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8番目、いざ戦いへ(?)57


ベル様が戦ったお陰で、妃にはなったけれどまだ軍団長として働くことは許された。それでいいのかな?って思ったけれど、シュナさんが嬉しそうだからいいとしよう!


観客席に戻って来たベル様とシュナさんに駆け寄ると、二人とも嬉しそうに笑ってくれた。


「お疲れ様でした!お怪我は‥ないか」

「ああ。キルシュナもご苦労」

「はい!今回は本当にありがとうございました!軍団長としてこれからも仕事に邁進して参ります!」

「‥そうしてくれ」

「はい!!あと300年は絶対に頑張ります!!」


300年‥。

私の人生3回分を働く気満々ってすごいな。

ポカーンとしていると、リリオン様が横で「せめて100年にしてあげて〜〜」と、突っ込んでいたが、まぁそこは本人の望むワークバランスってのがあるからねぇ。


シュナさんを見上げて、


「お仕事、続けられるようで良かったです!これからもどうかよろしくお願いしますね」

「はいっ!!!」


二人で顔を見合わせて微笑んだ。

良かった〜〜!シュナさん、仕事をどうしても続けたかった感じだったからホッとした。妃候補には決定しちゃったけど、本人が嬉しそうで一安心だ。



ホッと息を吐いたその時、ベル様がそっと私の側にきた。


「あ、これマントを‥」

「ああ‥」


ベル様がマントを受け取るタイミングで、爪先を伸ばしてベル様の耳元へ顔を近付けた。



「あのっ、友達を助けて下さってありがとうございます」



こそっとそう話すと、ベル様がギリギリと首をゆっくり動かして私を見つめた。


「‥‥大事な、その、同僚だしな、」

「ふふっ、そうですね」


そんなこと言って〜!

なんだかんだで助けてあげるんだから優しいよね。

にっこり笑えば、ベル様の尖った耳が赤い。照れ屋だな〜〜!と、小さく笑うと、リリオン様が私とベル様を交互に見て、


「‥‥え、ちゃんと相思相愛なんだ」


と、言うからぶっと吹き出してしまいそうになった。

あ、危ない!そうだった、私達夫婦としてちゃんとラブラブでーすって、一応取り繕っておかないとだった。じゃないとベル様が貴族に色々言われちゃうからね。


でも、半年間はお試しだから、どうするのが最善なのかな。


仲良くしてたのに別れたらまた文句言われない?心配になってベル様を見上げれば、複雑そうな顔をして私を見つめていて‥。どこか寂しそうな瞳に、ついベル様の手を勝手に握ってしまった。



「‥‥リニ?」

「勝手に手を握ってしまってすみません。ダメですか?」

「ダメ、じゃない」

「じゃあ、もうちょっとだけ」

「‥‥別に、いつまでも大丈夫だ」



そう?でもお仕事もあるでしょ?

でも眉間にシワを寄せつつも、私の手をそっと握り返すベル様にちょっとだけ心がくすぐったくなる。嬉しいんだか、嬉しくないんだか、相変わらずわかりにくいなぁ。


バレないように小さく笑っていると、カツカツと足音がしてそちらを見れば、ヴェリ様がこちらへやって来た!?皆、さーーっと頭を低くするので、私も頭を下げようとするとヴェリ様に止められた。



「‥オルベル、よくも人の恋路を邪魔してくれたね」

「それはお前だろう。それにキルシュナはまだまだ働いてもらわないと困る。若手の育成は大事だろ」

「ものはいいようだねぇ」



横でリリオン様が茶々を入れると、ヴェリ様が「叔父上はただ楽しんでいるだけでしょうに‥」と、呆れたように言うと、ヴェリ様はシュナさんを見上げ、


「キルシュナ、君が妃に決まって嬉しいよ。300年は長いから、せめて3年でお嫁に来てね」

「え、えええ!!?でも最低100年は‥」

「じゃあ2年」

「そんな!!じゃあ50年で!」


ベル様がすかさず「アホか。自分で縮めにいくな。お前は最低100年だ!」と、言うと、シュナさんはハッとした顔をして、「じゃあ最低100年働きますので無理です!」と、宣言すると、ヴェリ様はベル様をジロッと睨んだ。


「‥本当に、僕の邪魔をしないでくれる?」

「そっちこそ」

「まぁ、いいよ。まだ半年あるもんね?」


ヴェリ様が私をチラッと見て、ニコッと微笑み、


「どう?まだ一緒に居たい?」


と、言うものだからベル様が目を釣り上げた。

王様自ら煽るでない‥。私はベル様の手をぎゅっと握ると、ベル様の体がカチッと固まった。よし、こっちは大丈夫。私はヴェリ様を見上げ、



「‥まだ、一緒に居たいと思っています」



そう話すと、ヴェリ様はちょっと目を丸くし、それから柔らかい眼差しで私を見つめた。


「そっか〜。それは残念」

「おいっ!!」

「キルシュナ、早くお嫁さんに来てよ!待ってるからね」

「は、え、あ、そのっ、」

「ふふ、キルシュナは本当に可愛いねぇ!」


ヴェリ様に言われて、顔が真っ赤になってしまったシュナさん。

慌てて私の後ろへ隠れたが、隠れきれてないって‥。もごもごと「ふぇええっ、顔が眩しくて見られません!」と、後ろで呟くシュナさんと、固まったままのベル様に囲まれた私。まぁ、仲の良さは見せつけられたし、これで大丈夫、かな?




イチャイチャって、いいよね!!!

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