表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/145

21‐4新たなるスタートライン

あー…、ホントに辛い…。

ものすごく重度の花粉症とでも言えばわかりやすいだろうか?

しかしここから離れればいつどこから魔物が襲って来るとも知れぬ夕闇。

あと…、一時間か…。

昨日の事に比べればどうという事も無いはずだ。


そして後ほど気がついた。

魔物除けの香はあくまでも魔物達を近寄らせない物であり、自分達がここにいることを知らせている様な物だという事に。

あと15分という頃だろうか。事件は起こった。

「ムグッ…!?」

突然背後から口を抑えられた。

疲労から意識は朦朧とし、香によって鼻が潰されていた事により、何者かの接近に全く気づけなかった。

せめてもの抵抗として何者かの手と思われる口を抑えている物に歯をたてた。

「痛ってぇな…!このガキが…!」

男の声だった。男が痛みに怯み、手を離した隙に声を上げ、ストラドさんに救いを求める。

「ストラドさんっ!起きて下さいっ!!」

「あぁ…?どうした?」

まだ寝ぼけているようだ。さっさと起きろとばかりに何度も呼びかける。

「ちっ…、おいっ、テメェら!さっさとずらかるぞ!!」

「へ、へいっ!」

男は一人ではなかった。俺を抑えていた奴の他に多分三人。

男の号令と共に俺を抱えて馬に乗り込む。


えーと…、また拉致られそうになってんの?俺?

二度目だからか単に頭が働いてないだけか異様に落ち着いていた。

二日立て続けとか赤い帽子の配管工や緑の帽子の勇者のお姫様もびっくりの頻度だ。

やっべ…、ホントに馬走り出したよ…。

「あっ!おい!ちょっと待て!!」

ストラドさんがやっとで事態に気がついたようだ。完全に手遅れに思えるけど。

「だあっ!クソッ!『電撃エレクトリックショック』!!」

青白い閃光が走り抜けた。

ストラドさんの魔法だった。なるほど雷かー…。

肝心の電撃は4騎のうちの2騎を撃ち落とした。

そして俺の乗ってる馬はまだ元気に走りつづけている。

「ちっ…、魔法使えんのかよ。ついてねぇな…。急げ!出来るだけ離れるんだ!」

俺を抱えているリーダー格と思われる男が、残ったもう一人の男に呼び掛ける。

「おいっ!俺の魔法はもう届かねぇから後は自分でどうにかしろ!!」

…あの人は何をのたまっているのだろうか?

こんなか弱い少女に自力で打破しろと?

するしか無いんだろうけどさ…。どうしたものか。

先程から一応もがいてはいるが、抜け出せそうに無い。

もうこうなったらヤケだった。

「『流水ノウォーターアロー』!」

「な…!?コイツも…!?」

嘘とはったり。脅せれば良かったし、実際の所全く魔法が使えない訳じゃない。限りなく規模が縮小されて放たれるだけだ。

だから今回も矢は放たれずとも針くらいなら出ると思ってた。一応手の先から水の矢が出るイメージをしていた。そうしないと針すら出ないから。

せめて怯むくらいはするだろう。そんな期待をしていた。

左の二の腕の烙印がボオッと輝き、予想に反し、想像通りに水の矢は放たれた。

「えっ…?」

男も驚いているが、何より誰より驚いてるのは当の本人だ。

男の肩口に矢が突き刺さり、男の体勢が崩れ、落馬する。それに伴い俺の体も空中に投げ出される。

「わっ…!?」

しかし何とも見事に空中で立て直し、さながら映画のヒロインの如く受け身を取って着地に成功した。

こんなアクションのある生活を送っていなかった為に全ては把握出来ていなかったが、ここまで動けるとは…。

とりあえずあの男は生きてはいるようだ。どんな奴でも死なれては後味が悪い。

ストラドさんも駆け寄って来て、とりあえず一段落のようだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ