表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/145

21‐5新たなるスタートライン

「大丈夫だったか?」

「えぇ、擦り傷程度です。もっとも誰かがもっと早く目を覚ましていれば、この傷もなかったでしょうけどね。」

ジトーとストラドさんを見る。

「はぁーあ…。おかげで傷物になっちゃいましたよ。どーしましょうね?」

冗談っぽくからかってみた。

「スマン。責任はきっちり取るから許してくれ。」

結構真面目に返されてしまった。

「いや、そんな…、せ、責任なんて…。まさか、ストラドさんは少女に対してそのような感情を抱く方なんですか…?」

訝しみの目と共に身を守る様に自らの肩を抱く。

「んな趣味あるか!!それはそうと、そこの奴!そうだ。テメェだ。」

四人のうちの最後に残った一人。

「へ、へい…。何でしょうか…?」

怖ず怖ずとした態度で返事をした。

「馬一頭ここに置いてけ。そうすれば今回は見逃してやる。」

「良いんですか?盗賊なら次の町とかに突き出した方が…。」

「良いんだよ。こんな下っ端突き出して二束三文貰うよっかなら馬貰って王都にさっさと着いた方がよっぽど良いからな。」

よほど時間が惜しいんだろうな。というか何でこの人は最初から馬に乗って無いんだろ…。

「ストラドさんって馬は持って無いんですか?」

「知らん。多分寝ている間に盗られた。」

何と言うかこの人は寝ている間油断しすぎだろ…。

「お、この馬ちょうど俺のに似てんな。あぁ、きっとこの馬は俺のだ。なぁ?そうだろ?俺は馬を奪ったんじゃなく返してもらったんだ。そうだろ?盗賊君?」

因縁まで付け始めたよ…。そして少し青ざめた顔でそういうおもちゃの様に首を縦に振り続ける盗賊。何だか哀れだ…。

というかこの人盗賊並に質が悪いな…。

「さて、足も手に入ったし、快適な王都への旅再開といこうか?」

何事も無かったかの様に馬に乗り込む。

「ほら、急げ。さっさと後ろ乗れ。」

馬の脇まで行くとストラドさんが手を差し出していた。

その手を取ると引き上げて乗るのを手伝ってくれた。

その手はとても温かく、安心できた。

「んじゃ、出発だ。しっかり掴まってろよ。」

嘶きとともに景色が後ろへと流れ始めた。

「しかし、嬢ちゃんも魔法が使えたとはな。」

「はい…、本当に驚きましたよ。」

「…会話が噛み合ってないな。嬢ちゃんは魔法を使えるんだよな?」

「はい、つい先程使えるようになったみたいです。」

「…何だそりゃ。」

多分、あの魔法を放った時の光。アレは腕の烙印から出ていた。つまりこの烙印が魔力媒体となったという事だろう。

もし、魔法が使えれば攫われる事も無かったかもしれないのに、攫われる事で魔法が使えるようになるとは実に皮肉な話だ。

「そんな事よりストラドさん。少し眠っても良いですか?」

「何だ?寝てなかったのか?」

「まぁ…、ちょっと香がきつくて…。」

「そうだったか…。スマン…。とりあえず落ちんなよ。」

「はい、ちょっと丸一日とか寝るかもしれませんが気にしないで下さいね?」

「あんな事の後だからな…。ま、休め。」

「ありがとうございます。あ、寝ている間に変な事しないで下さいね?」

「だからガキ相手にンな事しねぇよ…。」

俺も一応ストラドさんは信用してる。少し長い眠りへと…。

「それじゃ、お休みなさい。『GO TO HEAVEN』」

広く温かな背中に寄り添い俺の意識は天界へと向かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ