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8番目とゴースト。68


暖かな光が灯った町を歩く私とベル様‥に、なるはずだったかが、



「オルベル様!なんと町までいらっしゃるとは!お声がけ頂ければお迎えに参りましたのに!」

「‥いや、今日はつ、妻と二人で回りたくてな‥」

「そうでしたか!‥って、妻?!!つまり、奥様?!伴侶!?パートナーですね!?」



突然現れた私たちの元へ駆けつけた茶色の顎髭のおじさんがオーバーなくらい驚くが、この間出かけた町のデリーさんになんだか似ている。声はめちゃくちゃ大きいけど‥。そんなことを思っていると、ベル様が私を見て、


「以前行った町のデリーのいとこでキネリだ」

「どうも!この町の町長をさせて頂いているキネリと申します!!!お会い出来て嬉しいです!」

「は、はい。リニ・プレファンヌと申します!!」

「なんと素敵なお名前!!今後ともどうぞよろしくお願い致します!!」


声が‥、声がでかい!!

思わず釣られて大声で挨拶してしまったではないか。

ベル様はそんなキネリさんに慣れているのか、しれっとした顔で「屋台の方を見てこよう」と言うけれど、あのっ、キネリさんと会話とかしなくて大丈夫なの?



「オルベル様が祭りや屋台にご興味にお有りとは!!いやぁ、一年に一度の祭りですからね!!これはぜひ楽しんで頂かねば!!あちらに屋台と精霊の休憩所がありますので、ご案内致しましょう!!」

「精霊の休憩所‥?」



初めて聞いた言葉に目を丸くすると、キネリさんはコクコクと頷き、


「奥様は精霊の祭りは初めてでいらっしゃるんですね!!精霊は家族の元へ戻るのもいれば、この地に興味を持ってやってくる存在なので、ゆっくり食事を楽しんで貰えるように休憩所を作るのです!」

「へぇ〜〜、素敵ですねぇ」


そんな風に優しく出迎えてあげるなんて素敵だなぁ。

が、案内された道の角を曲がった瞬間、白い布を被ったお化けが町の通りにあちこちと飛んでいて、条件反射のようにベル様の服をガツッと掴んだ。


い、一杯いる!!!

ものすごく一杯いる!!最早町の人同じくらいいないか?レーラさんがお菓子を配りまくって、大分少なくなったって言ってたけど、本当だったんだ。本来ならこんなにいたのか!


ベル様の後ろからそっと周囲を見れば、町の屋台をあちこちとふわふわと飛ぶお化けが、道の奥の方にギュッと密集していて、叫び出しそうになる口をギュッと閉じるのに精一杯だ‥。



「大丈夫か、リニ」

「だ、だ、だ、大丈夫、ですっ」

「おやおや奥様、お顔の色が‥!!あ、それならばあちらの屋台で温かいお茶がありますので、ぜひ!」

「あ、ありがとうございます」



まさかお化けが怖いなんて町長さんに言えない‥。

ベル様が私を心配そうに私を見つめ、


「手を、握っておこう、か?」

「めちゃくちゃ手汗がすごい事になってますけど、大丈夫ですか?」

「大丈夫だ!気にしないでいい」

「では有り難く‥」


「どうぞ!!!お茶をお持ち致しました!!!!」


ものすっごい声量とキネリさんが二つ、木のカップに入ったお茶を持ってきてくれた。


「あ、ありがとうございます」

「熱いのでお気を付け下さい!!オルベル様もどうぞ!!」

「‥‥‥‥ありがとう」


なんだか恨みがましいような目でお茶を受け取るベル様、もしかして猫舌なのかな?受け取ったカップを見れば、赤い。


え、トマト味?

でも匂いは完全にお茶なんだよな‥。

これは‥、飲んでも大丈夫、なやつかな?じっとお茶の表面を見ていると、ベル様が私を心配そうな顔をし、「飲めるか?」と、聞くので私は慌てて頷いた。


ま、大丈夫でしょ!


ごくっと飲めば、ほんのり甘くて美味しい。

良かった、普通の味だ‥。



「このお茶甘くて美味しいですね」

「そうでしょう!?この季節にしか咲かない赤い花を乾燥させたお茶なんです!精霊の休憩所にもこのお花の粉末を入れたお菓子を出しているんですが、とても有名なお茶なんですよ!」

「お化けさ、精霊さん達にも好評なんですね」



へぇ〜〜、私の国にはなかったお茶だ。

やっぱり国が違うと食べ物も違うんだなぁ‥。ふうふうと息を吹きかけてお茶をちびちびと飲んでいると、体がポカポカ温まる。それだけで心も体が軽くなる。


そう思っていると、ふわりとなんだか体が軽く‥、いや、浮いているような気分?ふわふわした気分で足元を見て、ギョッとした。



「足が、浮いてる!??いや、待って!?透けてる!??」

「え!?」



ベル様が私を見て、目を見開いた。


「幽体化、してる‥!?」

「え、幽体化って‥、もしかして、精霊さん達みたいにお化けになってるって事ですか?!」


ってことは、私は今仮死状態ってこと!?

驚いている私の横で、キネリさんが「え!?つまり、死‥」と、言いかけると、ベル様が私の手をぎゅっと握ろうとして、スカッと手をすり抜けてしまった。



「‥‥‥‥そんな」

「べ、アヴィ様、多分死んでない!!死んでないと思いますから!気をしっかり!!」



急いで元気アピールしたけれど、これは、治るもの‥なのか??





キネリさんの声は相当デカイです。


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