7‐4王立中央学院
まず向かったのは魔法科だった。今日は運よくか、計らってか実習らしい。
魔法科に向かうのはメル兄の強い要望である。
この人はホントに魔法にだけは人一倍熱心だ。
魔法の苦手なアレス兄は少し苦々しい顔をしている。
今日俺達が来る事は事前に行き届いていたらしい。魔法科の生徒はいくらか緊張していたが、平常を装っている。
見た感想は凄い。ただ凄いのだが、半年程前に見たアルマ先生とメル兄の実習には及ばない感じだ。
横をふと見るとメル兄が些か残念そうな顔をしていた。
「メル、今日は見学だから飛び入りなんかするなよ?」
アレス兄からメル兄に釘が刺される。
「そんな事しないよ〜。この程度の相手つまらないし。」
自信満々というか退屈そうなメル兄。
メル兄の暴走を止めろとは言われたが正直この人が本気になったら全く止めらんないからおとなしくしてくれてる限りはそうして欲しい。
「良いよ。つまんないし次行こ〜?」
そういう事で次に向かう事とした。
話が聞こえていたのか魔法科の生徒は不満そうだった。
次に向かったのは武術科。
アレス兄は恐らくここに属するのだろう。
今の季節は地球での冬から春に掛けて。寒いと涼しいの合間位なのだが武術科だけは平均気温が2、3度高いと思う。
気合いが入ってるというか暑苦しい。
勿論爽やかな感じの生徒もいるのだが熱気を発する生徒の割合が高い。
後俺とルナに対する視線がうざい。
野郎達の集団で女を求める気持ちは分かるがその視線を俺達に向けるな。このロリコン共。
まあそんな事を口には出さないがそういう視線を向ける奴には蔑みの目を向けるとしよう。
続いて向かうは政治学科。メル兄が全力で逃げようとしたがそこはアレス兄がしっかり捕獲。
文字通り引きずって向かった。
俺も正直乗り気じゃないけど…。
とりあえず見るだけ見てみよう。
見た感想としては凄い真面目で息の詰まる感じだった。
王立中央学院は平民も通う事が出来る。ここはあくまで将来有望な国に有益人材を掘り出す原石の採掘場なのである。
様々な学科の中でも政治学科は貴族がほとんどを占めるエリート集団なのだ。
ルナとかはここに通うのかな?そうして王子様と出会って結婚という何ともベタな恋愛を見せてくれるのだろうか?
実際此処の学科は将来お偉いさんが多い為玉の輿を狙う女性達にも人気が高いとか。
正直俺は興味が無い。
次に向かおうと思った時に、
「アレスト・ドグラン・トピアーゼ様。校長室までおいで下さい。」
「お父様がお呼びのようだ。アティ達は適当に回っててくれ。くれぐれもメルから目を離すなよ。」
「そんな事しないよ!?」
「任せて下さい。」
「アティまで!?ひどいよ〜…。」
しっかし…。校内放送まで完備か…。
完全に科学の代わりに魔法で補っているって感じだな…。
この世界でも物は上から下に落ちるし光が有れば影も出来る。きっとこの世界でも少なくとも物理学は通用するだろう。
どちらかと言えば科学という要素を魔法に頼り過ぎて見つけていないだけなのかも知れない。
そんな事を心の中でごちていた。