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8番目の初恋。  作者: のん


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8番目、恋と嵐。96


ベル様が集中して仕事をしているのをいいことにイタズラをした私。

まぁ、口を開けてもらってケーキを食べてもらう‥なんて、すぐ気付くかと思ったのにまさかの大成功。


事の次第を知ったベル様は、しばらく愕然とした顔で、


「‥食べさせて、もらっていた?」


と、ブツブツと呟いていたけれど、仕事はいいのだろうか。

ひとまずお茶を勧めると、一気飲みした。ちょ、熱くないの?驚きつつも空になったカップにお茶を注ぐと、ベル様は私をチラチラと見て、


「その、ケーキはもうないのか?」

「まだまだありますよ。お昼前だけどもう一切れ食べますか?」

「‥‥一口だけ、」

「じゃあ持ってきますね!」


どうやら美味しかったらしい。嬉しくて、急いでベル様のお皿にもう一切れケーキをのせて手渡すと、ベル様がデスクの横にあった椅子を自分の横に置いて、座面をポンポンと叩いた。


「リニ、ここへ」

「はい?」


ちょこんとベル様が用意してくれた椅子に座ると、ベル様がケーキを一口大に切ってフォークに刺すと、それを私の口元へ差し出した。



「っへ?」

「‥‥‥俺だけ、食べさせられるのは、その、あの、なんというか、とにかくリニも口を開けてくれ」

「え、ええ!?」

「俺だけ、ずるい‥」

「うっ」



そりゃ面白がって食べさせちゃったけど、やり返すっていうのはどうかと思う。思うが、ずるいと言われるとそれもそうか?とも思ってしまう。


チラッとベル様を見れば、薄暗い部屋でも耳の先が赤いのがわかる。

‥恥ずかしいならしなければいいのに。とも思うが、女は度胸、愛嬌、最強と教えられた私。幸い私とベル様しかいなし、好きな人からまさかケーキを食べさせてもらう経験‥早々ないだろう。



えいっと高いところから飛び降りような気持ちで口を開けると、ベル様がそろ〜〜〜っと私の口の中にケーキを着地させた。



パクッとフォークを口で抑え、するりと甘い香りと一緒にかぼちゃのほんのりした甘さが舌に広がる。



「‥‥美味しい」

「そ、そうか」

「ベル様、今度は自分で食べます?それとも食べさせ‥」

「じ、じ、自分で食べる!!」



耳だけでなく、ほんのり頬が赤くなるベル様に小さく笑って、口の中のケーキを堪能する。うん、やっぱり美味しくできた。ごくんとケーキを飲み込み、外を見ればまだ風がごうごうと音を立てて木々を揺らし続けている。


「魔物の移動が終わって、すぐに嵐なんて大変ですね」

「そうでもない。嵐が来ると魔物が外へ出られなくなって減ってしまうんだが、それを餌にしている大型の魔物はその間冬眠するんだ」

「冬眠?!夏の間に??」

「そう。魔族や動物が活動的な時期に冬眠して、秋頃数が増えた魔物を食べる為にまた目覚め、それを食べてまた冬眠する。お陰でこっちはその間収穫した野菜やらを魔物に食べられずに済む。ま、大型の魔物の駆除はあるがな」


は〜〜〜!世界ってうまくできているんだな!

しみじみと感心していると、ベル様が小さく笑い、窓の外を見つめた。



「魔族も魔物も嵐だけは避けようがないから大変ではあるがな」

「いいことも悪いことも、ちょっと離れて見ると、結果的にうまく回るように繋がっているんですね」



私の言葉にベル様はちょっと驚いたように見つめ、それから静かに笑って頷いた。


「リニは大人だな‥」

「いや、十分大人なんですけどね?」

「そうだったな。ほんの数年で人間はすぐに大きくなるな」


そう言って私をじっと黒と赤の瞳が見つめるので、そわそわしてしまう。

うう、そんな見つめられると照れ臭いんだが!目線をどこに持っていけばいいかわからなくて、そろっと窓の方へ向けた瞬間、バーンと勢いよくドアが開き、



「オルベル様ぁああ!ベヒモスの巣穴に避難した者がいたようで救援要請入りました!」



慌てた顔のフィプスさんがメモを持って駆けてきた。


「なんでよりにもよってベヒモスなんだ!?」


ベル様が叫んだけれど、完全に同意である。

なんであんな大きなベヒモスの巣穴に入っちゃったんだ‥。フィプスさんも「僕もそう言いました」と、同意した。


「どうやら隣国の者がこちらへ観光で来たようです。急な嵐で慌てて入った洞窟がベヒモスの巣穴で‥」

「ああ、それでか」

「キルシュナ様との領地の間なのですが‥」

「俺が行く。キルシュナも港の管理で大変だしな」


お、おお、優しいな。

ベル様はため息を吐きつつ立ち上がると、私を心配そうに見て、


「外に出ては危険だから、家にちゃんといてくれ」

「いや、この天候で外へ出たら飛ばされちゃいますから‥流石に出ませんよ」

「飛ばされる‥!」


ハッとしたベル様、私の首元のチョーカーにそっと触れると小さく光った。



「よし、これで大丈夫だ!」

「待ってください!何をしたんですか?」

「いきなり吹き飛ばない魔法を掛けておいた」

「‥‥出ませんって」



突っ込む私の横でフィプスさんが冷静に頷き、「ほら、オルベル様救援行きますよ」と、大荒れの外へ連れていったのであった‥。が、頑張れ〜。





最近、嵐のネタを書くと嵐が起こる‥。

何なの?!予言書じゃなくて小説書いてるのに!!

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