8番目、恋の病!?86
実は仮免許中結婚の身。
だが、ビルと同じくらいデカイ魔物から貴族のお嬢様達を守っていた兵士さん達を怪我させておいて、「全然平気だもんね!」と、いきがってしまっては流石にダメだ。
そんな私と貴族のお嬢様達のバチバチバトルを見たリリオン様、大爆笑!
‥あの、笑ってないで少しはどうにかして下さいよ。
チラッとエクリアさん達を見れば、そんな爆笑しているリリオン様に驚いている。えーと、これからどうすればいいかな‥?
「あ〜、笑った、笑った!エクリア嬢、そろそろ本当に戻った方がいいよ」
「そ、そんな、でも私は‥」
「もう一回、言わないとダメ?」
リリオン様がにっこりと微笑んだが、元王族とはいえ、その声を無視できないエクリアさん達は私を思いっきり睨みながら「失礼します!!」と、叫ぶようにいうとクルッと向きを変えて要塞の中へ入っていった‥。おいおい王族相手に随分と失礼過ぎやしないかい?私は内心ドキドキしつつリリオン様を見ると、
「ま、そろそろちゃんとキツく言っておかないとね〜」
と、にっこり笑った。
これは‥助けてもらったのかな?
私はリリオン様へちゃんと体を向け、しっかり頭を下げた。
「助けて頂き、ありがとうございます」
「え〜、リニって本当に子供?」
「‥魔族から見たら子供かもしれませんが、これでもれっきとした大人です」
「本当?僕の知ってる人間って、いくつになっても子供みたいだよ?」
「‥それはそれで問題ですねぇ」
一体リリオン様の周りの人間はどんだけ無礼を働いたんだ?
人間族としては頭が痛いが、ともかくエクリアさん達が帰ってくれるなら一安心である。と、後ろでドサッと何かが落ちた音がして振り返れば、ベル様が片膝を付いている!??どうした!何があった!?
「べ、ベル様!?大丈夫ですか?どこか痛いんですか?」
慌てて駆け寄ろうとしたものの、触れない‥。
なにせベル様はまだ血塗れだし、今くっ付いてしまうと大惨事まったなしだ。それにしたって片膝を付いているって‥、ベル様、もし貸してどこか怪我をしていたんじゃないの?なるべく距離を保ちつつ様子を見るけれど、顔が赤いこと以外は大丈夫、そう‥?
「あの、ベル様?」
「す、すまない、大丈夫だ‥」
「でもお顔が赤いです」
私がそう言うと、後ろでリリオン様がすごい勢いで吹き出した。
え、なんで?何か面白いこと言ったっけ?もう一度ベル様を見ると、小さく咳払いし、
「‥血塗れだから、そう見えるんだと思う。体を綺麗にしてくるからリリオンとお茶でもしててくれ」
「は、はい」
「では、」
「あのっ、ベル様」
「ん?」
「‥‥今日は、帰ってこられそう、ですかね?」
一応!一応ね、確認です!
自分にそう突っ込みつつ、そう尋ねると、ベル様は一瞬目を丸くして、それから耳を赤くした。何か照れるようなこと、言ったっけ?ぽかんとしていると、
「‥今日は、絶対に帰る」
「そうですか。ではあの、また後で」
「‥‥‥ああ」
ベル様は小さく頷くと、ちょっとヨロヨロしながら要塞の中へ入っていき、私とリリオン様も兵士さんに別室に案内され一緒に長い廊下を歩いていると、横でリリオン様が一生懸命笑いを堪えている‥。
「リリオン様、どうかしたましたか?」
「い、いや、もう可笑しくて‥!え〜、どうしよこんなに面白いものが見られるなんて‥」
「何が面白かったのかはわかりませんが、楽しそうでなによりです」
「‥本当に面白いね、リニ」
いつの間にかお嫁ちゃんから、リニと呼び捨てされているけれど‥、何か心境の変化でもあったんだろうか。まぁ、不機嫌よりは楽しそうな方がずっといいしね。良いことにしよう。
「それにしてもそろそろ僕も帰らないとだなぁ」
「え、なんでですか?」
「だってレーラに怒られるだろうし、あとは‥」
と、長い廊下の後ろをカツカツと靴の音を響かせ、黒いドレッシーなドレスを着たムキムキのエルザ様が向こうからやってきた。
「あ、エルザ様‥、」
「リニちゃーーーーん!!!会いたかったわ!元気?リリオン様も!!お久しぶりですぅ!!」
ブワッと後ろからピンクのハートが飛び出した背景が見えた‥。
魔族ってすごいな。
リリオン様を見れば、どこか遠くを見つめるようにエルザ様を見て、
「相変わらずだねぇ、エルザ」
「はい!昨日はいらして下さったのに、すぐに戻られてしまったそうで残念に思っていたんです!今日はお会い出来てとっても嬉しいです!!」
ポコポコとエルザ様の後ろからハートが飛び出し、リリオン様の頭にぽこっとぶつかったように見えた。‥一応目の辺りをゴシゴシと擦って、もう一度確認したらハートはなかった。しかしどう見てもリリオン様のことを憧れの人!と、エルザ様は目で思い切り物語っていた。
‥魔族って素直だなぁと、ちょっと感動した。
自分に素直でいるってなかなか難しいよなぁ〜〜。




