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8番目、いざ戦いへ(?)56


満を持して盛り上がる闘技場。

貴族の男性も女性も、老いも若きもこれから始まる試合に沸き立っている。


が、誰がこれを見てお妃選定パーティーって思うんだろ‥。


異文化に目眩がしそうだが、魔族には魔族のやり方があるからね‥。

ため息を吐いたその時、闘技場の丁度真ん中の席にヴェリ様が現れ、にこやかに微笑むと一層歓声が強く上がった。



「今日は妃の選定の為によく集まってくれた。また、候補の皆も精一杯頑張って欲しい」



ヴェリ様の言葉にわぁっと歓声が上がり、闘技場の中央に審判らしき人がやってきた。


「これより妃の選定を始める!魔法の使用は不可。一度でも使ったら失格!武器は壊れた時点で終了とす」


審判の人の言葉に3人が頷き、それぞれ武器を取り出した。

シュナさんはもちろん槍だけど、他の二人は剣だ。武器が一人だけ違うけど大丈夫かな?ベル様を見上げれば、面白そうにシュナさんを見ながら、


「あいつは強い。大丈夫だ」


と、サラッと褒めた。

なるほど絶対大丈夫って信頼してるんだなぁ。

そうこうして審判の人が手を挙げ、



「始め!!」



大きな声でそう言った途端、3人がぶつかり合うので目を見開いた。


「ちょっ!?一対一じゃないですか?!」

「すぐに終わる」

「そういう問題ですか?!」


魔族〜〜〜!!そこに効率を求めるのかーい!

ギンと金属がぶつかり合う音が闘技場に響いて、私は激しい動きに目で追うのが精一杯だ。だってなんか瞬間移動してるんじゃない?ってくらい動きが素早いんだもん。


すると不意に髪の短い人の剣が折れ、ザワッと声が上がる。


あともう一人‥、皆がシュナさんと、髪の長い女性の方を見たその瞬間、シュナさんの槍が剣を高く弾き飛ばし、それがクルクルと空中に舞い、ザクッと地面に落ちたところだった‥。



「勝者、キルシュナ!!!」



審判の人がそう言うと、ワッと大きな声が上がった。



「え、もう、決まっちゃったの?!」

「流石キルシュナだな」

「やっぱり動きがいいよね〜」



い、いや、そこで賛辞を送っている場合じゃないって!どうするの結婚決まっちゃうよ?私は遠慮がちに微笑むシュナさんとベル様を交互に見て、


「あのっ、でも、妃に決まったら困っちゃうのでは?!」

「ああ、大丈夫だ。異議を唱える」

「え?」


異議?

目を丸くすると、ベル様がスクッと立ち上がり、



「異議を唱える!キルシュナは軍団長だ。妃として国に仕えるのは問題がある!」



一斉にベル様に注目が集まり、ビクッと体が跳ねる。なんだかすっごく怖い雰囲気になったぞ?チラッとヴェリ様の方を見れば、肩肘を椅子についてこちらを不敵な笑みで見ている‥。


「だが今まさに勝ったぞ?それについてはどうする?」

「俺が勝負する。キルシュナが俺に勝てば妃だ」


あ、そういう!?

でもベル様シュナさんと戦うの?どちらも大丈夫なのかな?と、心配していると、リリオン様がヴェリ様を見て、


「力で証明するのが習わしだ。リリオンが見届けよう」


ニヤニヤと笑ってそう話すと、ワッと声が上がった。

えっと、っていうことは勝負、するの?ベル様を見上げると、小さくこちらを見て頷き、


「すぐ戻る。‥‥そこのやつの側にいてくれ」

「ひどーい!お父さんって言ってよぉ!!」

「は、はい」


ベル様はマントを私に手渡すと、軽くジャンプをして闘技場の中へ降り立った。え、すごい‥。軽ーーーーくジャンプしてったけど、結構な距離あるぞ?驚く私の横で、リリオン様が可笑しそうに笑って、



「オルベルがこんな面倒なことに首を突っ込むとは意外だ」

「え、そうなんですか?」

「人のことにあんまり興味のない子だからねぇ」

「そうですか?シュナさんを信頼しておりましたが‥」



私の言葉にリリオン様が意外そうな顔をした。

結構、人のこと見ていると思うけどなぁ‥。レーラさんやフィプスさんも信頼している感じだったし。ベル様が手から黒い大きな剣を取り出すのをじっと見ていると、リリオン様が私を見て、



「‥君が、来たからかなぁ」



と、呟いた。

私‥?首を傾げたその時、「始め!!」と、いう声にベル様の方を見れば、ものすごい勢いでシュナさんの方へ駆け出した‥と、思ったその瞬間、槍が空を舞った。



「え」



クルクルと舞った槍が私とリリオン様の間にグサッと刺さった。


「ひえぇえええええ!???」

「あいつ、わざとこっちにやったな」

「ええええええ!??」


わざとこっちに?!なんで??

混乱する私を横に、審判が「しょ、勝者、オルベル殿!!」と、叫ぶと、またもワッと声が上がった。



えっと‥、もう勝負が決まったの?

私は未だ座席の真ん中に突き立った槍を見て、呆然としているですが?

するとヴェリ様がベル様をじとっと睨み、


「‥わかったよ。妃候補はキルシュナにするが、まだ軍団長として仕事をしてもらう。それでいいかい?」


ベル様はシュナさんを見て、


「キルシュナ、それでいいか?」

「は、はい!!精進致します!!」


シュナさんはパアッと顔を輝かせると、私の方へ手を振ってくれた。私も目一杯手を振ると、ものすごく注目されてしまった‥。う、うう、恥ずかしい。でも良かった〜!





たまには、ベルさんも格好いいとこ見せないとね!!

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