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8番目、いざ戦いへ(?)55


妃候補の選定パーティーという名の「戦って勝ち取れ!嫁の座!」と、いう大変前世なら叩かれちゃう展開に、私は気が遠くなる。


だって負けたら「軍団長なのに!」って、悪く言われるし、

勝ったら「妃に決定!」になって、働きたいのに難しい‥と、いう事態だ。なにその鬼のような展開。


一見キリッとした長身ムキムキシュナさんは、今やすっかり背中を丸め、


「どうしましょう〜〜〜!ヴェリ様の目の前で戦うから、誤魔化すこともできないし‥、い、いえ、そもそも後の二人もかなりお強いですし‥、ここはいっそ負けて?いえ!それでは軍の皆さんに顔向けができませんし‥」


と、ほぼ半泣きである。

‥うーん、ヴェリ様め。シュナさんを困らせるとはふてぇ奴だ。

私はシュナさんの手をしっかり握り、



「シュナさん、まず試合は勝ちたいんですか?」

「は、はい‥」

「それならまず試合は頑張りましょう!そこからは、アヴィ様になんとか対処して頂きましょう」



ベル様は私の言葉に少し驚いた様子だったけれど、すぐに頷いた。


「勝っても負けても、大事な同僚だ。どうにかする。だから今は全力で立ち向かえ」

「は、はいいいっ!!!」


シュナさんは目をぐしぐしと擦って、前を向いたけれど、嗚呼、アイメイクが崩れちゃう〜〜。私は急いでハンカチを取り出し、シュナさんに屈んで貰ってそっと目元を綺麗に拭った。


「す、すみません!リニさん、何から何までありがとうございます」

「とんでもないです。友達なんですから当然ですよ」


シュナさんが嬉しそうに目を細める横で、ベル様がこちらをじーーーーーーーっと見つめている。


「アヴィ様、どうかしました?」

「‥‥いや、なんでもない」


と言いつつ、私の手をしっかり握るベル様。

なんかまた危なそうって思ったのかな?ベル様の手を握り返し、大丈夫だぞ〜とばかりに微笑めば、パッと顔を照れ臭そうに逸らした。受け取って、笑顔‥。


とはいえ見慣れた光景にちょっと安心していると、リリオン様がまじまじとそんなベル様を見て、



「‥結婚したのに、それ?」

「うるさい」

「えー、だって、つが‥」

「うるさい」

「もう!お父さんに冷たーい!」

「え!??お父さん?」



思わず声が出てしまって、慌てて口元を手で覆うと、リリオン様は面白そうに笑って、


「オルベルを小さい時に拾ったんだ。大きく育っただろ?」

「拾った‥?!」

「うるさい。お前が面白そうだって勝手に俺を連れていったんだろ」

「ねぇ、こんなに可愛くない事を言い出しちゃって!小さい時はそりゃぁあ可愛かったのに、」

「うるさい」


え、ええっと、つまりベル様を小さい時に拾って育てのが、まさかの王弟ってこと?それでヴェリ様とも仲良し、なのかな?なるほど、それなら先代の王族と、今代の王様とも仲が良いからやっかまれているって納得だ。


と、ぞろぞろと魔族の人達に私とベル様も付いていってるけど、どこへ行こうとしているのかな?



「アヴィ様、皆さんどちらへ‥」

「あそこだ」



長い廊下を通り抜けると、そこは前世で歴史の時間に見た闘技場がまんまあって、口をあんぐり開けた。


「と、闘技場!??お城の中に!??」

「ああ、魔族は大体戦って勝負をつける」

「大体‥‥?」


その他はどうなってるの?

するとリリオン様が笑って「大体ヴェリがどうにかしてるね」と、サラッと言ったけれど、命令‥ですよね?そっちも拳で決めている‥とかではないですよね?


驚く私にシュナさんはにっこりと微笑み、


「ひとまず勝ってきます!!」

「は、はい!頑張って下さい、ね?」


と、いう声掛けでいいのか?と、思いつつそう話すとシュナさんは嬉しそうに頷き、闘技場の奥へと歩いて行った。ドキドキと私が緊張していると、ベル様が私の手を引いて、よく見える場所まで案内してくれた。


結構上の方だけど、よく見える椅子に座ればリリオン様も当然のように隣に座ったけれど、い、良いんですか?王族、ですよね?リリオン様を見上げれば、リリオン様はにっこりと微笑み、


「あ、僕のことは気にしないでいいよ」

「は、はぁ‥」

「アホか。リニ、こっちへ」

「は、はい」


サッとオルベル様がリリオン様の隣に座ると、「あはは、可愛いねぇ」と笑った。‥うん、完全におちょくっているお父さんだな?ベル様はじろっとリリオン様を睨んだその時、わっと前方から声が上がった。


なんだろうと、中央の会場を見れば、丸い闘技場にシュナさんと他に二人女性が別々の出口から出てきた。



「シュナさん!‥と、あとお二人出てきましたね」

「髪が長いのがエルザの姪っ子で、風の副団長だ。もう一人の髪の短いのがユプスの故郷で魔物の駆除と、時折うちの国へ不法に入ってくる奴らを撃退してる」

「お、おお、どちらも強そうですね‥」

「全員、かなりの手練れだ」

「楽しみだね〜!誰が勝つかなぁ〜」



皆ワクワクした顔をして見ているけど、あの‥妃候補の選定‥だよね?と、人間代表、一人で心の中で突っ込んだ。




今日も読んで頂きありがとうございます!!

明日は寒いぞ〜〜!あったかくしていきましょう!

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