5‐2魔法学の指針
「まず、どうして魔法を習いたいんでしょうか?」
うっ…、いきなりストレートな質問…。
こういうのが一番困る。
「昨日の兄を見て強大な力を制御したいと思って。」
「私もお姉様に同じく。」
ちょっ!?ルナずるくないか!?
「ふーむ…。魔法という物に恐怖は覚えないのですか?昨日の事だって危うく死人が出た可能性すらもあります。」
ごもっともです…。
「覚え無くは…無いです。しかしそれ以上に魔法を習いたい、使いこなしたいんです。」
自分で言っておきながら何とも我が儘で支離滅裂な理由に思える。
「私もお姉様に同じく。」
ルナ…。お前ホントに考えてるよな?
「そうですか。クロノス様には…。聞くまでもありませんね。」
「当然だ。」
「はあ…、勝手に魔法を使用して万が一があったらいけませんしね…。良いでしょう。魔法を教えてあげます。」
「「やった!!」」
良し!これで魔法を習える!
「た・だ・し!」
「「え…?」」
ここで何かあるというのか…?
「万が一があるといけないので必ず僕の目の届く範囲で魔法を使う事!」
「「はいっ!」」
良かった…。そんな条件か…。
「メルキウス君はこれを守ってくれないから困ります。」
メル兄を想像し、苦笑いが浮かぶ。
「では娘達を頼むぞ?」
「了解致しました。」
父が部屋から出ていく。
「そうだ。くれぐれも娘達には手を出すなよ?」
「出しませんよ…。武王を敵に回したくありませんしね。」
「武王…。そう言われるのも懐かしいな。とにかく手を出すなよ?絶対に手を出すなよ?」
さりげなく今何かスゴイ二つ名みたいなの無かったか?
「クロノス様は手を出して欲しいんですか?出して欲しく無いんですか?」
うん…もっともな感想だ。
「まあ、とにかくお前を信頼してるよ。」
「お褒めにあずかり光栄です。」
ガチャッ!
父が出ていく。
「さて、最初は…メルキウス君の授業でも見学してみますか?」
ここで断る意味も無いだろう。
「はい。」
メル兄の授業か…。面白そうには面白そうだが授業として成り立つのだろうか?
「授業は午後からです。時間になったら中庭に来て下さい。」
「分かりました。」
「「失礼しました。」」
そう言って俺らはアルマ先生の部屋を後にした。
部屋を後にし、小さくガッツポーズ。何とか終わった〜。とりあえず先生もおとなしくしてれば多分怖くないし、異世界の醍醐味、魔法を存分に味わうとしよう。
俺の中ではあれやこれやと言った期待が膨らんでいった。