4‐3日々邁進
「何の音でしょうか…?」
ルナが不安そうに尋ねる。
「中庭の方かな?見に行ってみる?」
何の音だろうか?気になる…。
「えぇっ!?危なくないですか?」
「大丈夫だって!…多分。」
まあ非日常な何かが起こっているのは確かだろうが。何となく犯人の目星も付くんだけどさ…。
「でも…。」
「じゃあ私一人で行っちゃうよ?」
ちょっと意地悪をしてみる。
「あっ、待って下さい!私も行きますよっ!」
慌てるルナもまたかわいいな〜。
そんな事を考えつつ中庭へと向かう。
所変わり中庭―――
そこには小さなクレーターが出来ていた。
一体何があったというのだろうか?とりあえずその答えを知っていそうな人物に話し掛ける。
「これは何があったのでしょうか?メル兄様?」
その場にはへたり込んでいるメル兄がいた。
「あ、アティにルナ。いやー…ちょっと魔法に失敗しちゃってさ〜…。」
恥ずかしそうに頭を掻くメル兄。
そこにヌッと現れる人影。
「そうですか。詳しく事情を伺いましょうか?メルキウス君?」
そこにいたのは犬耳に茶髪の優男。まだ俺やルナは習っていないが確か魔法の…
「あ、どうもアルマ先生。」
気まずそうに話し掛けるメル兄。
「どうもじゃありません。私は言いましたよね?一人で魔法を使うな、と。あ・れ・ほ・ど言いましたよねぇっ!?」
「あっれ〜?そうでしたっけ〜?」
あ、この人完全に聞いて聞かぬフリしてるな…。
「どちらにしようとお話を聞かせて頂けば分かりますね?正・直・に言えば尋もnもといお話も短くなりますよ?」
力の入った笑顔でメル兄に笑い掛ける。それと同時に
メルキウスはにげだした!
「ふう…『拘束<バインド>』」
しかしにげきれない!!
何かが足に絡まった様にメル兄が派手に転ぶ。
「さて、これはクロノス様も交えての三者面談ですかね?」
「嫌だーーーっ!!」
メル兄の悲痛な叫びが夕空にこだまする。
「遅れましたがお嬢様方?お怪我はございませんか?」
「い、いえ!私達は爆発音を聞いて此処に来たので!」
「ならよかった。では行きますよ?メルキウス君?」
笑顔でメル兄を引きずっていく。
そして俺は一つの疑問を覚える。バインド(bind)?完全に英語じゃね?おそらくあれが魔法なのは間違いないだろう。そんな事で魔法という物への興味が膨れ上がっていった。そんな夕刻の頃だった。
「やっぱりメル兄様でしたね…。」
「ルナは感づいてたの?」
まあ俺も薄々そう思っていたけど。
「だって私達の近辺で起こる問題の原因の七割はメル兄様じゃありません?」
「フフッ、その点は同意です。」
ルナの妙にリアルな確率に微笑みを漏らす。
悪しからずメル兄。