8番目、恋の病!?76
熱を出して、お昼まで爆睡してしまった私。
しっかり寝たせいか熱は下がっているような気もするけれど、部屋へやってきたレーラさんに、
「まだゆっくり休んでないとダメです!」
と、しっかり釘を刺されてしまった。
ダメか〜〜。畑に行きたかったんだけどなぁ‥。ベッドの上でパン粥を食べ、またごろりと横になるが、しっかり寝てしまったせいで目が冴えて眠れない。仕方がないのでシュナさんが貸してくれた分厚い恋愛小説を読んでみることにした。
序盤から甘さたっぷり!てんこ盛り!な、感じのお話だけど、キャラクターが可愛い上に親しみを感じて、読んでいて飽きない。
「魔族の人も、こういうお話好きなのかな‥」
シュナさんは殊更好きそうだけど、ギャルな男性のエルザ様とかどうなんだろ‥。ユプスさんは「俺がそんなの読むわけねーだろ!」とか言いそうだな。うん。そんなことを想像してつい一人笑っていると、コンコンと窓から何か音がした。
「‥え、なに?」
まだお昼なのにもうお化けが出る、とかないよね?
恐る恐る音のした窓を見ると、小さな黄色の鳥が窓をくちばしで突いている。え、か、可愛い〜〜!中に入りたいよ〜と、ばかりに突いてない?ベッドから急いで降りて、ちょっとフラフラするけれど窓をそっと開けると、黄色の小さな鳥がちょんちょんと中へ入ってきた。
「か、可愛い〜〜!」
「それはどうも!」
「‥‥え?」
鳥が、喋った?!
目を丸くしたその途端、黄色の鳥は一瞬にして人間の‥いや、魔族の、自称ベル様の育ての親のリリオン様に変わった。
「え、ええええ!??」
「あ、静かにね。レーラやフィプスに見つかるとうるさいから。あ、これはお見舞いの花束」
「は、はぁ、どうもありがとうございます?」
どこから取り出した可愛らしいミニブーケを手渡され、目を白黒させた。
いきなり女性の部屋へ侵入しちゃう義理父ってまずくない!?とも思うが、魔族ってそういう考え、あまりないのかな?とにもかくにも王族だ。ひとまずお出迎えしなくては???
熱であまり回らない頭で、椅子を勧めるとリリオン様はにこやかに微笑み、優雅に着席された。
「それで?熱だって?もう大丈夫なの?」
「は、はい。熱は下がったよう、です」
「そうかそうかそれは良かった!あ、でも僕に構わず寝ていてくれ。またぶり返すと良くないからね!」
「はぁ‥」
それならいきなり来訪しなけえれば良いのでは?と、思うが義理の父にして王族に一体何を言えよう。私の実家は吹けば飛ぶ貧乏王族だ。ちょっと悩んだけれど、もそもそとベッドに戻らせてもらい、シュナさんの読んでいた小説を枕元の方へ置くと、リリオンさんの顔がパッと輝いた。
「それ!読んでるの?!」
「え、は、はい。シュナさんに貸して頂いて‥。せっかくだからと」
「どう?面白い?ドキドキする?」
「はい。まだ全部は読めていないのですが、とても素敵なお話だなって思ってて‥」
「ええ〜〜〜!?そう?他には?他には?」
「主人公もなんですが、お相手もその周囲の方も魅力的な方ばかりで、読んでいてワクワクします。あ、あと、文体が固すぎなくて、するする読めるのもいいなぁと‥。リリオン様もこちらをお読みになられたんですか?」
「ああ、僕それの作者」
ん?なんだって?
「僕、小説も書いてるんだ〜。いやぁ、そんな風に言ってもらえると作者冥利に尽きるなぁ」
「さ、作者!?この小説の?!」
「うん。他にもいくつか書いてるんだけどね。その三部作は研究の仕事が終わらなくてね、そのストレスを全部ぶつけたものなんだ!」
「ストレスを‥」
その割にめちゃくちゃ甘いお話だけど‥。
でもすごいなぁ!お仕事をしながら小説を書いているなんて、才能豊かな人‥いや魔族なんだな。
「リリオン様は、とても素晴らしい小説を書かれるんですね!」
「うんうん、オルベルのお嫁ちゃんは可愛いね!どれ、これもプレゼントしてあげよう!」
そういうと、リリオン様は上着のポケットから文庫本サイズの本を取り出した。
「え、これは‥」
「今度の新作!まだ見本だけどあげるよ」
「ええ!?いいんですか?あ、ありがとうございます!!」
わ〜〜、新作を貰えるなんて嬉しい!
ワクワクして本を受け取ると、リリオン様も嬉しそうに微笑んだ。
「いやぁ、オルベルはいくら本を送ってもなかなか読んでくれないから嬉しいなぁ!」
「そうなんですか?それは勿体ないですね‥」
それなら私から勧めてみようかな‥と、思っていると、リリオン様が私の方へやってくると、
「早く風邪が治るといいね」
そう言って、私の額を撫でた途端、
ドーーーーーーーーン!!と、ものすごい音と共に雷がリリオン様の上に落ちた。
「ぎゃあぁあああああ!!!リリオン様!?」
「「どうしました、リニ様!!」」
ものすごい勢いでレーラさんとフィプスさんが部屋へ飛び込んできて、私は涙目で、「リリオン様に、か、雷が!!」と、言うと、二人は黒焦げになったリリオン様を見て、
「「大丈夫です。問題ありません」」
と、笑って言ったけど‥、お、王族ですよ!??
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