった。

変わり様の無い白く、どこまでも続く空間。

この空間の、俺の望むたった一箇所が変わっていてくれれば良いのだ。

しかしそれは俺が数年間尽力(人生の九割九分を屋敷で過ごしてきた俺の力など高が知れているが)しても成し得なかったことだ。今更些細な事で変わるとも思えないが、願わずにはいられなかった。


「よっ、久しぶり。元気か?」

「天界の人達は体調を崩さないのでわかりませんが、浮影さんの感覚で言えば多分元気です。」

毎度お馴染みの天使のお出迎え。

本人曰くただいるだけらしいが。

確かに『アレ』は一度しか見た事が無いが、天使は逆に見なかった事が無い。俺がいると構ってくれるが、いつもは何をしているんだろうか?

「今日はどのようなご用事で?」

「まあー、ほとんどいつも通り。日常にちょっと変化があったから何か変わっていないか確かめたくてさ。」

「そうですか。でも浮影さんの関わっていない変化だと何も変わっていませんよ?」

一瞬何のこっちゃと思った。

「………。あっ、そっか…。」

一瞬考えて理解した。

運命を変えるのは俺しかいないのだから、俺が呼んだならまだしも、アラン王子の考えで屋敷に来たとしても何も変わらないのだ。


期待を裏切られ少し肩を落とす。

一応ルナの本を呼び出す。

(…あれ?本が…うすくなってる…?)

手に取った本は以前よりも薄く感じた。

嫌な予感がした。急いで本を開く。

そこにあったのはルナがアラン王子と結婚するか否かなんて生易しい運命などでは無く、現段階からの想像なんて全くつかない様な未来だった。

虐げられ、蔑まれ、辱められているような未来。

その有り様は奴隷の様な、否、そのものかもしれない。

頭の中に嫌悪を催す物がとめどなく流れ込んで来るイメージ。

目の前が歪む様な感覚。

「うあぁぁぁーーっ!!?」

パニックに陥る。

頭が痛い、耳鳴りがする、吐き気を催す。

「!?何があったんですか!?浮影さん!浮影さんっ!!浮影さんっ!!?」

俺の意識はそこで途切れた。

あまりにも衝撃的な内容に脳がついていけなかったようだ。



夢を見た。半分夢の様な世界で夢なんてのもおかしな話だが、夢を見た。

ルナが助けを求め、手を伸ばす。こちらも手を伸ばすが、届かない。

触れてもすぐに引き離される。

もどかしくて仕方の無い夢。

夢、夢なのにこのままだときっとそれは現実となる。そんな確信めいた予感がする。

そんな運命はいらない。

リアン先生の時だって何とかなったんだ。ならきっと、きっと今回だって…!


「…ん!浮影さん!!」

「ん?おぉ…。」

「おぉ、じゃないです!

何があったんですか!?」

少しクラクラとする頭で見た物を少し思い出す。

「ひどい運命を見たよ。認めたくない、あっちゃならない様な運命。」

少し天使の顔が険しくなる。

「…それをどうするつもりてすか?」

「絶対に変えてやる。止めるならあんたでも容赦しない。」

ふぅ、と一息つく天使。

「そうやって嫌な事を全て捩曲げるつもりですか?」

天使から発せられる予想もしていなかった厳しい言葉。

「…!」

言葉に詰まる。

「だけど…!」

「だけど、何です?」

「変えたい。変えたいんだよ!その運命を…!」

「全てを擲ってでも?」

「…!」

「何を驚くんです?一人の運命を変えるとは、その周り全てを変える事。当然の事じゃないですか。」

クスクスと冷たく微笑む天使。

「良いよ…。何でも差し出してやるよ…!だから…ルナは、ルナだけは絶対傷つけさせない!!」

これは嘘偽りの無い心よりの言葉だと思う。

その瞬間天使がフッと明るく微笑み。

「合かーく!」

天使がどこよりか取り出した鐘がカランカランと鳴る。緊迫した空気も何処に行ったのか。

「…へ?」

「いや最初から止める気はありませんよ?え?まさか今更止まりませんよね?」

「…あぁ、勿論…。」

俺は何と言うか呆然としている。

「ふふっ、なら思う存分やっちゃって下さい!長年『アレ』の後始末をしてきたんです!浮影さんが全力で暴れたってちょちょいのちょいですから!」

先程の冷たい雰囲気はまるで見せず、いつもの天使だ。

「…さっきは何で止めたの?」

「あぁ…、運命変えるってのはホントに結構大変なので、あの程度の脅しで留まる様ならとちょっとした試験なのですよ。今回は本気の様なので、気兼ね無くやって構いませんよ。」

かなり私情が挟まってた!?

でも…

「…サンキュ。」

ボソッと呟く。

今回は失敗が許されない。

言われなくても遠慮なんかしないが、天使の心遣いはありがたかった。


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