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8番目、呪われる!46


気負い過ぎなくていいとベル様に言われつつ、ひとまず覚えておかないといけない貴族の人達の顔や名前を覚えていれば、あっという間に夕方だ。



「あ!そうだ、野菜の水やり‥」

「俺も行こう」



素早く椅子から立ち上がったベル様。仕事は大丈夫なのだろうか?


「仕事は‥」

「大丈夫だ。大体は終わった」

「じゃあ一緒に行きますか」

「ああ‥!」


呆れたような顔をしたフィプスさんを横目にベル様は書類をテキパキと片付け、私の方へやってきてくれたが、こんな力強く肯定されるって‥。よっぽど野菜作りに興味を持ってくれたんだろう!嬉しいなぁ〜、ついつい笑顔になってしまう横でベル様は眉間にしわを寄せた。何故だ。



一緒に中庭の小さな畑へ行けば、気持ちの良い夕方の風が吹いてきた。



そういえば、私夕方までちゃんと起きているの初めてでは?!

なにせ初日はノルチェに乗って気絶、2日目はお茶を飲んで酔っ払って寝てしまったのだ‥。3日目にしてようやく夕方まで起きていられたって‥、それもどうなんだろ。うむむ‥と、悩んでいるとベル様が心配そうに私を見つめ、



「リニ?どうかしたか?」

「いえ!なんでもないです!水!水をあげましょ‥って、あれ!?や、野菜が更に育ってる?」



畑を見れば、朝は芽が出ていたくらいなのに随分と葉を茂らせている!

これって魔法の力、なの?ベル様を見上げて、


「魔法でこんなに植物って育つものなんですか?」

「‥‥魔力は確かに多めにしたが、リニの願いが強いんだろうな」

「私の願い、」

「魔法があってもここまで野菜が成長することはない。早く食べたかったのか?」

「あ、ああ、えっと、そう、ですね」


まさか冷遇された時とか、うっかり貧しくなったりした時の為の対策として植えたとは言い難い‥。あ、でもカボチャが好きだから食べさせてあげたいと思ったのは本当だ。


「カボチャ、早くできたら食べさせてあげたいと思い過ぎたのかな‥」


ポツリと呟き、生えてきた雑草を抜いていると隣で水を撒いていたベル様の動きが止まった。



「べ、アヴィ様?」



見上げれば、手で顔を覆っていて表情がよく見えない‥。

お腹でも痛いのだろうか?


「体調、悪いんですか?」

「いやっ!!!大丈夫だ!!!」

「そ、そうですか‥」

「早くで、できるといいな!」

「はい!そういえば私が倒れちゃってからの水やりは、どなたがされていたんですか?」

「俺だ」

「え!?べ‥、アヴィ様が?」

「‥‥水やりくらい、簡単だしな。それに俺も、野菜を食べたい」


そうだったんだの?!

まさかぶっ倒れていた間のお世話をベル様がしてくれていたなんて‥、急いで立ち上がり、



「アヴィ様、ありがとうございます!」



普通に笑ってお礼を言ったのだが、ベル様はカチッと体が固まってしまった。


「あ、あれ?アヴィ様?大丈夫ですか?」

「‥っだ、大丈夫だ!!」


そう言うわりには眉間のシワがすごいぞ?

無理するなよ〜と、背中をそっと摩るとベル様はまた体が固まった。

これはもしかして体を触られるのが嫌なのかな?そっと手を離し、


「すみません、勝手に触ってしまっ‥」

「いや!!!大丈夫だ!な、撫でてもらうと、ら、楽になる!」

「そう、ですか?」


そんな眉間にしわを思い切り寄せている人間に言われても説得力が‥と、思ったが、楽になると言われたら撫でた方がいいのかな‥?そっと背中を撫でると、ベル様はホッとしたように息を吐いた。



「‥お仕事、大変なんですか?」

「え?」

「いえ、撫でられただけで楽になるって言うし‥。お仕事大変なのかなぁって」

「仕事は、大変では‥、ああ、だが、撫でてもらうと、その楽にはなるから、大変なのかもしれないな」

「そうですか。毎日お疲れ様です」



ゆっくり背中を摩ってみて、ようやく気が付いたけど、背中も大きいな〜〜。お母さんがたまに腰が痛いとか、肩が痛いといえば背中をさすったり、肩を揉んだりしたけれど、やっぱり男性の肩とか背中って全然違う!このボコボコしているのは筋肉なのか?


「背中の筋肉すごいんですねぇ」

「そ、そうか?」

「はい!やっぱり鍛えたんですよね?」

「そ、そうだな‥。多少は」


多少でこんだけ鍛えられないでしょ。

ふとデリーさんが私と結婚する為に仕事を頑張っていたと、話していたのを思い出したけれど、これだけ鍛える理由が私のはずがないよねぇ。などと思っていると、ベル様が私をチラッと見て、



「‥また、撫でてくれるか?」



と、聞くので私は頷いた。

だって結婚(仮)してるしね。それにベル様は不器用だからもしかしたら仕事で苦労しているかもしれないしね。


「いくらでも撫でますよ」

「そうか‥!」


ホッとしたように小さく微笑んだベル様を見た途端、口がむずっとして、



「嫌いです!!!」



って、思わず叫んでしまった。

瞬間、ベル様の片膝が崩れ落ちそうになって踏ん張っていた‥。ううっ!ごめんよ!!!




うっかりベル様って呼んでないか???

と、文を確認‥。なんでこんな事に‥!

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