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24‐2奇人変人ときどき常識人

「ね、ね?君名前何て言うの?」

標的を俺に変え、迫ってくる。

「あ、ちなみに俺はウィズって言うから。」

ジリジリと近寄ってくる様は確かに鬱陶しい。

「えっと…、ア…、じゃなくてフェイ・カタッグです。」

「へぇー、フェイちゃんか〜。あれ、でも…。カタッグって…?」

ウィズが気付いたようでストラドさんの方に向き直る。

「あぁ、そうだよ。俺の苗字だ。」

「じゃあ、まさかこの娘は…。」

言いかけたところでストラドさんから事前に釘が刺される。

「言っとくが娘じゃねぇぞ?」

しかしウィズの予想は斜め上をいっていた。

「先輩の妹?これからよろしくお願いします!お義兄さん!!」


「ンなわけあるか!!」

「違いますよ!!」


同時に突っ込みが飛ぶ。

「なーんだ。先輩の事お義兄さんって呼ぶなんて全身が痒くなったスよ?」

ストラドさんは疲れた様子だった。事実俺も疲れてる。

「でも何で苗字がおんなじ何スか?まさか偶然じゃあ無いっスよね?」

ストラドさんは実にめんどくさそうにしていた。

「あー、コイツは元没落貴族の娘でな、いろいろあって今は俺が保護してんだよ。これで満足か?」

「へぇー、元貴族ッスか。俺と同じスね。」

この人も元貴族なのか…。

「同じにすんな。テメェはただ勘当されただけだろ。」

勘当…。何となく納得できてしまう…。

「良いじゃないスか。話の種は共通点からスよ?」

「それは相手が引いてない時に限るからな。」

まぁ…、確かにちょっとこの人には一歩引いてしまうな…。

「どれどれ〜。」

ウィズが値踏みをするように俺を見る。

その時だった。

「あ、フェイ、ソイツから離れろ!!」

ストラドさんが突然叫んだ。

突然の警告に身の危険を感じ、距離を取るのではなく、反射的に防御姿勢を取ってしまった。

「ふっふー、もう遅いスよ!」

ウィズがニヤッと笑い、手を伸ばす。

「お、歳の割に意外とボリュームあるスね〜。」

「へ…?」

胸を揉まれていることを理解するのに時間が掛かった。

怒りと恥ずかしさに顔が赤くなるのが自分でも分かる。

その後俺は有らん限りの悲鳴を上げた。

パンッと乾いた音が響く。言うまでもなく、俺がウィズの頬に平手打ちを入れた音だ。

「ごちそう、さま…でした…。」

ウィズは力尽きたようだ。

つーか、この人いきなり何やってんだ!?

あー、まだ顔が熱い…。

「おい、拳握れ。んで目の前の奴ぶん殴れ。お前にはその権利がある。」

流石に追撃するのは躊躇われたが、一発目が拳じゃなく、平手だったのは少し悔やまれる。

「おい!ウィズてめぇ、何やってんだよ!?」

「いや〜、見てたら実においしそうだったもんでつい…。」

俺の代わりにストラドさんから拳骨が加えられる。

「つい、じゃねぇよ。馬鹿!!」

「ストラドさん、私は大丈夫ですからその辺で…。」

「じゃ、じゃあフェイちゃん! また後で揉ませ…!」

ガツンと顔面にストラドさんの拳が入り、文句なしのノックアウトとなった。

「もうお前ホント黙ってろよ…。」

こりゃ勘当されるのも分かるって話だ…。

今後本当に俺はこの職場やっていけるのだろうか…?

いきなり不安つのる幕開けとなった。


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