9‐1入学式と一つの決心
王都滞在も早一週間と少し。
王城行ったり、そこで何故か告白受けたり、王都にあるトピアーゼ家所有の屋敷でゆっくりしていたりとそんな一週間だった。
そして今日はアレス兄の入学式である。
そして明日からアレス兄はいない。今まで居るのが当然の様に思っていただけに実感が何となく湧かない。
とりあえずメル兄の事を考えると気苦労が増える事が予想される。
そして今は入学式の執り行われる講堂に来ている。もちろん来賓としてだ。
父は何か保護者代表挨拶の様な物の為どこか行ってしまった。
アレス兄はもちろん入学生だから此処にはいない。
そしてメル兄は寝ている。正直寝ていれば問題も引き起こさないので寝ていてくれた方が良い。ただ入学式の始まる前から既に寝ているのは想像以上の早さだった。
ルナはいつも通りな感じだ。
しかし、
「何故この様な場所にいるのでしょうか?殿下。」
そう、約一週間前に告白してきた王子が隣にいるのだ。
「何だ?我が妃の隣に居ては駄目なのか?」
「隣に居て悪いとは言いませんが、私は結婚する気はありません。どうしてもと言うならこちらのルナをどうぞ?」
「私も殿下とは結婚したくありません。お姉様の方が適しているかと。」
姉妹揃って王子を押し付け合っている。
自分含めこの家族に尊びの心は無いのか?
多分母とアレス兄は常識人だと思うけど。
「何でも良いが俺、王子だよな?」
はい、ごもっともですがそれ以前に俺が男なのでございます。だから結婚する気など更々無いんです。
とそんな事をダイレクトに言えないので
「私より殿下にお似合いの方がきっといますよ。」
そしてルナの方をチラチラと見るが王子は気づかず、ルナも真意は分からないが知らぬ顔。
「そうです。私たちがたまたま殿下の事を嫌なだけで殿下を好いてくれる人だってきっといますよ。」
俺の言うお似合いはお前なんだよ!ルナ!そしてお前のはフォローになって無い!
最近はルナが俺にどういう訳か敵対や嫌がるような人物に対しての風当たりがやたら強い様に思える。
うーん…、何かルナの期待を裏切る様な事でもすればいつか背後から刺されそうだな…。お姉ちゃん(?)心配。
そんなこんなでもうすぐ式が始まるという時間になり、
「殿下、そろそろ式が始まりますがこんな所に居て良いんですか?」
そろそろ王子が鬱陶しくなってきた。
「逆に何故居てはいけないのだ?」
「王子としての責務やいなければならない場所は無いのですか?」
「父上からこちらに居るように言われてな。」
くっ…、最大の黒幕は王様かよ…。
ある意味強大な敵の存在を認知した。