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9‐6入学式と一つの決心

神力は一度使う感覚を手に入れれば後は簡単だった。自転車とかと同じだ。

後何故か電気に変換させるのが最もやりやすい。これは天使曰く、

「電気という物への認識が他よりいくらか確立されているからではないでしょうか?」

との意見だった。

納得出来そうで出来ない曖昧な意見だ。

ま、そんな事はどうでもいい。

とにかくこの力は少なくとも現状魔法の使えない俺の命綱となる物なのだから他人事ではいられない。

そして自分の決心を実行するために先立つ力となるのだから。

「いや〜、浮影さん!一度コツを掴んだら、めきめきと伸びますね!」

「ああ、確かに一度コツを掴めばだいぶやりやすくなったな。」

実質的に神力を物にしてから一週間とちょっと。

自分でもこの伸びには驚いている。

「やっぱり私の指導の賜物ですかね。」

自信有り気に言う天使。

とりあえずそれはない。

無言で哀れみの視線を向けてやると天使はキョトンとした様子だった。知らぬが仏というが…。彼女の場合もう少し自覚すべきでは無いだろうか?



「それにしても今更かも知れませんが、こんなに長く天界こっちに居ても良いんですか?」

今だいたい9時間くらいか…。

「大丈夫、護衛の人にはしっかり寝る事を伝えていたから。」

断っときゃ心配も少ないだろう。

「いや、それにしても向こうでは2日程経ちますよ?断っていたとは言え、流石に…。」

うーん…。あん時の俺は何を考えていたのだろうか?

「やっぱり2日も寝るのはおかしいか…?」

コクンと頷く天使。

内心冷や汗ダラダラだ。

「教えてくれてありがとう。」

とりあえず天使にお礼を言っておく、

「どういたしまして?」

俺は返事も聞かず天界を飛び出した。




目を覚ますと馬車の中だった。

セーフ…?

「あ、おはようございます。お嬢さん?」

まず目に入ったのは護衛のおじさん。

「おはようございます。」

「いやー、まさか本当に2日通して寝るなんてね。」

護衛のおじさんに笑われる。案じていた程問題にはなっていないようだ。

「お父様達は何処へ?」

馬車は止まっており、中は俺とおじさん以外誰もいなかった。

「ああ、宿屋だよ。お嬢ちゃんが全く起きないもんだから動かすのも可哀相という事で俺が見張りをしていた。」

迷惑掛けたな…。

ついでにおじさんがロリコンと呼ばれる人種じゃなくてよかった。

「迷惑をお掛けしました。」

「気にしないでくれ、こういう仕事だから。」

おじさんマジ良い人。

「ところでその宿屋というのは…?」

「ああ、ついて来てくれ。」

おじさんについて行く。


いつかはこの家族の元を離れなければならない。

「おはよう、アティ。」

それは近い日かもしれないし、遠い日かもしれない。

「寝過ぎだよ〜?アティ〜。」

だけどその日はいつか来る。だからその日まで、

「おはようございます。お姉様?」

この暖かい家族と精一杯の思い出を作ろう。

「おはようございます。皆さん。」

それが別れる決心がつくまでの俺の決心だ。


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