番外編 家族の愛
馴れないもので何となく不自然さも感じますが…
廊下では男たちがソワソワとしていた、皆一様に新たなる生命の誕生への期待である。
「兄様〜、妹かな?弟かな〜?どっちだと思う?僕としてはさ〜…」
「うるさいっ!全く何度目だその質問!?少しは落ち着けっ!」ただでさえ気が気でない状態に弟からの質問責めについ荒立った声をあげてしまう。
「ふふっ、お前こそ落ち着けアレス、お前だってメルが生まれる時はこんな感じだったぞ?」父親が息子2人をなだめる。
「ほら〜お父様だってこう言ってるよ〜?」父親を味方につけた弟がここぞとばかりに兄に攻勢を仕掛ける。
「だからって調子に乗るなっ!」兄からの叱責につまらなそうにも渋々と身を引く。
「おんぎゃあーっ!おんぎゃあーっ!…」
「生まれた!?」
「男の子!?女の子!?」子供たちが走って行く
何気に真っ先に駆け出して行ったのは長男のアレスだったりした。
何だかんだ言って結局気になっているのだ。
次に続くは父親のクロノス、そして最後にメルとなっていた。メルだって全力で走ってはいた。しかし父親と兄とは身体的スペックが違い過ぎた。父親や兄が獣人という身体的に恵まれた種族なのに対し、彼はエルフという身体的には少しばかり劣る種族だった。
ちなみに彼女の母親もエルフだった。二人の子を産んでも不老長寿という種族的特徴のおかげで美貌は崩れるところを知らない。
三人は分娩室となっている部屋の扉を壊す様な勢いで開けた。
「お坊ちゃま!?ご主人様まで!?」驚きの声をあげたのはふくよかな印象を与えるネコ耳の40代程のメイドであった。
「まだ出産は終わってません!申し訳ありませんが廊下でお待ち下さいませ!」
「でも赤ちゃんの声聞いたよ?」
「とっても大きな泣き声だった!」子供たちが反論する。
「はい、お坊ちゃま、しかしもう一人奥様のお腹には赤ちゃんがいるんですよ。」
「双子なの!?」
「やった!」兄は素直に驚き、弟は二人も自分より下が出来ることを喜んでいた。
また父親も双子なのは初耳らしく
「それは本当か!?」
とかなり驚いていた。
そうして間もなく二人目の産声があがった。
男たちも部屋に入れるようになり、母親と、妻との面会を果たした。
「お疲れ様、ありがとうこんな可愛い娘たちを…!」
「はい、流石に疲れました。でも薄々感づいていたとは言え、双子だとは驚きです…」流石に産後で疲労の色が濃い。
「ああっ!ありがとう…!本っ当にありがとう!!この娘たちをきっと大事に育てよう!!」
「えぇっ!もちろんです!!」
そんな両親の会話も半ばに子供たちは赤ん坊に夢中だった。
「女の子二人だったね〜」
「この娘たちはきっと俺らの手で守っていこう。」そう決意したのはアレスだった。
「あ、良いね〜。そういうの。お姫様を守る騎士とかカッコイイよね。」メルも同意する。
「あぁ!俺達の手で!!」
「ところでさ、何でこっちの獣人の子は耳が白い毛に覆われてるの?」
答えたのは父親だった。
「明確には分からないがきっと何らかの思しめしだろう。なんにせよ家族なんだ、大切にしよう。」
「もちろんだよっ!」
「それに俺とメルでこの娘たちを守るってきめたんだ!!」
「それは良い心掛けだな。だったらもっと強くならなくてはな!!」
こんな家族団欒の日だった。
ちょっとした家族と種族紹介を兼ねた番外編でした。
こんな駄文でも読んで下さる方々誠にありがとうございます!