8‐3王城訪問と意気消沈
「最近はお前が子供が待っているとか言ってさっさと帰ってしまってたからな。ホント寂しかったよ。」
そんな事を言うのは陛下。今は王の間で見せた威圧感などかけらも見せず、ただ父の一人の友人であった。
「お前なんかより娘が大事に決まっているだろう。しかも二人、愛情も2倍だ。」
ここでも子煩悩っぷりは顕在だ。死ねば良いのに。
「お前だから良しとするがそれは少なくとも一介の国王の俺に言う言葉じゃないぞ?」
もっともだ。しかし今のこの人のフレンドリーな空気に当てられているとそれを忘れそうになる。
「ならばお前はこの娘達以上に価値のある存在があると言うのか!?宝石の様な瞳、金や白金のごとき流れる髪、大輪の花とも言うべきこの笑顔。これに勝る物がこの世に存在すると言うのか!?」
父がだんだんヒートアップしてきた。褒められてるのに恥ずかしさで死にそうになる。
「ふむ、確かになかなかに可愛らしいではないか。お前に似ず。」
…仲良いんですよね?お二方。
「お前んとこの生意気にも同年代の王子はどうなんだ?ん?」
とりあえずこの国で一番偉いはずの人に向かっての口ではないと思う…。
「なるほど、うちのアランに丁度良いかもな。」
「ほぉ?うちの娘を貰うからにはそれ相応の覚悟があるんだろうな?」
いや覚悟ってなんだよ…。
「なんだ?いっそ二人とも貰ってやろうか?」
俺の方は勘弁願いたい。
「お前の息子は一人だろう。側室にでもするつもりなら本気で殴るぞ?」
だから国王に向かって殴るだの止めようぜ?
「いや、俺が貰おうkゲフッ」
…遂に殴りやがった。
「言って良い事と悪い事がある。」
あんたもやって良いことと悪い事を区別しようよ…。
「冗談だ、冗談。しかしあまりに過保護じゃないか?」
うんうん、同意。
「何馬鹿を言っているんだ?まだ足りないくらいだろ?」
…何馬鹿言ってんだろ、この人は。
「まあお前がそうならそれで良いんだがな…。そうだアティーニャちゃん、ルナシアちゃん。」
唐突に話し掛けられビクッとなる。
「ちゃん付けで話し掛けるな。穢れる。」
本当に相手は国王だよな?
「ちょっとお前黙ってろ。さてアティーニャちゃん、ルナシアちゃん。うちのアランと結婚しないかい?」
ここでまさかの!?
いや!ここで即座のフォロー!
「「ルナ(お姉様)が適任だと思います!!」」
ルナも押し付けてきただと!?
どちらかと言えば謙遜かもしれないが。
しかし残念だったな。ルナ、結局お前が結婚するんだ。運命がそう物語っている。そして俺は結婚などしない!
「ははっ、随分仲が良いな。やはり二人とも貰おグハッ」
父の一撃。
「スマン。これ以上は手加減出来そうに無い。」
父の目が座っている。本当にこれ以上は危ないかもしれない。
早く逃げて!王様!
最近暴走気味の作者でございます。
たまに暴走するのでその度に嘲笑と生暖かい目で見守って下さい。