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8番目とゴースト。70


大きなお化けがベル様にプレゼントしたお菓子を持って行ってしまった。


ベル様は急いで大きなお化けの方へお菓子を取り返そうと飛び出した。え、えっと、私は逃げておいた方がいい、のかな??キネリさんと思わず顔を見合わせると、後ろにさっきの大きなお化けが急に現れた。



「え?」



ぐわっと大きな口を開けたお化け。


「うわぁあああああああ!!!??」

「り、リニ様!!!」


ワニのオモチャのように大きな口を開け閉めして、こちらを追いかけてくる大きなお化け!ちょ、ベル様!ベル様はどこへ〜〜〜!?必死に人混みの中を縫うように駆け抜ける!


と、小さな子にぶつかりそうになって、足を止めたけど間に合わない!


「「わあああ!!」」


ドン!と、衝撃がくるかと思ったけれど、瞬間ふわりと小さな子の体をすり抜けた。そ、そうだったお化けの体になってるから大丈夫だったんだ!ホッとしたけれど、後ろに迫る大きなお化けは途中に現れたお化けをバクッと食べ、またも体を大きく変化させた。


‥‥もしや私、幽体化してるから食べようとしてる、よね!?


小さい子に「驚かせてごめんね!」と、声を掛けてから急いでまた前へと駆け出した。とりあえずあのお化けから逃げないと!


逃げつつ後ろをチラッと見れば、またどこからか現れたお化けをバクっと食べている。だからなんで食べてるの?お菓子を食べればいいじゃないか!ベル様から奪い取ったお菓子は手に持っているのに、お化けを食べるってどういうこと?!



「自分で食べられないのかな‥」

「リニ!!」



ベル様の声がして、キョロキョロと周囲を見回すと上空からベル様が降りてきた。


「大丈夫か!?怪我は?」

「わ、私はないんですけど、お化けがますます大きくなってて‥」


そう言って大きなお化けを指差すと、そのお化けのお腹の辺りが黒く渦巻いている‥?


「あれ?さっきと何か様子が違う‥」

「様子?さっきから大きくはなってるが、他に何か変化があるのか?」

「え?お腹の辺りが黒くなってるの、見えませんか?」

「いや‥、そうなのか?」

「は、はい。確かに黒いのが‥」


ベル様には見えてないの?

じゃあ私の目の錯覚?それともあれかな、一時的にお化けになってるからわかるのかな?考えていると、


「リニ!逃げろ!!」

「っへ?」


横を見た瞬間、大きな口を開けて大きなお化けがこちらへ一直線に飛んできた!


「わぁああああ!!!?」


ベル様が急いで魔法なのか白い光をお化けにぶつけたけれど、あっさりとすり抜けて空へ飛んでいってしまった。ま、魔法、効かないのかい!チッとベル様は舌打ちをして、私の方へ飛んでくると、


「リニ、屋敷の方へ戻るぞ!」

「は、はい!」


このままだと他のお化けさんも危険だ。

頷いて、屋敷の方へ顔を向けた時、体がガクッと重くなった。


「あ、あれ?」

「リニ、どうした?!」

「体が戻ってるような、戻ってない、ような?」


足元が急に重くなって、思うように動けない。

と、ものすごい大きさになったお化けがこちらへ一直線に飛んでくる!ベル様が私を庇うように立ち塞がってくれたけど、ど、どーしよう!!ベル様は大丈夫なの?


後ろへ一歩後ずさりしたその時、腰にドンと押される痛みに後ろを振り返ると、大きな台の上に赤い色をしたクッキーやケーキがどっさりと並んでいた。あ、もしかして、これ精霊の休憩所‥?



咄嗟にわしっとクッキーやお菓子を鷲掴み、ベル様の体の隙間から大きな口を開けて飛びかかってくるお化けの口の中へお菓子を放り投げた。


と、口の中へお菓子が入ったお化けが途端に体の動きを止めたかと思うと、横から飲み込まれたお化けがコロッとボールのように出てきて、慌てて空へ飛んでいった。その瞬間、大きかったお化けの体が少しだけ縮んだ!



お菓子だ!

お菓子を食べさせればいいのかもしれない!

そう思って、私は次から次へと大きなお化けにお菓子を投げつけると、お化けはあたふたしたように逃げようとする。



「ええーーーい!さっさと成仏しなさーーーい!!その口を開けろーー!!!!」

「り、リニ‥?」



形勢逆転!!

お菓子を口にねじ込んでやればいいんだ!

台に大きなトレイに載せられていたお菓子を抱え、お化けの口めがけて投げる私はベル様を見て、


「アヴィ様!!お菓子を口へ詰め込んでください!!!」

「あ、え、あ、ああ、」

「早く!!!」

「あ、ああ!」


お菓子を次から次へとお化けへ投げる私にちょっと驚いた顔をしたベル様も、お菓子を掴むとものすごい勢いで逃げようとするお化けの口へ入っていった。流石!軍団長の正確性すごい!!



「べ、アヴィ様、すごい!!ナイス腕前です!」

「そ、そうか?」

「はい!」



私の言葉にベル様は顔をパッと輝かせ、次々と野球選手の如く正確なピッチングでお化けの口にお菓子を放り投げていくけど、お菓子‥足りるかな?チラッと台を見ると、他のお化けが建物の影から若干不安そうにこちらを見ていた。ご、ごめんね〜〜!!あとで買ってくるからね!




お化け的には、「わ、わぁ‥」って感じですね。

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