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8番目の初恋。  作者: のん


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8番目、ダブルデート。95


優秀なアシスタントのレーラさんのお陰で、あっという間にしっとりと美味しそうなカボチャのパウンドケーキが出来上がった!


綺麗なオレンジ色を見ると、それだけで達成感である。

作った者だけに許される端っこを、レーラさんと一緒に分けっこして一口食べると、ほど良い甘さに頬が知らず緩む。


「美味しい!すごく上手にできましたね」

「リニ様の愛がこもってますからね!」

「愛と言っていいのかな‥」

「はい!作るって「愛」がこもっていると思います!」

「‥そう、かも?」


確かに「喜んでくれたらいいな」って思って作ったし、「愛」がこもっているといえばそうなのかな?ともかく少し冷ましてから昼食後に出そうとレーラさんと話し、ガラスのケーキカバーに入れた瞬間、バツンと音を立てて明かりが一斉に消えた。



「「え」」



薄っすらと外からの光は入ってくるものの、薄暗い部屋で私とレーラさんで顔を見合わせると、バタバタと足音を立ててフィプスさんが部屋へ駆け込んできた。


「お怪我はないですか?!隣町の魔力を流す建物が風で吹き飛ばされてしまって、オルベル様が急遽こちらの屋敷の魔力を町の方へ流すことになりました」

「え!?建物が‥」


驚いたと同時に、ごうっとものすごい音が外でした。

この風だ。そりゃ建物も壊れるか‥。



「嵐の前に補強しておいたんですが、やはり老朽化していたようです。ともかく町に明かりや水がないと危険なので‥、あ、こちらは明かりはつきませんが、水や火は使えるので安心して下さい」

「は、はい!あの、あとは何かお手伝いできることは‥」

「レーラさんと一緒に町へ確認と、魔力の補強をしに行きたいので、リニ様はオルベル様の面倒をお願いします!」



お世話‥‥?

目を丸くした私にレーラさんはニコッと微笑むと、お茶のセットをトレイに手早くのせ、


「嗚呼!オルベル様にお茶をお淹れしようと思ったのですが‥。リニ様、お願いしてもよろしいでしょうか?」

「は、はぁ‥」

「では今すぐに参りましょう!」


私はあっという間にお茶セットと一緒にオルベル様のお部屋に連れて行かれた‥。早い、何もかも早い!ベル様はというと、デスクの上に山積みの書類に埋もれ、こちらの様子にはまだ気付いていないようだ。


そりゃ湖の向こうの町が大停電になっているような状態だしなぁ。

しかも軍団長だから仕事はきっと山盛りなんだろう。

レーラさんは静かに目配せしてから部屋へ出ていったので、私はなるべく大きな音を立てないようにお茶をカップに注ぎ、ベル様のデスクの端っこへそっとお茶を置いた。



「ベル様、お茶を置きましたから気をつけて下さいね」

「‥‥ああ」



返事はしたけど集中して書類にずっとサインしている。

お父さんも集中してる時、こんな感じだったなぁ。お母さんが仕方ないなぁなんて顔をしながら軽食を用意してあげてのを思い出す。


‥お茶も淹れたし、さっきのカボチャケーキを切って持ってくるか?


と、思ったらドアの前に小さなカートが置いてあり、その上に私が作ったケーキが綺麗に切り分けられガラスのケースに入っていた‥。レーラさん、私の思考どこかで読んだ?


不思議に思いつつもガラスケースの横に置いてあった小皿にケーキを一切れのせ、フォークを添えてまたベル様のデスクの端っこに置いてみた。気が付くかな〜〜と思ったけど、ガリガリと綺麗なペンでサインをしていて気が付いていない。



‥これ、一応声を掛けた方がいいかな?



ふと、イタズラ心が湧いて、そっとケーキを一口大に切ってフォークに刺し、


「ベル様、アーンして下さい」


と、言ってみるとベル様が書類をめくりながら口を開けた。


あ、開けた〜〜〜!!!

笑い出しそうな口をぎゅっと引き締め、そっとベル様の口にケーキを入れると、もぐもぐと食べた。た、食べた!!ケーキを食べたぞーー!!叫び出したい衝動をぐっと堪え、私はまた一口大にケーキを切って、食べ終えた頃にまた「口を開けて下さい」と、言うとサインをしながら口を開けるので、もう可笑しくて堪らない!


レーラさんに言われたら、こんな素直に口を開けちゃうのかな?

それとも私だって本当は気付いてやってる?

どっちにしろ面白いので、ちまちまとケーキを口に運ぶとぺろっと食べ切ってしまったベル様。


‥‥これは、楽しい遊びを見つけてしまった。


もう一度ケーキを食べさせてみようかな‥と、カートの方へ視線をやった瞬間、ピシャンと雷が落ちた!



「わ!?」



雷まで落ちた!?

外を見ようとそちらへ顔を向けると、驚いた顔のベル様と目が合った。


「リニ!?いつの間に?!」

「さっきからですね。あ、お茶如何ですか?ケーキを食べて喉が乾いてませんか?」

「ケーキ?」


目を丸くしたベル様に、



「さっき食べさせたんですけど」

「え!?」

「収穫したカボチャで作ったケーキ、美味しかったですか?」

「ま、待ってくれ!食べさせた?誰に??」

「私がベル様にですね」

「え!??」



心底驚いて、私をまじまじと見つめたベル様。

やっぱり気がついてなかったんだ?そう思ったら可笑しくて、とうとう私は笑い出してしまった。集中力すごすぎるよ〜!





甘いっていいですよね‥。

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