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15-3招かれざる客人

「え、えーと?それは私と殿下とでと言う事でしょうか…?」

「はい、勿論です。」


模擬戦。

武器が木製の物である事を除き、全てが実戦に限りなく近い戦闘訓練。

勿論、木製だからといって武器の形状をとった物なので怪我などざらである。

ディラン先生ともやった事はあるが、ディラン先生の方が格上なので双方怪我をしない様に上手く加減をして貰えていた。

しかし今は、俺とアラン王子。未熟と未熟である。

つまりどちらも怪我をしかねない。

王子が怪我をするのは流石にまずい。飛ぶ。主に俺とディラン先生の首が。スプラッターな意味で。

というか下手すると俺よりディラン先生が危ない。

うん、手を抜こう。そうしないと死ぬんなら仕方ないよね!

「アティ、まさか手を抜こうなんて思って無いよな?そんな女々しいことをしようものなら、すぐにでも娶るぞ?」

色々ツッコミ所が多過ぎる。

まず、今更だが愛称で呼ぶな。後これでも身体は女なんだから女々しくたって良いじゃないか!そして何で娶るって脅しは何!?そしてお前エスパー!?

「…い、いえ、ま、まさかそんな事しませんよ。オホホホ…。」

駄目だ。何かテンパり過ぎて口調がおかしくなってる。

「そうか、今は身分も婚約者という関係も忘れて掛かって来い。」

「婚約者なんて関係性は最初からありません!」

そのまま永遠に忘れろ。

「でしたら、殿下も私を女性だと見て、手加減なさらないで下さいね?」

となると手を抜かず、悟られない様に俺がわざと軽傷を負えば良いのだ。

自己犠牲的なやり方ではあるが、下手な作戦よりよっぽど被害が小さい。

そうしようと心に決めかけた、その時である。

「ディラン先生〜。授業が早く終わったのでアティの授業を見学していって良いですか〜?」

「これはメルキウス様、はい、どうぞ。ちょうど今から模擬戦を行おうかと思っていた所でございます。」

………最悪だ。

「へ〜、模擬戦ね〜?」

メル兄がアラン王子に近づき、

「アティが怪我なんてしたら、真昼の真正面からでも気をつけて歩いた方が良いよ〜?」

アラン王子は涼しい顔。

俺は冷や汗がダラダラと出ている。

メル兄、顔が表面しか笑って無いし、それは脅しじゃなく、ただの犯罪予告。


メル兄の乱入により、俺の選択肢は絞られた。

アラン王子に怪我をさせずに勝つ(降参させる)。ついでに俺も無傷で。

そうしないと誰かの首が飛ぶ。もしくは結婚させられる可能性がある。

「お嬢様、そんな硬くならなくても大丈夫です。危ないようならすぐに止めますから。」

だったら既に危険なので止めて下さい。

と言いたくても言えず…。

どうしよう、こんな事なら真剣勝負だった方がまだ良かった気がする。

退路は断たれた。

こうして俺は負けられない闘いに臨む事となった。


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