14-4天界での遭遇とここ最近
ゼェッ…ハアッ…。
いつまで…走りつづければ良いんだ…?
この身体になってより限界まで走りつづけた事は無いが、そろそろ限界が近い事は分かる。
ついでにこの身体のハイスペック振りを目の当たりにした。
屋敷周り一周およそ300m。それをペースこそ落ちつつあるものの休憩無しに120周程も走っているといえば如何に凄いか分かるだろう。
少なからずとも十歳の訓練も無い少女の走れる距離ではない。
もう、ゴールしても…良いよね…?
先程も述べた様に限界が迫っていた。
そして今がその時なのだろう。
自分の意識が遠のくのを感じた。
足が縺れる。そしてそのまま。
バタンッ!
ついに俺は倒れてしまった。
次に目が覚めたのは真夜中だった。自室のベッド。
眠る(倒れる?)までの記憶はハッキリとしている。限界まで走りつづけ、ぶっ倒れたのだ。
正直授業初日からここまできつい内容だとは思わなかった。
ノルマを提示された訳でも無いが、目標に達する前に勝手に倒れてしまったのだ。あまり好ましくない事であろう。
それにしても想像を絶する。まさか最初っから倒れるまで走らされるとは…。
アレス兄もこの道を通ったのだろうか?ディラン先生の穏やかそうなイメージに反する授業だが、実際にこの授業を受けたアレス兄の実力は本物だ。
つまりこの授業には裏付けされた実績があるのだ。だったら尚更こんな所で音を上げる訳にはいかない。むしろ女だからって手加減された方がよっぽど腹が立つし、意味が無い。
俺が求めているのは実力。
実践的に使える力なのだから。
という事で、明日も頑張る為に寝ることとする。
腹が減っているが睡眠でごまかせるだろう。
………………眠れねぇ。
腹は空腹でグギュルルと怪獣の様な音を鳴らしている。
あら、やだわ。恥ずかしい…。なんて気持ちにはさらさらならないが、性質の悪い事にこの空腹は睡眠を妨げる。
こんな真夜中に食料を漁りに行く訳にもいかないしなー…。
さっきまでぐっすりだった事も手伝って目はギンギンに開いている。
やっぱり昼寝なんてするものじゃない。
正確には貧血とか疲労とかによる昏倒だと思われるがどっちにしようと眠れない事に変わりは無い。
ここで頭の中に閃いた。
そうだ。天界に行こう。
二日立て続けだが、無理矢理意識を向こうに持って行く訳だから、眠れる眠れないも関係無い。
加えて向こうで空腹は感じ無いし、時が進むのも速い。正に持って来いではないか!
俺すごいナイス!!
そうと決まれば早速
『GO TO HEAVEN』
向かってから気付いた。
また『アレ』が居たりしないよな…?
現状少なくともあんなチート野郎には勝てない。
実際昨日勢いに任せて特攻しちゃった訳だし…。
十分攻撃される理由にはなる。
心に一抹の不安を抱え、天界へと向かうのだった。