12‐2止まらない好奇心
王都の時は素通りだった。
一年前は迷子になってトリークの店に迷い込んだ。
とにかく何を言いたいかというと
もっとじっくり町を見て回りたい!!
後今更どうでも良いがトリークはとある盗賊団の一味だったらしく盗品やら何やらをあの店で売り捌いていたらしい。
ただ足も付きやすい為、すぐに切られるような下っ端だったらしいが。
今回も例の如くすぐに切られ、一斉検挙とはいかなかったらしい。
「とりあえずどこから見て回りましょうか?」
うーむ…。予定は未定。何も考えてなかったからな〜…。
「何か良い場所無いですか?」
「質問を質問で返さないで下さい。」
「ゴメンなさい…。ですけれど本当に何も考えていなかったんですから…。」
ルナとしてはもう呆れを通り越し、良くそんな事で実行に移したな、みたいな目をしていた。
「そうですねー…。最初は服屋なんてどうでしょう?」
今の自分が言うのもアレなのだが女ってホントに服とか選ぶの好きだなー…。
「とりあえずこんな服装じゃ目立って町もまともに歩けないでしょうし。」
今の俺らの服装といえば 普段着っちゃあ普段着なのだがお姫様の様なドレス。少なくともお忍びで見て回るには不向きな格好だった。
今も割と目立っている様で気にしだすと周囲の視線が結構イタい。
「…そうですね。」
ルナのもっともな意見に諭され、服屋へと向かう事とした。
「はい!らっしゃい!!」
威勢の良い猫耳をしたおばさんが出迎える。
家のメイド長のおかげでそんなショッキングな事態にはならずにすんだ。
初見なら結構きつかったかも…。
「これはまた可愛らしい娘さん達が来たもんだ!さーて、お嬢さん方に似合うようなのが家にあったかね〜?」
「あ、あの余り目立たないのをお願いしたいのですが…。」
控え目にルナが注文をする。
「目立たないの?勿体ないねー!せっかく可愛らしいのに!」
ガサゴソと店の品を見繕うおばさん。
「こんなのどうだい!?」
広げて見せたのは、本当に地味な染めてませんよといった感じの茶色っぽい外套。
うん…、まぁ…、目立たない事ならこの上無いかな…?
「おいくらでしょうか?」
値段次第だな。
「そういえばお姉様。持ち合わせはあるんですか?」
ルナが半分不安そうに囁いてくる。
「大丈夫、大丈夫。ほら、」
それは一年前に持たされたお小遣の残り50サウン。
この残されたお金が脱走を企てた一因であった。
「これかい?これはそうだねー…。二着で10サウンでどうだい?」
うげ…、大したデザインも無しに一着5000円かよ…。
少なくとも現代日本じゃ売れない価格だろう。
しかしこの世界の布の価値という物が分からない。自分の価値観もあくまで一部の商品から算出した物であり、本当に合っている自信は無い。
適正かどうかの判断が付かず、店先で逡巡していた。