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8番目の結婚(仮)8


とりあえず期間限定の結婚をした。


期間限定ってどないやねん!って思ったけれど、それはそれで安心だ。

そんな私とオルベル様に、レーラさんとフィプスさんから「おめでとう!」と、祝ってもらったけれど、結婚式はこれで終わり‥なのかな?


報告だけで良いって言ってたし、せっかく綺麗なドレスを着せてもらったけど、そろそろ脱いで普段着に着替えてもいいだろうか。と、考えているとレーラさんが私を見て、



「さ、リニ様!これからお祝いをしましょうね!」

「え?」

「オルベル様、魔物はバッチリ用意したのでいつでも食べられますよ!」

「そうか、行くぞ」

「へ?」



もしかして私に言ってます?

自分の顔を指差すと、オルベル様は頷いて私の方へ手を差し出した。

ええと、転移するのかな?ひとまずオルベル様の手をそっと握ると、ニヤニヤと笑うフィプスさんが「こちらでーす」と、案内してくれて‥、オルベル様と一緒にあとを付いていく。


と、ふんわりと良い匂いがする。


「‥あ、もしかして猪の魔物?」


ボソッと呟くと、オルベル様が小さく頷いた。


「今朝狩ってきたから美味いはずだ」

「そうなんですね!楽しみです」

「‥そうか」


ホッとしたようにオルベル様が言うので、なんだか口角が上がってしまう。

魔族の‥、さっきのヴェリという王様を守る軍のトップって話だったけど、恐らく朝から私に食べさせようと魔物を狩ってきたり、ドレスを用意したり‥、意外と優しそうで安心した。これならまずは半年間やっていけるかな?


廊下の横にあった大きな木の扉をくぐれば、そこには真っ白いテーブルクロスの上に、綺麗に花が飾られ、ガラスの食器に美味しそうなご飯がずらりと並べてある。



「うわっ、すごい!!」

「そう、か?」

「はい!!私、こんなにすごいご馳走、見るのも初めてで‥」



と、言ってから慌てて手で口を覆った。

いかん、いかん、仮にも貧乏だったとはいえ王族の姫ともあろう私が、こんな大きな声を出してはまずい。とはいえ、感謝は大事だからね。チラッとオルベル様を見上げ、


「あの、こんなに用意して頂いてありがとうございます」


お姫様らしくそう言えば、オルベル様は私の顔をじっと見つめたかと思うと、ギリギリと音がしそうなくらい不自然に歩き出し、「椅子に座れ‥」と、言ってくれた。これは、照れてるのか?それとも呆れたのか?どっちかな〜と思いつつ、フィプスさんが椅子を引いてくれたので有り難く座らせてもらうと、斜め横にオルベル様が椅子に座った。



「今日は、猪の魔物だが、今後は魚も用意する‥」



ボソッと呟いたオルベル様を見れば、プイッと横を向いたが尖った耳の先が赤い。なーるほど、あんまり素直じゃない感じの人なんだね‥。けれど、こんなに色々気を遣ってくれる人ならきっと大丈‥、



「オルベル〜〜〜!結婚できたんだって〜〜〜!?おめでとーーう!!!」



バーーーンと扉が大きく開いたと同時に入ってきたのは、背の高い美女!?腰まである薄いピンクのウェーブのある髪をかきあげ、オフショルダーの黒いドレスを着たその人は、ニコリと私に微笑んだ。


うわ、すんごい美人さんだ!と、思ったけれど、なんだろう肩も腕もゴツい。


いや、よく見たら胸が筋肉で構成されている‥?

もしかして、この方って男性???完全に混乱した顔でオルベル様を見ると、



「あいつはエルザといって、風の軍を率いる軍団長で男だ」

「そうなんですね。では同僚さん、でしょうか?」

「あはっ、かっわいー!そうそう!大体そんな感じ〜!」



‥ギャルだ。

ムキムキのギャルがいる。

今世は全然見当たらなかったけれど、まさか魔族の国で出会うとは思わなかった。私は椅子から立ち上がり、


「初めまして、リニ・プレファンヌと申します。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします」

「やだーーー!!すっごくいい子じゃない!オルベルにもったいなーい!」


きゃっきゃとはしゃぎつつ、ものすごく分厚く、かつゴツい指輪をした手を差し出し、



「これからよろしくね!オルベルがずーーーーーーーーっと待ってたかいがあったわね!」

「は、はい」



何やらずっと待っていた事をいやに強調するな?

ひとまずニコッと私も笑って、握手しようと手を上げると、チッと指の先に何かがかすり、ドスッと大きな剣が私とエルザ様の前に落ちた。


落ちた‥?


なんだろ、シュウッと床から白い煙が出てるけど、屋根から落ちてきたの?天井を見上げようとすると、エルザ様がサッと私を抱きしめ、



「やだーー!ちょっと剣を投げつけないでよ!!リニちゃんに当たったらどうすんのよ!この馬鹿!アホ!考えなし!!」

「うるせぇっ!!!何、人の嫁に勝手に触ってんだ!!さっさと離れろ!」

「嫌よね〜〜?リニちゃん、あんな嫉妬にかられていきなり私達の中を引き裂こうとする男なんて!」

「え、ええっと‥」



ムキムキギャル男さんのエルザさんと、さっき結婚したばかりの夫の板挟みって‥。いやぁ、魔族の世界って独特だ!異種族間の結婚って大変だな!と、早速痛感した私であった。





筋肉はいい!!!

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