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8番目、呪われる!45


呪いの期間は一週間。

キスをすれば呪いは解けるらしいけど、再会して間もない上に、王様から手を出すなと言われ、絶賛お試し期間中の私達だぞ?そこへ呪われちゃったからっ!て、キス?



はっきり言おう、無理だ。



そもそも私は初恋だってまだなんだぞ?

それなのにキスなんて、どんだけ高いハードルを用意すれば気が済むんだ。


早々に諦め、フィプスさんにまずパーティーに出席するメンバーを教えてもらった。貴族の方に失礼のないようにしておかないと!ベル様に対して風当たりが強いのに、そこへ来て人間の私と結婚だ。しっかり対応できるようにせねば。



ベル様の部屋で、フィプスさんの貴族相関図を書いて説明してもらったけれど、一つ気になったことがある。



「お嫁さん候補の方って、キルシュナさんも入っているんですね」

「‥そうなんですよねぇ。あの方、あれで結構有力な貴族なんです」

「でも、キルシュナさんって軍団長ですよね?それにユプスさん、すっごく好きな感じがしましたけど」

「いやぁ、あれは可愛いものとして見ているだけで、恋愛対象ではないですね」



フィプスさん、きっぱりと言い切るねぇ。

ちょっと驚きつつ、他の二人のお嫁さん候補を見れば、どちらもやはり王家のお嫁さんになっても可笑しくない人達だ。今回はこの3人から選ぶってことなのかな?


「あれ‥?!結構大事な場面では!?」

「はい。この他にオルベル様を略奪しようと画策しているご令嬢達も多くおります」

「えっ、結婚したのに?」

「‥リニ様、人間の世界でも結婚していてもそういったケースは?」

「ございますねぇ‥」


ええ〜〜〜!?そうなんだ!

魔族も普通にそういうことしちゃうんだ!運命の番って書いてあるのを見たから、そういうのはご法度!なんて勝手に思い込んでいたわ。ちらっとその奪い取られるかもしれないベル様を見れば、こちらをチラチラと見ながら書類を見ているが、仕事大丈夫そ?



「そっかぁ、じゃあベ‥、アヴィ様とご挨拶をして帰ってくるまでがパーティーですね」

「はい!ドレスの方は急いで用意しておりますので、そこはご安心を」

「仕事が早い!流石ですねぇ」

「お褒めの言葉感謝します。遠慮なく仲睦まじくしているお姿を見せつけて来て下さいね!」

「仲睦まじく‥‥」



うっかり「嫌い!」と言ってしまう呪いに掛かっているのだが、可能、なのだろうか。いや、ここはどうあっても頑張らないとだな。私は両頬をちょっと上にぎゅっと引っ張り、気合いを入れる。


人間だけど、お母さんに言われたように女は度胸、愛嬌、最強なのだ!


日和ってる場合じゃないぞ自分。

照れ屋で不器用なベル様をお守りしつつ、貴族の人達ともそれとなく上手い具合に仲良くなって、ベル様の仕事もしやすいように円滑に‥‥出来るかなぁ???



「‥‥気負い過ぎなくていい」

「っへ?」



いつの間にかベル様が私の隣に来ていて、どかっとソファーに座った。


「俺を本気で好きな奴などいない」

「え‥、」

「適当に挨拶をしたらすぐに帰る」

「それで大丈夫、なんですか?」

「ああ。どうせ他の奴らも妃候補の決定の方に興味を持っているだろう」

「そっか‥、そうです、よね」


確かにお嫁さんが誰に決まるかが大きいよね。

じゃあ大丈夫、かな?チラリとベル様を見れば、貴族相関図が書かれた紙を真剣に見て、ヴェリ様の名前を指でトンと指した。



「こいつだけ気をつけておけ」

「‥‥王様ですが?」

「一番厄介だ」



それは結婚をちゃんと認められなかったからでは?

仮にも王様なのに‥って、思ったけれどそういえば幼馴染って、フィプスさん言ってたよね?


「幼馴染とお聞きしましたが、いつから知っているんですか?」

「‥‥10歳だな」

「え!?すっごい仲良しですね!」

「仲良し、なのか?」


でも170歳過ぎても本を送られたりするってことは、相当仲が良いからだと思うけどなぁ。


「私は同じ年の友達がいなくて、寂しかったんで友達がいるって羨ましいです」


そう言うと、ベル様は驚いた顔をして私を見た。


「羨ましい‥?」

「なかなか友達と遊ぶっていうのも、できなかったので‥」


なにせ貧乏だけど王族。

子供の頃は遊ぶことはあっても、大きくなってくると徐々に距離ができてしまったから‥。そう考えると、シュナさんが友達になってくれて大変嬉しい。


ベル様は私をじっと見て、



「そんな風に言われたのは、初めてだ」

「え?友達がいて羨ましい事を、ですか?」

「‥‥大概、良く思われてないからな」



ええ!?何それ?

だって国の為に仕事して、魔物を倒してるのに?

むうっと頬を膨らませると、ベル様が私の顔をまじまじと見て、


「怒っている、のか?」

「怒ってますよ?!王様と友達がなんでそんなダメなんですか?それなら普通になりたいって‥、あ、でも難しい?けど、それって完全に八つ当たりですよねぇ?」


私はどうにも納得できなくて頬が膨らみっぱなしになのに、反対にベル様は小さく笑った。ええ?ここって笑うとこなの?





友達っていいよね!

(とか言いつつ、最近遊んでないな〜〜)

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