8番目、呪われる!48
ぱちっと目が醒めると、本日は天蓋ベッドの中。
「え、またもやってしまった‥?」
ベル様と絵本を見ていて、なんだか眠くなって‥、そのまま寝ちゃった?起き上がってキョロキョロと周囲を見てもベル様はいないから、今日は自分の部屋へ戻ったんだろうな。
絵本も本も綺麗にしまってあって、申し訳なさでへこむ‥。
いや、でもたまたま寝ちゃっただけかも?なんて思いつつベッドから降りると、ドアのノックと一緒にレーラさんが入ってきた。早い、早いって。
「おはようございます!ゆっくり休めましたか?」
「はい。でも、どうやら寝かしつけられてしまったようで‥?」
と、恐る恐る言った途端にレーラさんがぶっと吹き出し、
「大丈夫ですわ‥!んんっ!そういうこともございましょう」
「いや!絶対ないですよね?普通はないですよね?」
「いえっ、大人もその絵本を見て寝て‥んふふ」
「笑ってるじゃないですかぁあああ!」
やっぱり寝かしつけられてしまったのか!
赤面する私を、レーラさんは笑いながら身支度を手伝ってくれた。
「今日は朝食後、明日のドレスの採寸の最終確認をさせて頂きたくて‥」
「最終確認!??もう出来上がってるんですか?!」
「運が良いことに、ドレスをいくつか作っておいたので‥。それでもいくらか手直しが必要ですが」
「普通、パーティーってもう少し早い内から連絡しますよね?」
「その通りです。けれど魔族って、結構こういう事多いんですよね」
「そうなんですか?」
「はい。運命の番に会ったから、今日結婚式!とか、魔物の大物が獲れたからお祝い!とか、魔法が使えるようになったから皆で騒ごう!とか‥」
魔族だ。
ものすごく魔族っぽい。
そして大物が獲れたからお祝いとか、魔法が使えるようになったからお祝いとか‥、その辺は可愛い。皆でお祝いしたいんだねぇ。ちょっとほっこりする私にレーラさんは手早く化粧をすると、
「明日は軽い前哨戦のようなもの!気合いを入れて頑張りますね!!」
「レーラさんがいてくれて、本当に心強いです‥」
きっと明日も結婚式の時のように、めちゃくちゃ気合いの入ったメイクをされるのであろう。‥こっちのお化粧の作法とか全然わからないので助かるわ。
「じゃ、朝食前に野菜に水やりをしてきますね!」
「かしこまりました。ちなみにドアの外でオルベル様がすでに待機しております」
「待機!???」
なんで待機してるの?
一緒に水やりしに行こうって、声を掛けてくれればいいのでは?
慌てて部屋を出れば、すでにドアの前で腕を組んで待っていたベル様‥。少しだけ嬉しそうな顔をした気配がするけれど、眉間のシワは健在だ。夫(仮)は器用だな〜〜。
「おはようございます。昨日は寝てしまったようで、すみません」
「いや、疲れもあったんだろう。今日は、大丈夫そうか?」
「はい!元気いっぱいです!あの、水やり一緒にする為に待って頂いたようで‥、」
「‥どれだけ成長しているか一緒に見たいだけだ」
「なるほど‥?」
そんなに野菜の成長に興味があるとは。
島にいるお母さん、夫(仮)のベル様はお野菜作りに興味のある方だよ!よかったよ!ドレスの採寸終わったらそう手紙に書こう。
嬉しくなって、ベル様の手を取って、
「じゃあ、畑に行きましょう!」
そういうとベル様はそれは驚いた顔をして、カチッと体が固まった。
あれ?どうかした?
まじまじとベル様を見つめると、耳が赤い。
照れてる??なんで?ベル様の目が私と繋いだ手を見ていて‥、
「あ、すみません。手を軽々しく繋いで‥」
「いやっ!!大丈夫だ。そのままでっ」
本当か?
耳、真っ赤だぞ?
しかし大丈夫と言われて、手を離すのもあれか。
私は大きな手をじっと見つめ、その手をゆっくり引っ張った。
「じゃあ、畑に行きましょうか」
そう話した途端、下からドターーーーーンという、何かがぶつかった音と共に、ドカドカと足音がした。
「え‥?な、何?」
「オルベル様ーーーーーー!!!一大事です!!」
何か、聞き覚えのある声?
私とベル様で顔を見合わせ、急いで玄関へ降りると、そこには今にも泣きそう‥いや、半分べそをかいているシュナさんと、それを宥めているフィプスさん‥?
「え、ど、どうしたんですか、シュナさん!」
「リニさん!!私、明日妃候補のパーティーがあって、ど、どうしようかと、」
「ああ、明日の‥」
オロオロしながら、半べそのシュナさんの方へ歩み寄ろうとした途端、ベル様が私をサッと後ろへ引き、フィプスさんがシュナさんの腰に勢いよくタックルした。
「え?え!?」
「キルシュナ様!!リニ様は人間なのでうっかり抱きしめたら死んじゃいます!!!」
「あ、そうでした!!」
「間一髪だったな‥」
ふうっと息を吐いて安心したようにベル様が言ったけれど、ええと、私は今まさに圧死されそうだったの?
シュナさんは、普通に抱きつきたいけど力強いから‥꒰∩´͈ ᵕ `͈∩꒱ねっ




