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8番目の結婚(仮)7


王様に半年間まずはお互いを知るようにと言われ、私達は一緒に部屋を出た。


まぁ、確かに何にも知らない同士で、何かあった時に良くない。

世間では夫婦だろうが恋人だろうが、色々あるしね。うんうんと一人頷いていると、足を止めたオルベル様がジッと私を見つめた。



「‥‥‥‥嫌だったか?」

「へ?」



嫌って何が?

一瞬質問されたことがよくわからず、「結婚」と言われてようやく理解した。

あ、ああー、結婚!結婚ね!私は首を横に振り、


「3歳の時の口約束だったんで、本当に結婚するの?と、ずっと不思議でしたけど、今考えてみると、そこまで嫌ではないです」

「そこまで‥‥」

「ええと、楽しみにしてくれてたと、レーラさんから聞きましたし‥」


私がそう言うと、オルベル様の耳が赤くなった。

ああ、なるほど‥照れると耳が赤くなるのか。小さな発見をして、ちょっと嬉しくなる。こうやって少しずつわかり合っていくのも楽しいかもしれない。



「それにバツがつこうが、人生色々ありますしね。まずはお互い知り合っていけばいいかと‥」

「バツ、とは?」

「ああ、別れた人に言う名称?のようなもので‥」



と、私が説明している途中で、オルベル様の後ろからまたも黒いオーラが噴出!‥したような気がした。


「それは、しない」

「そうですね。半年後にまた相談しましょう」

「‥‥‥半年後」


途端にしゅんとした様子でオーラが消えた。‥ような気がした。

なるほど、結構わかりやすい人なんだな。王様が直情的って言っていたのも納得である。



「普通に夫婦でも恋人でも、まずは気になったらお互い話し合って、妥協点を見つけたり、改善していくものですからねぇ‥」

「夫婦、」



オルベル様の耳がますます赤くなっていくので、ちょっと可愛い。


「オルベル様は、どんな食べ物が好きですか?」

「え?」

「早速気になったんで。私は島国出身なので、お魚が好きです!」

「‥‥‥魔物は?」

「魔物は食べたことがないので、ちょっとわからなくて。でも戻ったら食べられるんですよね?」


私の言葉にオルベル様が頷いた。


「猪の魔物を、狩ってきた」

「色々いるんですね」

「この辺りは動物よりも魔物が多い。‥だから魔物の方をよく食べる」

「そうですか。じゃあ楽しみにしています」

「‥ああ」


オルベル様は、私の手をジッと見て、


「沢山食べて、大きくなれ」


‥オルベル様、私もうほぼ成人サイズです。

曖昧に頷くと、「戻る」と呟いたかと思うと、一瞬にしてまた私はあの広いオルベル様のお屋敷の玄関に立っていた。



「え!?な、なんで一瞬で‥」

「‥転移だ。そっちにはないのか?」

「ないです!そもそも私達は魔法が使えないので‥。あ、でも人間でも使える人はいる、のか?少なくともうちの国の人達は使えないですね」



そう話すとオルベル様はそれは驚いたように私を見て、


「体はどうやって守る?」

「受け身とか?」

「敵が来たら?」

「武器で戦いますね。でも私は使える武器は弓くらいでして‥。あ!海で銛を使って魚は採れますよ」


にっこり笑って教えたのに、オルベル様はそれはもう心配そうに私を見つめ、


「すぐ死ぬじゃないか」

「そんな簡単に死にませんよ。多分」


安心して欲しいのに、オルベル様はますます不安そうな顔をした。ううむ、どこか安心できる要素はないかな?と、考えている私の手をオルベル様は離し、そっと私の首に触れた。


「お、オルベル様?」


な、何、もしかして絞められる?!と、ビクビクする私の首に何かがくっ付いた。


「こっちへ来い」

「え‥」


驚いた私の手をオルベル様が握って、すぐそばにあった大きな鏡で私の姿を映すと、首に黒いチョーカーが着いている。え、なんで?いつの間に?びっくりしてオルベル様を見上げると、



「‥生きているだけで死にそうだからな。それを着けておけば多少は大丈夫だ。絶対に外すなよ」

「はい」

「絶対だぞ」

「はいっ!」



絶対に外すなよと、厳重に言われてしまった‥。

そっと首に触れれば、ふわりとした感触のチョーカー。これも魔法で出したのかな?それにしても心配してここまでしてくれるなんて‥。15年ぶりの二度目ましてだけど、まぁなんとかなりそう、かな?


鏡越しにオルベル様と目が合ってニコッと微笑めば、すかさず横を向いたけれど、赤い耳の先はバッチリ見えている。これで夫婦になれるのか?いや、もう夫婦になった‥のか。



「あ、オルベル様!リニ様!結婚の報告は無事に終わったんですか!?」



バタバタとレーラさんと、後ろからフィプスさんがやって来て、オルベル様はなんとも複雑な顔で頷くと、二人は嬉しそうに笑って「おめでとうございます!」「やっとですね!」と、喜んでくれた。そっか、結婚って本来周囲の人にも喜んでもらえるものだったっけ。



とりあえず正式ではないが、私は結婚したのか〜‥と、この時になってようやく実感したけれど、わずか1時間の出来事‥。うーん、早っっ!!




数々のお話を書いてきましたが、一番最速の結婚ですね!!!(仮だけど)

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