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8番目とゴースト。69


赤いお茶を飲んだらまさかの幽体化!!

要するに生きてる状態でお化けのようになってしまった‥。ふわふわと浮く自分の体をそれは心配そうに見つめるベル様は、どうにか私の手を掴もうとするが幽体なのでスカスカと手が通り抜けてしまう。


隣にいたキネリさんは流石に私がまさかそんな状態になるなんて‥!と、真っ青だ。


「も、ももも申し訳ありません!!まさか人がお茶を飲むとこのような状態になるとは思いもしなくて」

「大丈夫ですよ。以前も酔っ払ってしまいましたが、時間が経てば治りましたし。今回も少ししか飲んでないからきっと治りますよ」

「そ、そうでしょうか?」

「はい!大丈夫です!‥多分!」


元気よく答えると、ようやくキネリさんはホッとした顔をしたが、いやはやどうしたものか‥。とりあえず一度屋敷に戻るしかないか〜〜。


「屋台飯、食べたかったな‥」


思わず呟くと、ベル様がハッとした顔をした。


「屋台で飯を買ってから帰るか」

「え、いいんですか?」

「‥幽体化は心配だが、何もせず帰るのもなんだろう」

「やった!‥じゃなくて、ありがとうございます!じゃあ、早速行きましょう!」

「キネリ、赤い茶葉を使ってない食べ物はどれかわかるか?」

「は、はい!お任せ下さい!!」


キネリさんがビシッと敬礼するように手を頭に当てると、「こちらへどうぞ!!」と、それは大きな声で屋台の方へ案内してくれた。す、すみません、食欲旺盛なもので‥。


幽体化しているからふわふわと浮いてしまうけれど、自分が行きたい方向へはスムーズに動ける。良かった〜!これなら大丈夫そうだ。ベル様は心配そうにしつつも側にいてくれるので私は安心だ。なにせ目の前でお化けが飛んでいるからね。


「オルベル様、こちら魔物の串焼き肉です!肉屋が上手に血抜きをしたので美味しいですよ!!」

「わかった。それを四つ包んでくれ」

「はい!あ、あと、そちらのお菓子は奥様におすすめでして、星の形をした豆菓子です!」

「星?」


隣の方を見れば、星の形をした黄色やピンク、薄い緑色をしたポップコーンのようなものが紙の箱の中に入っている。可愛い上に美味しそう〜〜!と、思っているとすかさずベル様が「それも四つ」って言うが、そんなに食べられる‥んだろうな。魔族の人はよく食べてたもんな。


というか、今の私は食べ物に触れるのかな?

屋台に並べられている苺飴のようなものが目に入り、手を伸ばしたその時、



「うわーーーー!!おかしな精霊がいるぞ!!!」



誰かが叫ぶ声がして、そちらを振り返れば、昨日見た一際大きなお化けがグルグルと縦に転がるように飛んで、あちこちへぶつかっている。幸い、お化けだから人や建物には害はないけれど、お化け同士はぶつかるらしい。


ドン!と、小さなお化けにぶつかると、小さなお化けはその一際大きなお化けに抗議するかのように、大きなお化けの前に立ち塞がった。



その瞬間、お化けが大きな口を開けて、バクリと小さなお化けを食べた。

た、食べた!??



「ふぎゃぁあああああ!!!??」



完全なホラーじゃん!!!

思い切り叫んでベル様の後ろへ隠れた途端、周囲で見ていた人達も慌てて子供達を庇ったり、建物の中へと避難した。


「あ、あれ?皆さんも隠れましたけど、あれってよくある事じゃないんですか?」

「いや、あんなことは通常あり得ない。何か変だ‥」


ベル様がピリピリとした空気を発し、大きなお化けを睨むと、ヒックとしゃっくりをし、大きなお化けは更に体が大きくなった。その様子に驚いていると、キネリさんが慌ててこちらへ駆け寄ってきた。


「オルベル様、兵を呼びました!」

「わかった。リニ、キネリと一緒に避難を‥」

「え、で、でも‥」


ベル様は?

あのお化けと戦うの?

大丈夫なの?軍団長だと知っていても心配だ。だってお化けだよ?いきなり食べられたりしない?すると、ベル様が少しだけ小さく微笑んだ。


「俺なら大丈夫だ。ひとまず建物の中に入っててくれ」

「‥‥わかりました」


そう言われてしまっては避難するしかない。

小さく頷いて逃げようとしたその瞬間、大きなお化けが私とベル様の目の前に突然現れた。



「「え、」」



咄嗟にベル様が私の前に立ち塞がると、お化けがなんとベル様の胸ポケットに入っていたお菓子の小箱をものすごい速さで抜き取り、空へ一気に飛び上がった。


「え、お菓子、泥棒‥?」


私がポツリと呟いた瞬間、ベル様が、



「俺の宝が!!!!」



と、叫んだ。えっと、宝じゃなくてお菓子だけど‥。





宝箱を大事にしまっておいたんですが、どこにしまったか

思い出せない私‥‥。

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