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8番目、いざ戦いへ(?)50


シュナさんが妃候補のパーティーの知らせを受け「結婚は絶対嫌!」と、訴えれば、ベル様も絶対反対する!と、約束した。その言葉にようやく安心したシュナさんを見ると、私まで安心する。結婚って、覚悟しててもドキドキしちゃうもんね。


皆でシュナさんを見送ると、ベル様が私をチラッと見た。



「‥野菜の水やりをしに行こう」

「あ、はい!」



と、ベル様は目をウロウロさせて、そっと手を差し出してきた。

さっき手を繋いでいこうとしてたから?大きな手を握れば、ベル様は耳を赤くさせながらもそっと握り返してくれた。‥照れ屋なのに、こういうのは好きなのかな。


二人で中庭へ歩きつつ、


「シュナさん、どうなっちゃうんでしょうね‥」


私が言えば、ベル様もどこか遠くを見て、「まったくだ」と、返してくれた。


「キルシュナはまだ軍団長になって日が浅いが、実力もやる気があるからな‥」

「そうなんですね‥」


そういえばベル様、軍団長のトップだった。

そりゃシュナさんが結婚騒動に巻き込まれたら困るよねぇ。そういうのもあって、シュナさんを守ろうとする気持ちもあるのかな?


「軍団長としては看過できない‥ですか」

「そうだな」


小さく頷くベル様が私を見て、


「‥友達が、悲しんでいたら、嫌だろう」

「っへ?」


今なんて言った?

私の友達が悲しんでいたら嫌だろうって言った?

まじまじとベル様を見つめると、少し照れ臭そうに顔を横に向けて、



「‥背中を撫でる相手は、一人でいい」



べ、ベル様〜〜〜〜〜!!

めっちゃいい人じゃん!私はもう目を輝かせ、ベル様の手をぎゅっと握ると、ベル様は驚いた様に私を見つめたので、もうそれはめっちゃ笑顔で、


「ありがとうございます!!その気持ち、すごく嬉しいです!」

「そ、そ、そう、か」


心なしかベル様の声が裏返ったような気もするけれど、そんな風に思ってくれていたなんて嬉しすぎる。ニマニマしながら一緒に畑の水やりをしたさ!ベル様の方は、こっちを見たと思ったらジョウロで自分の足に水やりしてたけど‥。



よーし!私も明日は頑張るぞ!気合いを入れて、その日はフィプスさんにもう一度貴族の話を聞いて、ドレスのチェックもして、準備オッケーだ。夕食後、ベル様に、


「今日も本を読んだりは‥」


と、提案されたが、今日こそは酔っ払うでも、気絶するでも、寝かしつけられるでもなく、一人で寝たい。丁重にお断りをして、ちびっこよりも早い時間にベッドに入った。



「ようやく一人で眠るって、大人としてどうなのかな‥」



そう呟きつつ目を瞑ればあっという間に朝。


つまりはパーティー当日である。

まだがっつり呪われているので、うっかり嫌いと叫んでしまうが、なにせ女は度胸、愛嬌、最強だ。きっとどうにかなる。


身支度をしていると、同じく気合いたっぷりのレーラさんが、ノックと一緒に朝食がのったカートとやってきた。


「おはようございます!リニ様、まずは朝食を部屋で召し上がって頂きますね。その後ドレスに着替えて、メイクです!!」

「は、はい」


戦いはもう始まっているんだな‥。

小さく食べやすい大きさに切られたサンドイッチを食べ、ドレスに着替えて鏡台の前に座れば、次々と並べられる化粧品の多さに恐れ慄いた。こ、こんなに顔に塗るの??結婚式の時は、何が何だかわからないうちに色々されて、ちゃんと覚えてなかったけれど、今回は前回よりも少ないらしい‥。



「本当ならもっとお時間があれば完璧にできたのですが‥」

「十分すごいと思いますよ?レーラさんがいてくれなかったら、私本当に途方に暮れてましたよ」



と、話しつつ、普段はあんまり何もしない私の顔がどんどん変わっていくのは見ていて面白いが、レーラさんのテクニックの素晴らしい。


「できましたわ!」

「おお〜!すごい!自分で言うのもなんだけど別人みたい!」

「リニ様は十分可愛らしいから、普段ももっとお化粧をしたいのですが‥」


そ、そう?

レーラさんの気合いに押されていると、ドアがノックされた。


「レーラさーーん、フィプスです。そろそろお時間ですよ〜」


レーラさんが最後のチェックとばかりに髪を整え、そっと椅子から立たせてくれた。ふわりと広がる薄いピンクのスカート。下に履いているチュールがいい仕事をしているのかふんわり広がる様子が少ない乙女心を刺激してくれる‥。



「嗚呼!大変可愛らしくも美しい仕上がり!我ながらいい仕事をしました」

「レーラさんがいてくださって本当に感謝しかありません」



ちょっとスカートを摘んでお辞儀をすれば、レーラさんが嬉しそうに微笑んでくれた。いや、本当レーラさん様様です。レーラさんと一緒に部屋を出ると、フィプスさんの後ろにベル様が立っていた。



いつもの真っ黒‥だけど、黒いかっちりしたスーツの襟に金の刺繍がしてあってすごく華やかだ。そこへベルベットのマントをさらっと羽織っていて、気品すら感じる。



「‥王子様みたいですね」



思わず呟いた私に、フィプスさんとレーラさんが同時に吹き出し、ベル様はというと驚いたように目を見開いて私を見つめた。え、なんで?





オルベル様、顔はいいのにね〜〜と、レーラさんとフィプスには言われてます。(堂々と)

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